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魅惑のとうもろこしを生み出す、甘い笑顔の男前

男前百科

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ひたむきに頑張る人は、理屈抜きに男前!
信州の農業を担う次世代のリーダーとして歩み始めた若者たちのライフスタイルとは!?
志を持って農業に情熱を注ぐ、『若手男前農家』のオンとオフのありのままの姿をシリーズでご紹介します。

男前百科 vol.2
上田市真田町 大久保昌則さん

野菜作りで大切にしていることは、「食べた人が感動する」ものを本気で作ること。うちのとうもろこしを食べたお客様から、「いい夏になった」と言って頂いた言葉が忘れられない。涙が出ましたよ。

 

「男前」二人目は、長野県東部、吹く風も涼やかな菅平高原にほど近い、上田市真田町の野菜農家、大久保昌則(おおくぼ・まさのり)さん(34歳)。「熱い気持ちに、まわりも動かされる」「出逢ったその日から心を掴まれた」など、所属するJA信州うえだ青年部の「押しメン(いちおしメンバー)」です。
大久保さんは、標高700m~1,300mでの野菜のリレー栽培のほか、「野菜生産直売所 みどりの大地」を経営しています。今回は、旬のとうもろこし「味来(みらい)」の収穫現場&直売店舗でお話を伺いました。

 

ミラクルスイートコーン「味来(みらい)」
とうもろこしにかけた想いとは

この1枚の畑だけで9千~1万本のとうもろこしが

 

まずは、翌日から本格的な収穫を迎えるという標高700mの畑へ。視界いっぱい、とうもろこしの行列です。青々とした外皮、フサフサした茶色のひげ「絹糸」*1、膨らみを帯びた実がたわわに。収穫のポイントは、そのぎっしり詰まった粒の実入り(身入り)。大久保さんは、1本1本適期を見極めながら、使い込んだ包丁でザクッと勢いよくカットしていきます。

「まずはどうぞ、これなんか食べ頃」と差し出されたとうもろこしをガブリッ。「あまぁ~い! そしてジューシー♪」。軟らかい薄皮がパッとはじけ、みずみずしい甘さが口いっぱいに広がります。

畑でガブリッ。皮が薄くみずみずしい

このとうもろこしの名は「味来(みらい)」。「ミラクルスイートコーン」の異名を持ち、糖度は18~20度とフルーツ並み。大久保さんいわく、「梨のように甘い」とうもろこしです。

 台風や強風に備え、穂先を全てカット。
 日当たりを良くし、防虫効果もある

現在、国内に約150品種もあるとうもろこしですが、この「味来」はなかなかの曲者。種蒔きでは「一箇所に6粒蒔け」といわれるほど発芽が鈍く、また、ほかの品種ほどの育てやすさを持ち合わせていないのだとか......。「旬3日」とも言われ、収穫期は成長との競争です。大久保さんには、「実り過ぎや収穫適期を逃したものは売り物にしない」とのこだわりがあり、真夏は、雨の降った翌日の成長ぶりにいつもドキドキだそうです。

とはいえ、こういった努力すべてがこの食感、すっきりした甘味、何本でも食べたくなる味につながるのです。大久保さんの畑では、お客様の要望に応えるべく10年前から全品種「味来」に切り替え、「きちんと作る・本気で作る・いいものを作る」がモットー。大久保さんは、「そのための手間暇は惜しまない。それが信用となってまた買ってもらえる。これほど嬉しいことはないですよ」と熱い想いを言葉に込めます。

とれたての味来。ヒゲも実も輝いている

リピーターが多く、多い日には1日3,000本も売れるという大久保さんの「味来」。魅惑のおいしさの秘密は、生産者自身にありました。ちなみにこの「味来」は9月上旬まで「野菜生産直売所 みどりの大地」で購入することができます。(※電話・Faxでの予約注文も可能です。)

 

おいしいとうもろこしは美しい!!

大久保さんに、「おいしいとうもろこしの見分け方&ご家庭でおいしくいただくコツ」をお聞きしました。

【見分け方】
おいしいとうもろこしは美しい! 綺麗なとうもろこしを探しましょう。皮が乾燥しすぎていないか。茎部分付近が茶色くないかなどをチェック。
旬のとうもろこしは、直売所などでは午前中に売り切れてしまうことも多いのでお早めに!

【コツ】
鮮度が命です。なるべくお早めにお召し上がりください。甘さ(糖度)はそう変わらないのですが、時間が経つと食感(皮のハリ)が落ちてしまいます。
生のままの保存には向いていませんので、一度に食べきれない場合は、蒸したり、茹でたりした後、すぐに冷水でしめると、時間がたってもプリプリ食感が楽しめます。

夏期にはズッキーニ、コリンキー、青春キャベツ、枝豆など約25種類もの野菜が、「野菜生産直売所 みどりの大地」に並びます。それぞれに手書きのポップが添えられ、時には「こちらに限り、朝採りではないので1袋〇〇円」と、破格な値段が付けられていることもある真っ正直な売り場です。

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やわらかいと評判の青春キャベツ

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生食のかぼちゃ「コリンキー」

「野菜生産直売所 みどりの大地」

 

そうそう、隠れた人気商品があるんです。「味来をしぼったスープの素」(1パック440gで、540円)。以前、息子さんに初めての離乳食として飲ませたら、「アーッ」と満面の笑みが広がったそうです。おいしいものは赤ちゃんにもわかるんですね。

 

「地域農業についても真剣に考えるようになった」

ご両親、奥様、弟さんとの家族経営である大久保さんですが、就農して9年、3人の子供たちの成長を見るにつけ、「地域農業についても真剣に考え、担うようになった」としみじみ。今では地元JA青年部はもちろん、県内の多くの仲間と情報交換をしながら積極的な活動をしています。
「楽しむときはとことん楽しむ」という大久保さんの周りには、いつも人が集まります。消防団の先輩に頼まれ、なんと映画出演*2まで果たしたとか......。
「ご自身の性格は?」と尋ねると、「いやぁ~いい加減ですよ」と笑いながら、「人のせいにしない・愚痴は言わない・常に前向き」と、ズバリ、気骨な一面を見せてくれました。
「良い加減」にバランスのとれた、実に人間力のある熱い男前なのでした。

JA長野県青年部の仲間と共に

*1 絹糸:
ヒゲに花粉が付いて受粉。種子へとつながっているので、ヒゲの数だけとうもろこしの粒が存在すると言われている。ちなみに編集スタッフあぐりくんが今回、調べてみました。結果は、こちらの記事をどうぞ

*2 映画出演:
上田市出身の鶴岡慧子監督の最新作「過ぐる日のやまねこ」にエキストラ出演。2014年9月に行われる第36回ぴあフィルムフェスティバルでプレミア上映される。

PROFILE

食べた人が感動する野菜を作り続けます。

男前百科

氏  名 大久保昌則(おおくぼ・まさのり)さん
年  齢 34歳
血液型 A型
経  歴 16歳から会社員や結婚式場・居酒屋スタッフなど様々な職種を経験。その経歴が熱い男気を形成する。結婚を機に26歳で就農。
生産内容 とうもろこし「味来」8~9万本、キャベツ、白菜、大根など約3.5ha
こだわりアイテム 収穫包丁。使い込んでいるため中央部がへこんでいる
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好きな食べ物 ラーメン、そうめん、うどん、そば、パスタ
趣味・特技 お酒・スノーボード・長野マラソン出場

野菜生産直売所 みどりの大地

  • 長野県上田市真田町長1311-1
  • TEL/FAX 0268-72-2663
  • 営業 9:00~16:30頃 ※季節・販売状況等により変動あり
  • 定休日 水曜日
1407855600000

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