連載※長野県伊那市のはびろ農業公園みはらしいちご園で、いちごの世話をする有賀玲子さん(26歳)が、月々の農事を綴ります。
いちご狩もいよいよ最終月になりました。6月に入り入園料も値引きされて最初の一週間は団体のお客様が特に多くいらしゃいました。暑くなってきていちごもだいぶ傷みやすくなりましたが、今は付加価値を高めるためのワイン用に出荷したり、ジャムを作ったり、冷凍したりしています。いちごのジャムは人気商品(市の推奨品)なので、シーズンオフもお土産品として間に合うように、今の時期にたくさん作ります。冷凍いちごはファーム内の施設にてかき氷やジュースなどに加工されてお客さまに喜ばれます。
来年の苗の準備で、育苗ハウスのランナー(親株から伸びてくるツルのことでそこに子株がつく)を伸ばしはじめました。7月の初めには苗のさし芽がはじまります。それに間に合うようにツルを伸ばしていきます。
さて6月3日、みはらしファームでは花馬祭りが行われました。木曽馬に伊那特産のアルストロメリアや紙の花を色とりどりに飾りつけて、近くのお寺であり、伊那の古刹(こさつ)としても有名な仲仙寺(ちゅうせんじ・天台宗羽広山仲仙寺)までいきました。
地元の羽広地区にある、仲仙寺は、馬の観音様としても有名な由緒あるお寺。昔は、上伊那各地と木曽から六月の田植えが済むと馬に飾りつけをして、この仲仙寺にみんなお参りしたといわれています。伊那の常円寺下には、善光寺街道から西へのぼって羽広観音へ至る羽広道と、木曽へ通ずる権兵衛街道、東へ下って高遠へ通ずる高遠道とが分かれる辻があるのですが、この辻を起点に仲仙寺までの五十四丁(約6キロ)の道端に、一丁(約109メートル)ごとに観音様を刻んだ丁石があります(写真左)。
今年の花馬まつりには、わたしたちもこの丁石の道を歩きました。