いよいよ4月。入学や卒業等、環境が変わっていく方が多いことから「出会いと別れの季節」などといわれています。自然の世界では新芽が顔を出したり、冬眠を終えた虫や動物達が動きはじめたりすることから「目覚めの季節」ともいわれています。
そんな中、農家の皆さんもいよいよ本格的な農作業を始めています。
今回は、この時期に行う春の農作業についてのお話です。
セルリーの一大産地で定植作業を拝見しました!
旬の時期になれば必ず店頭に並んでいる農産物。
そこには、毎年異なる自然気象の変化を見極めて作業を進める農家さんの緻密な計算があります。今回取材協力をしてくれたのは、JA信州諏訪管内でセルリー(セロリ)を生産している藤森さん一家。この日は、約1,400本のセルリーを定植するため、朝早くから家族でセルリーの苗を黙々と植えていました。セルリーは定植からおおむね60~75日で収穫ができるといわれており、ハウスごとにそれぞれの定植日をずらすことで、旬の時期に継続的にセルリーを提供できるようにしています。
突然ですが、この装置は一体なんだと思いますか?
左の装置の名前は「循環扇」。これはハウス内の空気をきれいに循環させるためのものです。これにより空気がこもらないようにしています。
次に、右のパイプの上に位置している黒い突起物。なんとこれは、水まき用の装置なんです。
これによりハウス内の苗全体に、一度に水をまくことができるんです。
農家の皆さんは日夜、この小さな苗を守ります。
雪が降れば雪をどかし、夜になればハウス内を暖房で暖めます。
また、1月・2月の真冬のシーズンには、寒いときは苗に毛布をかけたり、日に当たると苗が焼けてしまうので、日にあたらないようにしたりと工夫を凝らします。
同JA管内のセルリーの初出荷は5月中旬。原村を中心とした露地栽培物の収穫が本格化する7~9月にピークを迎えます。
店頭に並ぶのが待ち遠しいですね。
1本1本の樹と向き合って実りの秋に備えます
りんごやぶどうといった果樹では剪定作業が行われています。
今回は、JA信州諏訪果樹部会長の花岡さん(上写真 右)とりんご農家の野口さん(上写真 左)の農作業にお邪魔してきました。
ハサミとノコギリで作業をします
剪定は、芽がないところを切ることで日当たりを良くするとともに、2年~3年先を考えながら切る部分と残す部分を判断し、1本の木で収穫できるベストな数量と品質を決める最も重要な作業になります。
ハサミとノコギリで作業をします
他にも、切った傷口部分から病気が入らないように薬を塗ったり、紐で固定し、枝を正しい伸び方に補正したりする作業などもあります。生産者は農産物が店頭に並ぶまでにこのような地道かつ丁寧な作業を天候等と相談しながら行っています。
地域によって多少ばらつきはありますが、剪定は4月の末まで行われます。その後、受粉作業・摘果作業を通じて大きなおいしい信州リンゴができあがるんです。
同JA管内のリンゴの出荷は早い品種で9月ころからスタートしますが、農家の皆さんは秋の出荷に向けて、既に取組み始めているんですね。
スイカにとって大切な作業も始まっています!
スイカの名産地であるJA松本ハイランド。
管内に住むスイカ農家の皆さんは、「スイカの接ぎ木」を行っていました。
接ぎ木とは、土壌伝染性病害虫による被害を回避するために重要な役割を果たす農作業のことをいいます。
スイカの苗は、土壌病害などの影響を受けやすくとてもデリケート。この苗に、土壌病害や連作障害などに強い台木に接ぐことで病害のリスクを下げ、高い品質と丈夫さを両立させることができるんです。甘くておいしい露地物スイカ、待ち遠しいですね。旬の時期まで、ゆっくり待ちましょう。