大樹の農事録
[大樹の農事録]

大樹の、安曇野うまい米づくり農事録 第12回

北アルプスをのぞむ安曇野市は、1等米比率日本トップクラスの長野県を支える米どころ。25歳でお米農家を継いだ安田大樹さんは、おいしいお米を作り続けることが「ふるさと安曇野の景観を守り、地域を楽しくしていくことにつながる」と考えました。

皆様こんにちは。

安田さん農事録

 

新型コロナウィルスの影響は予想を遙かに上回るものとなってしまいました。一刻も早く日常を取り戻せるよう、自分でできる範囲の対策と支援をしていきたいと思います。
そんな暗い世の中ですが、安曇野はしっかりと春の装いを始めています。

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一面に咲くオオイヌノフグリは春の訪れを告げる野草の一つ。いつもと変わらぬ姿で咲く小さな花は、見ているだけで気持ちが明るくなります。
自粛自粛で外に出にくい世の中ですが、気軽に散歩や花摘みができるのは本当にありがたいこと。喧騒から離れたのどかな時間と風景は、心にゆとりを作ってくれます。

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散歩中の用水路の桝は覗かずにはいられない子供たち。この日はテントウムシと謎の幼虫を見つけて喜んでいました♪

 

草刈りを少しでも楽にするために

春になれば草花が動き出すわけですが、そうなると頭をよぎるのが草刈りです(-"-)
少しでも効率よく草刈りを進める為、石がぼこぼこ出ている畦や痩せて崩れている畦を修理します。

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これだけ石があると自走の草刈機では刈れず、ビーバーでも草に隠れた石に当たったりして凄くストレスが溜まります。そんな畦を今のうちに少しでも修理しておくと、夏の草刈が凄く楽になるのです。

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まず、畦に埋め込めないような石を取り除きます。そのあとダンプカーで耕土を持ってきて畦に均一に敷いていきます。その後、法面バケットをつけたバックホウで石を埋め込むようにしながら畦を成形していきます。

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そうすると飛び出た石の無い綺麗な畦の完成°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
あとは草が生えて根がしっかり張ると安定した崩れない畦ができます。除草剤で草が生えないようにしてしまうと、雨で耕土が流され、すぐに石だらけの畔に戻ってしまいます。
一番は丈が伸びない草だけで畦を覆うことが出来たら最高なんですよね。草刈りしなくていいし、景観も守れるし。
畦畔を覆うカバープランツを何種類も試験したことがありますが、数年は良くても手入れしないとすぐに他の雑草に負けてしまいます。雑草魂なめたらいけません。どの草も生きるために必死です。まぁ、植物の多様性は生物にも嬉しいことだと思い、頑張って草刈りさせていただきます!

 

堰ざらい

3月は毎年恒例の堰(せぎ)ざらいが毎週のようにあります。堰ざらいとは用水路に溜まったゴミや草をきれいに取り出し、亀裂などを修理して1年間しっかりと水が流せるようにするための作業です。
地権者が全員集まり、手分けして水路の整備をします。

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水路のメンテナンスはいい米づくりに欠かせません。水漏れがあるとそこだけいつも冷たい水がかかってしまうことになるので生育にムラが出てしまうし、田んぼの土を乾かす「中干し」のときも上手く干せずに品質を落としてしまいます。

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老朽化した水路の目地は経年劣化でボロボロ。このままでは隙間から水がじわじわと漏れてしまいます。

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水路修理の方法は様々ですが、このくらいの割れならコーキングで対応します。苔や大きな汚れをワイヤブラシで取り除き、ブロワで隙間の中の埃を吹き出します。濡れている場合はコーキングが付かないのでガスバーナーで十分に乾かします。

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下処理が出来たらコーキングを隙間にしっかりと充填して表面を均したら補修完了です。下処理をいかに丁寧に行うかが長持ちのポイント。汚れが残ったままコーキングをしてしまうとすぐに剥がれてしまいます。

農業用に網の目のように流れる水路は各圃場に水を送り届けるだけでなく、火災が起きた際の水利になったり、大雨の時の排水になったり、涼しげな音で人の心を癒したりと、そこに住む全ての人の日々の暮らしを豊かにする重要な資源です。

 

春のドカ雪

こんな感じでぽかぽか陽気の中で仕事が捗ったわけですが、毎年必ずと言っていいほどやってくるのが春のドカ雪です。だいたい大半が冬用タイヤを履き替えた3月半ば以降にやってくるんですよね。

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真夜中から朝方にかけて20cm程積もったでしょうか。雨から雪になったので重いのなんの。半日かけて庭とハウス周りを家族みんなで雪かきしました。
登校もミニバス練習も出来ずにエネルギーが有り余っている子供たちには、恵みの雪だったらしく、朝、カーテンを開けると同時に飛び跳ねて喜んでいました。

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山ほど積もった雪は3日もすれば無くなってしまいましたが、思いっきり雪遊びが出来てご満悦の様子。
やっぱ冬はこうでなくっちゃ!

 

環境が変われば、、、

子供たちがずーっと家にいる状況も、色々な遊びを親が考えるきっかけになるので良かった部分もあります。

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最初は安易にパズルなどで時間つぶしを考えたのですが、結局半分以上親が熱中して子供はテレビを見ているという状況に(;^ω^)
これじゃダメだー、ということで一緒に遊べることを色々と考えました。

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図書館で借りてきた科学の本を見ながらスライム作りなどしてみたり。

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天気のいい日には気分転換に、外でカップラーメンを食べてみたり。

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端材でパチンコを作ってみたり。普通下には得点を書くと思うんですが、最近世界地図に興味がある長男は何故か国旗を書き、「ぃえ~い! ブラジール↗」などと言って遊んでいました。

親としても色んな発見があり、刺激になりました。これから本格的に忙しくなる前に子供と向き合える良い時間ができたともいえるかな。

見えない敵との戦いは人の心を不安にさせ、疑心暗鬼に陥りがちです。ここまで新型コロナウィルスの影響が世界的なものになってくると、今までの「あたりまえ」が崩れてくる。その結果、嘘の情報に振り回される、というのも今後の教訓にしなければいけません。
海外からの物流が途絶えた時、生命活動の根幹を担う「食」はどうなるのか。先進国で最低水準の食料自給率の日本がそのような状況に陥った時、食料は「商品」ではなくなります。また、感染拡大で医療機関がパンクした場合、誰を助けるのかを選択しなければなければいけない事態になってしまう。
ここまでくると感染者の増加スピードをいかに緩やかにするかがポイントになってくるかと思います。
どの産業にしても我慢する期間は短い方がいい。それぞれができる対策を最大限行い、早く大手を振って街に呑みに出れるような世の中にしましょう!
そんな日常を取り戻せたら同じ苦難を乗り切った仲間として、全世界同時に乾杯したいですね(^▽^)/
そんな世の中になれば最高に楽しいだろうな♪
なんてことを思いつつ、私は今年もしっかりと安曇野の地に種を撒きます!

 

農事録番外編
長野県のおいしいおつまみ:4月

なんだかんだで1年間やってきました旬のおつまみを紹介するこのコーナー、とりあえず今回で最終回とさせて頂きます。紹介したいおつまみはまだ3年分くらい十分にあるんですが、それは今後記事の中に小出しにしていくことにします。

そんなわけで春は出会いと別れの季節。今年の別れはあっさりしすぎて本当に可哀相でした。そんな春の涙を流し足りない人におススメなのがこれ!

「わさびの花のおひたし」

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食卓で瓶から小分けにしたので見栄えが悪くて申し訳ございません。本当はもっと鮮やかな緑です!

そう! 信州安曇野といえばわさびの名産地。しかも湧水を利用した全国的に珍しい平地栽培なのです。これも安曇野の雄大な自然の為せる技。
昔からわさびの花はよく食べていましたが、県外の人に聞くと芋の部分は食べても茎を食べる文化は少ないようで意外でした。
このわさびの花のおひたしを一口食べると、春があなたの鼻を突き抜けます! そして自然とこぼれ落ちる涙。
これはちょっと食べて日本酒かな♪ 鼻に残るわさびの余韻を日本酒のまろやかさが包んで「くふぅ~。」って感じ。
これ、しっかりとした密閉容器に入れて早く食べないとすぐに辛みが抜けてしまいます。まさに旬の味。
これからは菜の花やナズナといった野草も食べ頃を迎えます。タラの芽やコシアブラなんかの山菜も早く食べたいな。
外へは呑みに行きにくいので、居酒屋でおつまみをテイクアウトしたり、家でちょっと手作りなんかしてみたりして、美味しく「宅呑み」するのも有りですよ。ではまた次回。

この記事を書いた人

安田大樹さん

北アルプスをのぞむ安曇野市は、1等米比率日本トップクラスの長野県を支える米どころ。25歳でお米農家を継いだ安田大樹さんは、おいしいお米を作り続けることが「ふるさと安曇野の景観を守り、地域を楽しくしていくことにつながる」と考えました。

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