中川さんの農事録
[中川さんの農事録]

おいしいブドウができるまでの農事録第10回

連載※長野県松本市の東部高原で各種のブドウを生産する果実農家の中川 敦さん(47歳)が、月々の農事を綴ります。

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んにちは。

10月ですね。

たいへんにいそがしいです。

8月のお盆のころから、ほとんど毎日のようにぶどうの収穫作業をやっているので、ホントに大忙しです。収穫の時期以外は、忙しいといってもそれは昼の間だけですが、この時期は仕事が夜までかかることも多いので、大変です。

雨で収穫作業のできない日が、しいて言えば少しだけゆっくりできる日でしょうか。このブログ原稿も、はよやらねばと思いながらも実は締め切り日を過ぎてから書いています。

関係者の方々、ホントにスミマセン。

写真はデラウェア園そばにある双体道祖神。

信州は道祖神の宝庫といわれているらしく、わたしのいるこの地域にもあちこちにこんなカワイイ道祖神が立っています。grape1.gif澄んだ空と北アルプスを背景にした、ぶどう畑と道祖神。

ここは私のお気に入りのポイントです。

それでは10月の農事録――

だ今、巨峰の収穫の真っ最中です。

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「小ぶりの房で大粒に!」

それが今年の巨峰づくりのテーマでした。30粒くらいの房で550グラム程度あるので、単純計算で1粒約18グラムもあります。とどーんとデカくて見栄えがいいでしょう。木によっては「ピンポン玉かこれは!」というくらいの粒をつける房もあります。食味もだんだん濃厚になってきました。

ころで、おいしいぶどうの見分け方。

黒いぶどうは、粒のつけ根までちゃんと黒くなっているかがポイントです。

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こんなふうに、つけ根まで真っ黒なら問題ありません。巨峰本来の濃厚な味がする房です。

この房、満足の一品なり。

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ところが房全体が、真っ黒でなく、なんとなく赤黒い色をしている房、これは要注意。つけ根をよく見ると、紫色です。収穫時期がまだ早い印です。でもその年の気象条件やその時の木の状態によっては、これ以上黒くならないこともあります。こんな房は糖度があまり高くなく、水っぽい感じで、食べてもあまりおいしくありません。

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っぱもそろそろ黄葉しかけてきました。今のところ大きな病原菌におかされることなく、元気ないい状態を保っています。

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デラウェアに続いて巨峰の枝も登熟が進んできました。

来年のための貯蔵養分をしっかり貯めこんでくれています。

て、毎日巨峰の箱詰めをやっているのですが、毎日最後にはどうしてもハンパ物の房が出てきます。そのような時はジャムやジュースをつくって楽しんでいます。

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巨峰の粒を4分の1にカットして、グラニュー糖をたっぷり加えて、ぐつぐつ煮詰めれば巨峰ジャムのできあがり。

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煮立てて裏ごししたものにレモンを加えたら、巨峰ジュースのできあがり。

これはなかなかイケますよ。

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ハネだしものの巨峰を持っていってくれた知人が巨峰ゼリーをつくって持ってきてくれました。

オイシイオイシイ。

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のぶどうは「ナイアガラ」。わたしのぶどうの先生から、ハネだしものをいただきました。アメリカ系の昔からの品種です。独特の風味があって、好みが分かれるぶどうですが、根強いファン層に支えられています。

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峰で忙しい忙しいと言いつつも、収穫が終わったデラウェア園へも足を運びます。葉っぱの状態などを見回りに行くわけです。この時期、病原菌に取りつかれて、茶色くチリヂリになった葉っぱばかりの、いかにも不健康そうなぶどう園と、美しく黄葉しはじめた葉っぱばかりの、どこから見ても健康そうなぶどう園の違いが、はっきり表れてきます。

さて、わたしのところは・・・まあ、まずまずでしょうか。

今年一年ごくろうさん、今はゆっくりおやすみと、1本1本に声をかけてあげました。

巨峰のほかにピオーネもつくっているのですが、10月の第3週前半には全て収穫し終える予定です。それからしばらくは、半年ぶりにゆったりとした時間が持てると思います。

それではまた11月にお会いしましょう。

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長野県松本市の東部高原で各種のブドウを生産する果実農家の中川 敦さん(47歳)が、月々の農事を綴ります。

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