新鮮・安価・安心に加え、ご当地ならではの「+α」があるのが直売所の魅力。農業とおいしいものを愛する編集部が信州の東西南北をかけめぐり、知る人ぞ知る穴場商品から噂の仕掛人まで、信州の直売所の魅力をあますところなくお伝えします!
どっちが美味しそうに見えますか?このふたつは一見違う果実にも見えますが、どちらも同じ「プラム」なんです。何故こんなにも色が違うのでしょうか。その答えが直売所にありました。直売所レポート第4弾。今回は長野県上高井郡小布施町にある「お百SHOPおぶせ」を訪ねてきました。
「お百SHOPおぶせ」は、「小布施ハイウェイオアシス・道の駅オアシスおぶせ」エリア内にあります。このエリアには、食事処、お土産コーナーのほか、芝生広場、遊具、噴水広場などがあり、休日には多くの人々で賑わいます。
地場産食材を使ったオリジナルメニューも味わえる食事処(左)とファミリーでにぎわうアスレチックエリア
「お百SHOPおぶせ」は、生産者ら約260名が会員となっており、およそ7名で運営しています。この時期だと、果実では「白桃」「ネクタリン」「プラム」「プルーン」「ワッサー」、野菜では採れたての「トマト」や「きゅうり」、小布施伝統野菜の「丸なす」などが店内を賑わせていました。
「ワッサー」
「ネクタリン」
また、秋からは「ぶどう」「なし」、小布施の名産「栗」、11月からは「りんご」などが旬の訪れと共に店頭に並びます。
今回取材協力してくれたのは、「お百SHOPおぶせ」の部会長を務める根岸勉さん。根岸さんは、プルーンやりんご、なし、ぶどうなど様々な種類を栽培している農家で、今回は今が旬! のプラムについてお話を伺ってきました。
プラムは、「大石早生」「ソルダム」など、時期によりその種類は多岐に及びます。根岸さんが栽培しているプラムは「貴陽」という種類。なんでもプラムの中では、大玉で、酸味が少なく甘みがあるのが特徴だそうです。
大玉で甘みが強い「貴陽」
「貴陽」の受粉樹
プラムは、木から生育して自然と実がつくのが通常ですが、この「貴陽」の場合、栽培用のプラムの木とは別に「受粉樹」を必要とし、受粉樹に咲いた花の花粉を約60cmの長さの毛ばたきに絡ませ、貴陽の花に花粉を受粉(人工授粉)させます。毛ばたきでなく、耳かきで使うような小さな綿棒で、受粉樹から1つずつ受粉する農家もいるのだとか。プラムの中でも手間のかかる品種なんですね。
さて、冒頭に登場したのがこちら。左は、透明感のあるツヤがあるのに比べて、右は、うっすらと白い膜のようなものに覆われています。これはなんだかわかりますか? 農薬? 違うんです。これは「ブルーム」といって果皮表面の白い粉状の蝋物質で、鮮度の良さを表しているとも言われています。熟した新鮮な果実によく見られ、果実から自然に分泌されている天然物質なので、人体にはまったく無害です。写真の真ん中のプラムは、ブルームがはがれているのがわかると思います。ブルームは、手で触るだけで簡単に落ちてしまうんです。つまり、ブルームが落ちているということは、店頭に並ぶまでに「何かにあたった」あるいは「誰かが触った」という証拠そのもの。ブルームが落ちていないということは、収穫後とほとんど変わらない状態であるともいえるのです(※生産者がさわったケースも当然あります)。このブルームの有無は、共選所でも品質評価の1つとされており、生産者は常に気を使っているんですね。
直売所の魅力を語る根岸勉さん
ハチマキが似合うJA須高の新井靖彦さん
根岸さんは、「共選所出荷の場合、店頭に並ぶまでの時間を考慮し、少し未熟な状態での出荷になります。しかしながら、必ずしも一番美味しい時期に店頭で並んでいるわけではなく、どうしても採れたての新鮮な時期とズレが出てしまう場合があります。対して、直売所の場合は、その日の採れたての一番美味しい時期の農産物を並べられます。それが、生産者として一番食べてもらいたいタイミングです」と、直売所ならではの魅力を語ってくれました。
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