リンゴの細枝で作る小さくてあたたかいエネルギー
今回は、リンゴ農家である編集部員D宅(長野市桜)の枝焚き作業の様子と、そこからできる産物の紹介です。産物とは、細枝を燃やし途中で消して炭にする「消し炭」です。昔は、堀こたつの家庭が多く、リンゴの細枝の「消し炭」はこたつの種火としてほとんどのリンゴ農家で重宝されていましたが、電気こたつなどの普及により堀こたつの家庭は減り、この近所でも「消し炭」をつくる農家は少なくなりました。
そんな中、こたつは「消し炭」を火種にしている「掘りこたつ」だけ! というD家に伝わる「枝焚き」から「消し炭」ができるまでを紹介します。
「枝焚き」は、2月中旬から始めます。なぜなら、まだ園内に残る雪を使って「消し炭」をつくるからです。
作業工程は、
1 「枝拾い」で分別した細枝の束をリンゴ畑の一角に集め、火を点けます。
2 火の勢いを弱めないように、枝を次々に寄せながら焚いていきます。
3 枝が灰にならないように注意し、途中で雪を火にかけながら炭にしていきます。
4 完全にすべての枝が炭になれば「消し炭」の出来上がりです。
剪定された枝の山
枝の山に火をつける
燃えている枝の上に枝を追加しながら
素早く雪で炭にする
燠(おき)ができたら雪をかける
「消し炭」が出来上がり
雪が消えてしまうと水をかけて「消し炭」を作りますが、雪を利用した方が水汲み作業が軽減されるとともに、「消し炭」を乾燥させる時間も短時間で済むので、我が家ではできるだけ雪を利用して枝焚きをしています。
また、太枝は薪にして、お風呂を沸かすときの熱源として使用しています。昔ながらの薪の風呂と掘りこたつの生活で、体にも家計にも環境にもやさしい暮らしをこれからも続けていきます。
春を迎える準備作業と農家の暮らしを紹介しました。