味噌の歴史は古く大和朝廷の時代にまでさかのぼるといわれ、食塩の供給が豊かになる室町時代後期以降は「日本人」の食卓には欠かすことのできない伝統的な発酵食品となりました。今では日本列島各地にふるさとの味を代表する味噌がありますが、全国的に最も親しまれているのは、なんといっても「信州味噌」でしょう。
全国の味噌の約33%が長野県で生産され、シェアは全国一。中でも、米麹・大豆・塩を原料につくる米味噌が一般的です。昨今は健康志向に配慮し、塩分を抑えた甘口の味噌が多くなりましたが、伝統的にはやや辛口で、山吹色の色合いと、クセがなくさっぱりとした飽きのこない味わいが、わが信州味噌の特徴です。
かつて味噌は、自家製が当たり前でした。家族総出でする味噌づくりの光景は、どこの農家でも見られたものです。近頃は、仲間同士で味噌づくりに取り組むグループも地域に増えてきました。県内でも味噌加工グループがいくつかあります。上水内郡三水村のJAながのさみずフルーツセンターに隣接するさみず農産物加工組合(長野県上水内郡三水村倉井2891-4 TEL026-253-0032)では、味噌作りがはじまっています。もちろん、米と大豆は地元産です。
手づくり味噌は甘味があり、作る人の温かさを感じます。味噌造りには手間と時間がかかりますが、手作りの味はやはり格別。スローライフをかみしめるためにも、お宅でも挑戦してみませんか。
味噌の作り方
(JA上伊那「母から娘に伝えたい上伊那の郷土料理」より)
- 大豆は前日に洗い、水に浸しておく。
- 大豆を柔らかくなるまで煮る。
- 豆つぶし用の機械で大豆をつぶし、大きめのおにぎり状に(味噌玉)。
- 味噌玉にこうじをつける。
- 毛布などの上にビニール敷き、こうじのついた味噌玉を並べ、上からもビニール毛布などをかぶせて保温。そのまましばらく寝かせる。
- 味噌玉に白く花がつく(こうじが白い花のようになる)まで寝かせる。(季節などによってこの日数は違ってくる)。
- 白く花のついた味噌玉と塩・水を合わせ、杵(きね)などでよくつく。
- つききあがったものを桶に、すき間ができないようたたきつけて、きっちりと詰め込む。
- しっかり蓋をして、重石を置き、そのまま一年ほど寝かせる。
ワンポイントメモ
- 良い豆を選別する。
- 花がついたら早く仕込む。
- こうじのついた味噌玉を寝かせるとき昔はわら束を敷いた。今は毛布や布団を利用するもよし。
信州ふれあいモールでは北信州豊田村のつがね農園で今年もできたての手作り味噌を発売中! 地場産の大豆を使い、糀はコシヒカリで作り、すべて 手作りのお味噌。 甘すぎず、辛すぎずの米糀8割、 塩分12%のおいしい信州味噌です。 豊田村の農家のお母さんたちが作った自信作を、お試しください。