こんにちは!セルリーの平出です。農家さん日記はじめたいと思います!
梅雨明けが宣言されてから、とてつもない暑さで、野菜だけでなく人も体調が悪くなる気温です。
週間予報の最高気温が毎日30℃を超えるのは、僕が農業をはじめた2015年以降、はじめてではないでしょうか?
暑さに負けて変色してしまったセルリー…
さて今回は、この暑い時期のセルリーの栽培に欠かせない「ある対策」と、それに使う農機具を紹介します。
暑さ対策その1・積算温度を考慮
そもそもセルリーの生育適温は15〜25℃といわれていますが、原村でも30℃超えの日々を記録しています。
そこで我々がとっているのが、積算温度での対策です。積算温度というのは毎日の平均気温の合計です。平均25℃が2日だと50℃といった感じです。
野菜によっては日数よりも積算温度で大きさが変化するものがあります。
セルリーは地域の潅水システムを利用して、晴れた日は毎日水やりをしています。
この時間を朝方から午前中にすることで、最高気温に達する14時頃に気化熱を利用し30℃の時間帯を少なくするようにしています。
暑さ対策その2・潅水時間の工夫
また、同じ原理の利用方法として、潅水時間を半分にして午前と午後の2回に分けて水やりをする方法もあります。
潅水の様子
そこで大事なのが、地域一丸となって作った潅水システムです。標高の高いところに溜池があり、広範囲の畑の地下に水道が敷いてあって、利用したいときに蛇口をひねるのみ。
標高差を利用しているので、電気などは基本使っていません。気をつけなければいけないのは、ご近所の畑で水を出しているときは水圧が上がらないので、利用できないこと。生産者間の譲り合いが、このシステムの肝です。
なので、近場の畑の状況を考慮して、潅水の順番などを対処しています。
暑さ対策その3・塩分の散布
しかし、これだけで30℃超えを乗り切れるわけではありません。
そこで先人が考えたのは「塩化カルシウム」のスポット散布です。カルシウムは植物の生育には欠かせない成分です。この肥料を水に溶かして散布していきます。
塩化カルシウムスポット散布の様子
暑さにより根からカルシウムを吸えなくなることがわかり、芯部分に向けて直接塩分を与えます。
ほかの農薬のように、葉に直接かけると、逆に塩害が出てしまいます。なので、小さいシャワーのような道具を使って、植物体の中央部へのみ散布します。これには動力噴霧機を使います。いわゆるポンプです。
動力噴霧器
ノズル。ここから散布します
ただ、これでもすべてが解決できなくなってきているのが今年の夏です。
カルシウム不足によって芯焼けしてしまったセルリー
もう少し革命的な対策が必要になってきているのが、最近の農業事情。出荷規格に至らず畑で捨てているものも多々あり、出荷量も昔より減っているのが現状です。
なので、この時期に商品として並んでいるセルリーは、この猛暑を乗り切った優等生であると同時に、適温外の環境で育ったある意味「奇跡のセルリー」です。
今年の夏はぜひ、そんなセルリーを食してみてください!
では、今回はここまで。また次回の農家さん日記でお会いしましょう!