殿倉さんの農事録
[殿倉さんの農事録]

ついに、私の最後の記事となりました。

私が「農家さん日記」を書き始めた4年前の2022年。何を書いていたのか振り返ってみると、息子が保育園に入園した頃でした。

この4年間を思い返すと、本当にさまざまな出来事がありました。人生の中でも特に大きく揺れ動いた時期を、この「農家さん日記」とともに歩んできたように感じています。

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特に大きな変化があったのは2023年です。1月に父が亡くなり、冬にはブナシメジの菌床にダニが入り全量廃棄。4月から宿の建設が始まり、8月には自身が心筋梗塞で倒れて入院。そして10月に宿がプレオープンしました。

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今、振り返っても「良い思い出だった」とはとても言えないほど、大変な1年でした。

農業とはまったく異なる宿泊業への参入。想像以上に経営は大変で、かつてホテルで働いていた経験があったとはいえ、それは15年も前のこと。時代もお客様のニーズも大きく変わっていました。少しずつお客様は増えてきたものの、今なお課題の多い日々が続いています。

2026年の今、ようやく自分のペースや体力が少しずつ戻りつつあると感じています。この冬は週末にしっかり休めたことで、精神的にも安定して過ごすことができました。改めて「休むこと」「しっかり眠ること」の大切さを実感しています。

また、りんご畑での剪定作業に定期的に関われたことも、心の安定につながりました。やはり農家にとって、畑で体を動かす時間は欠かせないものだと感じています。

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先日は、東京で開催された「全国農業者会議」に8年ぶりに参加しました。全国の若手農業者が集まり、それぞれの取り組みや想いを発表する大会です。私は10年前にこの会の役員を務め、長野県の会長として大会運営にも関わっていました。

今回の参加では、当時の仲間や全国の農家の方々と再会することができ、改めて「今の自分があるのは、この仲間たちのおかげだ」と強く感じました。

もしかすると、こうして皆で集まる機会は今後減っていくかもしれません。それでも、どこかでまた会えたらいい。長野に来たときには、ぜひ宿に泊まりに来てほしい。そう心から思いました。

本当に、うれしい再会でした。

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一方で、正直に言うと私は、胸を張って「農業が大好きです」とは言えません。では、なぜ農業を継いだのか。それは「自分がやらなければ太陽農場が続かない」という責任感が大きかったからです。

農作業は、暑さや寒さの中での作業も多く、体調管理も簡単ではありません。農機具の整備も得意ではなく、むしろ苦手です。「百姓」と呼ばれるように、何でもできるのが農業者だとすれば、私はまだその域には到底届いていないと感じています。

体調のことを理由に、逃げてしまうこともありました。病気をしてから、自信を持てなくなったのも事実です。

それでも、こうして農業を続けていられるのは、家族やスタッフ、仲間たちの支えがあるからです。数字を見ることも得意ではなく、経営者としても未熟だと感じています。本当はもっと努力しなければならない、と日々思っています。

それでも、私の話を聞きたいと言ってくれる人がいる。だからこそ私は、楽しいことやうれしいことだけでなく、苦しいことや悩んでいることも含めて、正直に伝えるようにしています。

以前は「元気になれる話」だけを選んでいたかもしれません。でも今は、それだけでは足りないと感じています。

もしかすると、この日記を読んだ方には、私がエネルギッシュに活動している人に見えるかもしれません。ですが実際の私はその逆で、できないことの方が多い人間です。

それでも、私に「会ってみたい」と思ってくださる方がいれば、ぜひ「Cider Barn &moreにお越しください。お会いできるのを楽しみにしています。

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2022年からの4年間、本当にありがとうございました。

最後に、この機会をくださったJAの皆さま、原稿を整え世に届けてくださった編集の皆さま、そしていつも締切ぎりぎりの私に辛抱強く向き合ってくださった担当の方に、心より感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

 

ゲストハウス&カフェ「Cider Barn &more」

Cider Barn &more

〒399-2602 長野県飯田市下久堅下虎岩41-2
tel.  070-3197-0412

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この記事を書いた人

殿倉由起子さん

殿倉由起子さんは大学卒業後勤務した東京のホテルスタッフから転身して、子育てをしながらも地元の飯田市でぶなしめじとりんごを栽培する農業法人の経営者。農業のかたわら、野菜ソムリエプロの資格を持ち、夢だった農家民泊&カフェ「Cider Barn &more(サイダーバーン・アンドモア)」の運営も始まりました。

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