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新鮮な野菜を届ける

コールドチェーン

夏本番。信州からの青果物出荷が本格化します。新鮮な採れたてを食卓に届けようと、産地では集荷、流通段階で「コールドチェーン」と呼ばれる低温物流体制を徹底させています。中核ともいえる予冷庫と呼ばれる施設をのぞいてみました。

氷詰めで出荷するブロッコリー

最初に訪ねたのはJA佐久浅間の南大井予冷庫(小諸市御影新田)です。同JAはブロッコリーの出荷量では長野県内一。その中でも最大の扱い量(年間約35万ケース〈1ケース4kg〉)を誇るのが同予冷庫です。
訪ねた6月初旬は、今シーズンの稼働が始まったばかりのころ。ブロッコリーの出荷は6月下旬から7月初めをピークに11月まで続くそうです。
ブロッコリーの緑色の房は花蕾(からい)と呼ばれるつぼみの集まりです。このため、呼吸量が多く、採れたてでも常温で放置してしまうと、昼にはもう柔らかくなってしまうほどだそうです。
そのため冷やして呼吸を抑え、〝仮死状態〟にして市場に出します。一刻も早く冷やすために用いられるのが氷です。
予冷庫は効率よく冷やせるよう、細かく砕いた氷を作る専用の製氷機を備えています。大きなかき氷製造機といったところでしょうか。

コールドチェーン

農家が発泡スチロールの箱に詰めて持ち込んだブロッコリーは、ローラーコンベアに載せられ、検査員のチェックを経て、製氷機から氷が送られてくる注ぎ口の下に。緑のブロッコリーが見る間に白い氷に覆われ、たちまち見えなくなります。ふたをして密閉すれば完成。保冷トラックに載せて送り出し、早ければ翌日の昼には店頭に並びます。

真空予冷で鮮度を保つレタス

次に訪ねたのはJA長野八ヶ岳の南牧営農センター(南牧村板橋)です。水分が多いレタスやハクサイは、コンテナ状の冷却槽に入れ、その中を減圧(真空化)することで野菜の中の水分の蒸発を促し、急速に冷やします。真空冷却という方法です。
同営農センターでは主にレタスとハクサイ、それぞれ3列と2列の専用の冷却槽を備えた予冷施設が稼働していました。

コールドチェーン

「釜」と呼ばれる冷却槽に運び込まれるレタス

一つの冷却槽は間口が高さ2m、幅1.9m、奥行き12mほど。レタスだと10kg入り60箱が載るパレットが9つ入ります。一方の扉から集荷したレタスを押し入れ、いっぱいになったところで扉を閉じ、減圧します。真空ポンプの稼働音が高まり、20分で5度まで冷やします。取り出すのは反対側。扉を開けると「プシュー」と槽内に空気が入る音が響きます。

コールドチェーン

20分後、反対側の扉から取り出す。レタスは5度に冷やされている

多くは待ち構えていた保冷トラックにそのまま積み込まれ市場へ、一部は計画出荷に従い冷蔵倉庫に入り出荷を待つシステムです。
夏場を中心に圧倒的なシェアを誇る同JAのレタス出荷は10月まで続きます。

次回は、ブロッコリー&レタス産地直伝のいただき方を紹介します。

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