連載※長野県南佐久郡川上村で高原野菜を生産する野菜農家の新海岩夫さん(56歳)が、月々の農事を綴ります。
川上村のレタス畑
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このところ朝晩めっきり冷え込み、レタスに触れると冷たい日が訪れています。9月は、レタス農家にとっては、最後の追い込みの月です。過去には20日を過ぎて早霜が降り、壊滅的被害に遭ったこともありました。価格が低かった今年を振り返りつつ、残りのレタスに期待しています。
9月という月は元来、雨の多い月でもあり、レタスに病気が多発する月です。黒腐れ病になると、一枚の畑ごと全滅することもあります。その他、レタスの葉に斑点細菌病、ベト病などいろいろな病気も出てきます。レタスの収穫後の畑は、ビニールマルチを剥ぎ、来年に向けて肥料用にライ麦やエン麦などを撒いていきます。これを、秋春に畑にすき込むのです。
ふとまわりを見回すと、ススキやワレモコウなど秋の草花がいつしか茂っているのが目に止まります。時にはトンボが畑に群がることもあります。自然の移り変わりに、人生を重ねて感慨にふける時でもあります。耳を澄ませると、小学校の運動会の練習か、子どもたちの賑わいの声。畑仕事に忙しかった夏の分をとりもどすかのように、川上村ではさまざまな行事が増えています。
衆議院選挙がありましたが、農業への希望をどのような形であらわすべきなのか、価格低迷に苦しむ今年の農家の心は複雑です。秋野菜が高騰した去年の価格までは望みませんが、少しは帳尻の合う価格が維持されることを期待したいものです。
▽長野県の気候・秋の特徴(長野地方気象台)