浦部さんの農事録
[浦部さんの農事録]

新しく農家になったふたりの農事録 第6回

連載※長野県北安曇郡松川村の浦部勇一さん(39歳)と同い年の千代美さんご夫妻に、月々の農事などを伝えていただきます。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録し、この4月に独立した新規就農者のひとりです。

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6月に入って
あまり天気が良くありません。
梅雨にはまだ早いし・・・
ちょっと寒すぎではありませんか?
日中晴れれば夏のように暑く、
雨が降れば震えるくらい寒い。
天候に左右される農業だけに
毎日の天気予報が
とてもとても気になります。

植えは5月3日からはじめました。で、5月の中頃といえば、この辺の農家では田植えも終わり一段落と言ったところでしょうか? しかーし、わが家の慕う里親農家さんのところでは「もっともっと植えるぞー!」ってな感じで、バリバリと植えている時期です(恐ろしい〜)。

farmdiary2.jpgちなみに今年の田植え協力メンバーは、里親のお父さん・お母さん・勇さん(だんな)・お母さんの甥っ子のまもちゃん・その友人のまつおくん・お母さんのいとこのすみこさん・(時々)わたしの計7人の超強力メンバー。なかでもまもちゃんとまつお君は、若者パワーでなんでもバリバリとこなす最高の助っ人でした。

田植えの前に必要なことは、明日植えるよーって言う田んぼの隅や淵の丘になっている所を、スコップや鋤簾(じょれん)で均しておくこと。当日は、育苗用ハウスからにょきにょきツンツンに育った苗を、苗箱用のラックを付けた軽トラックに手分けして積み込みます(これがなかなかの重労働でして苗箱用一輪車に15枚ぐらい積んで軽トラまで運んだりします)。

軽トラの苗を必要枚数、位置を考えて田んぼの畦に降ろします。軽トラに積むのも降ろすのも、もちろん人力。苗と共に肥料も降ろします。この肥料は田植え機に入れる有機側条肥料で、稲を植える時一緒に撒かれます。最近は一発肥料と言って、肥料はこの一回だけになっています。

で、いよいよ田植えですが・・・なんと! お父さん新車の田植え機をゲット!していたんです。まぁ、お父さんの機械遍歴は凄いものがあって、わたしたちが移住してきた時には、でかジョン(お父さんのトラクター)とちびジョンがすでにあって、お父さんの他にも乗る人がいるのかなぁ〜? なんて言っていたら、「勇さん(だんな)が乗るのよ!」とお母さん・・・

「え〜これに乗っていいの〜」とビックリ! その後はお母さんの知らないうちに田植え機が8条植えになっていたり、去年はコンバインの新車が増えて2台になっていたり、あっ! それと乾燥機3台のうちの1台を60石に入れ替えてましたよ・・・

毎年なにかしらの機械が進化していくので、だいぶ慣れてきましたが、まさか今年も田植え機が新車になるとは思っていなかったので、主人と二人でビックリして顔を見合わせました。

その田植え機は最新型の8条植えで、田植え機がUターンする時に出来る車輪の輪だちを均しながら植えるという画期的機能付・・・つまり、田植えの際にえぶりと呼ばれるT字型の均し棒を持って田んぼの向こう側に行って、輪だちを均すという作業がひとつ減る事になりました。

均し役をやっている人にとっては、わーいわーい!と喜ぶ感じです。輪だちを均す作業は田んぼの中に入って泥との格闘ですから。それに、田んぼの畦は通称「へ〜ちゃん」ことヘビの通り道ですから、出会う確立が減って本当にバンザーイ! なのです。(ちなみにわたしはへ〜ちゃん大丈夫です)

者パワーに恵まれて、田植えはどんどん進みました。その頃主人はまだ代掻きの終わっていない田んぼを地道に踏んでいました。つまり、手番(田植え機に乗る人以外の苗・肥料運び・片づけをやる人達)があるため、代掻きと田植えというふたつの作業を同時に進行できたのです。

farmdiary4.jpg手番の仕事は軽トラから苗を降ろし、田植え機に投入する為の板に移して、それを田植え機の人に渡します。肥料も載せます。そして苗箱洗いをします。

里親さんちの苗箱洗い機は手動式で、箱型のポリ容器に水を溜めて、中のブラシ2本の間に苗箱を入れ3〜4回出し入れすると言うもの。結構楽しくて、わたしは大好きですが、数が半端じゃ有りません。種まきした分だけありますから・・・全部で3300枚!・・・これだけをいっぺんにやれ! なんて言われたら無理なので、毎回田植えに苗箱洗い機を持参して、その場で洗ってしまいます。

月20日頃になると、天気がいまいちパッとしません。結構足踏み状態の日があり、田植えは今月中に終わるの? かな? かなり心配になってきました。そのうえお父さん(里親)は「あ〜もう(田植え)やだくなった・・・」と言う始末。そこで、なんと若者まもちゃんが田植え機デビューしてしまいました。

若者まもちゃんはさすがに新人類です! 迷うことなくチャッチャッと植えて行くではありませんか。うーむ。跡取りの居ない里親さんに、将来の頼もしい味方ができたかも?

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田植えの終わった田んぼ。まるで鏡のように空を映して

は田植えは毎日やっているわけではありません。3日やって2日空けるとか、天候によってとか・・・空けた日は荒くれ代掻きなどをやって、田植えの出来る状態を作るというような感じです。もし田植えを毎日やっていたら、み〜んな疲れてパッタリと倒れちゃいます。田植えは重労働ですからね。

5月も25日を過ぎると、先が見えてきました! 犬の散歩に出かけると「田植え終わったー?」と近所のおばさん。「まだで〜す」とわたし。こんな会話が何回か・・・そしてやっと、残りの田んぼも数えられる程になっていました。

その頃は主人も田植えに加わり、自分の借りた田んぼに自分で田植えをしました! はじめは曲がったりだぶったりでしたが、やっていくうちに真っ直ぐ植わるようになりました・・・そして、5月30日午前中、わが家が借りている神戸(ごうど)の田んぼを主人が植えて・・・2007年度の田植えが全て終了!しました(拍手)。

今年は思ったより長かった田植えですが、なんとか5月中に植え終わってホッ。

田植えの後は、トラクターのちびジョン・でかジョン(里親さんの大きいジョンデアー)・田植え機を主人がピッカピカに洗いあげ、お祝いの宴で〜す!!

超協力メンバーの方々、本当にお疲れさまでした。実は、わたしは現在パートに出ているため、全ての作業には参加できませんでしたが・・・何年後かには、必ず農業一本! で生活していけるようになりたいです。

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「朝、日が昇ると共に起きて日暮れと共に家に帰る」――そんな生活が出来るようになりたいと思います。

こんな5月だったわが家ですが、すっかりおざなりになっている畑に行ってみると・・・きゃー草だらけー! どうしよう!? 小さな草がゾクゾクと出ていました。ちゃんと畑にできるのかなぁ〜? わが家のテラスの上で出番を待つズッキーニ・きゅうり・とまと・かぼちゃ・・・の苗たち待っていてね、必ず今週中に畑に植えてあげるから! ちなみに里親さんの畑に植えさせてもらったじゃがいもは、花が咲いていました(希望の花だ!)。

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長野県北安曇郡松川村の浦部勇一・千代美さんご夫妻に月々の農事などを伝えていただいています。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録後、独立された新規就農者。おふたりは6年ほど前に神奈川県から長野県に移住してこられました。

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