浦部さんの農事録
[浦部さんの農事録]

新しく農家になったふたりの農事録 第7回

連載※長野県北安曇郡松川村の浦部勇一さん(39歳)と同い年の千代美さんご夫妻に、月々の農事などを伝えていただきます。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録し、この4月に独立した新規就農者のひとりです。

rainnydays.jpg

毎日、じめ〜じめ〜としてます。
パッとしない天気がつづき、
洗濯物は乾かないわ、畑や庭は雑草だらけで、
まったく気分もパッとしません。
しかもバイト(夜に帰宅)帰りに
雨でも降っていようものなら・・・
わたしの苦手な光景が目の前に・・・
それは、車のライトに照らされて、道路一面に
浮かびあがる無数のカエルたち・・・
ひええええええ〜
カエルを車でひくなんて・・・
あ〜かわいそすぎますぅ〜
ちなみに苦手なのは、カエルではなく
カエルをひくことなのです・・・
オ・ネ・ガ・イ♪
カエルのためにも早く梅雨明けしてください。

植えが終わると、月日が早いといいますか・・・一日が早いのです! わたしの起きるのが遅いのですが(自業自得)・・・

なにを隠そう、わたしは早起きが苦手(宣言!)。農家の嫁にとってはかなり不利(と言うか自分に厳しくなれよ!)。まぁ今は夜のバイトのせいにしてなんとなく許してもらっています(感謝!)

kusakari_b.jpg

主人の農作業のほうは田植え後、毎日の水の管理。6月の中頃からはいよいよ草刈第一回戦目!(シーズン中3回戦まであります)大小さまざまですが数にすると100枚以上ある田んぼの畦草を、毎日毎日朝から晩まで(サマータイムで昼の休憩時間は12時から15時頃まで)刈り続けて約2週間・・・tousannb.jpgその間に、2日ばかり組合のお手伝いで村内中にある大豆畑の起しをやって・・・自分の田んぼの中の草取りもやります。

田んぼの中の草取りは重労働で、この頃主人はロボットのような変な動きになっていて動くたびに「イテテテ」と筋肉痛の変な人になっていました。草取りは田んぼの中に入り『こびえ』と呼ばれる水稲農家の大敵である草を見分けながら抜きます。『こびえ』は稲と見分けるのがむずかしくて、間違って稲を抜いてしまうと結構ショックです。

・・・・・・

もこの頃になるとかなり分けつが進み、大きく育っています。稲は一本の苗が20本前後に分けつするのが品質重視で好ましいようです。あまりたくさん分けつしても有効な分けつ(米になる)にはならないそうで。お米は勉強すると奥がとっても深いのです。今回主人に色々聞いて文章を考えていますが、わたしは水稲の事がぜんぜん分かっていないんだなぁ〜と、つくずく思いました。おいしいお米の食べ方は大得意なんですけど・・・ね!

pirikab.jpg月に入ってから、わたしたちが長野県に移住するきっかけになったとも言える里親さんの経営する山荘ピリカにも、草刈に行きました。5月頃からお客さんは訪れていましたが、これからの夏休みシーズン前に、みんなで草刈です。田植えの時に登場した新人類まもちゃんと、お母さん、主人とわたしの総勢4人で、ビューン! ビューン! と刈りました。まもちゃんとわたしは、今シーズン刈払機デビューでしたが、これが結構面白くて、草刈の虜になってしまいました。

moarb.jpg田んぼの畦草も刈払機を使うのですが、最近増えているのが「モア」と呼ばれる自走式の草刈機(写真右)。石がある所は苦手のようですが、草を粉砕していくので、後で刈った草を集めて焼く作業が無くなります。通常肩掛けの刈払機で草を刈ると地面に近い所で刈るために、雑草の丈のまま畦に切り倒される事になります。その刈った草が乾いた頃を見計らって集めて焼きます。

草刈りは一番草(一回戦目)を刈り終える頃・・・もう2番草がニョキニョキとしています、あまり早く2回戦目に入ると3回戦で終わる予定が4回戦突入なんて事にもなりかねないので、そのタイミングは慎重に・・・で、7月3日頃から2回戦目がはじまりました!

草刈ついでに、地元の神社「有明山社」境内の草刈にも行きました。毎年この頃に行うご奉仕ですが、主人は帰りにクリームパンとコーヒー牛乳を貰って喜んで帰ってきます(安上がり)。

kusaboubou.jpg

そして、わたしも育苗ハウスの中の草取りをはじめました・・・時期的には遅い! って感じです・・・怒られます・・・場所によっては、背丈程に伸び放題になっていました(ビックリ!)。

られると言えば・・・一番最後に田植えをした田んぼが「植え直ししないと又 "見ぐさい事"言われるでー」と・・・nuketeru.jpg苗が育って大きくなると一目瞭然! 歯が抜けたようになっているでは、ありませんか・・・あ〜こんな事になるなら、しっかり早めに植え直ししておくんだったと、思いました。まぁ今回は、どんな事になるかの実験と言う事で・・・このままにしておきましょうか!?

そうそうわが家の畑ですが・・・雨降りが続いて田んぼに戻ったようで、グッチョグチョ。インゲンも枯れる養分みたいで、追肥がんばっています。そしてきゅうり・小さいかぼちゃ・ズッキーニは花も咲いてなんとか実りそうです(ホッ!)

里親さんの畑に植えさせてもらったじゃがいも「インカのめざめ」は初収穫しました。噂通りの少ない収量で、小さめのいも・・・しかし、栗? さといも? みたいな黄色くて、あまくて、美味しいおいもでした。

imo.jpg

ただ、貯蔵は厳しいらしくて、なんと1ヶ月で芽が出るそうです(凄い生命力)。それでも冷蔵貯蔵すれば甘みが増してお菓子にもよさそうですよ。冷蔵して、じゃがいもパイでも作ってみようかな! これからの時期はお野菜が採れるので、自然と食卓がにぎやかになります。採りたて野菜で夕飯!

なんて贅沢な幸せでしょう!

この記事を書いた人

長野県北安曇郡松川村の浦部勇一・千代美さんご夫妻に月々の農事などを伝えていただいています。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録後、独立された新規就農者。おふたりは6年ほど前に神奈川県から長野県に移住してこられました。

記事一覧へ
1184079600000

関連記事

新しく農家になったふたりの農事録 第18回
浦部さんの農事録

新しく農家になったふたりの農事録 第18回

新しく農家になったふたりの農事録 第19回
浦部さんの農事録

新しく農家になったふたりの農事録 第19回

新しく農家になったふたりの農事録 第30回
浦部さんの農事録

新しく農家になったふたりの農事録 第30回

新しく農家になったふたりの農事録 第10回
浦部さんの農事録

新しく農家になったふたりの農事録 第10回

新着記事