中川さんの農事録
[中川さんの農事録]

おいしいブドウができるまでの農事録 第9回

連載※長野県松本市の東部高原で各種のブドウを生産する果実農家の中川 敦さん(47歳)が、月々の農事を綴ります。

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なさんこんにちは。

9月です。

たいへんにいそがしいです。

8月のお盆のころからデラウェアの収穫をはじめています。この原稿を書いているのは実は9月5日なんですが、連日の収穫・選果・箱詰め作業で、もうクタクタです。そして9月11日が収穫最終日の予定です。

ところで自分はJA松本ハイランドの入山辺(イリヤマベ)支部青年部に属しているのですが、先月の8月15日、長野自動車道・梓SAで、山辺ぶどうと桃の消費宣伝会をやってきました。

去年までは美ヶ原高原山麓の桧の湯という鄙(ひな)びた温泉地でやっていたのですが、鄙びすぎていて地元の人以外の人がほとんど来ないという反省をふまえて、今年は高速道路の大きなサービスエリアで、しかも帰省期間中という時期に、この消費宣伝会をやってみました。

grape1.gif思惑どおり(?)、他府県ナンバーの車が99%で、たくさんの人が「おいしい〜!!」「粒が大きい〜!!」「甘い〜!!」と言ってくれました。売り上げこそたいしたことはなかったのですが、消費宣伝会という目的からすれば、一定の効果はあったのかなと思います。

さて、今月の農事録。

例によってとりダメしておいた写真でご紹介します。

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8月18日の第1デラウェア園。そろそろ本格的な収穫にとりかかります。木ごとに味と着色を確かめて、どの木から収穫をはじめようかなぁと作戦を練る園主でありました。

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「はよ穫ってくれ〜い」という声
8月22日。これからしばらくの間が、デラウェアが一番おいしい時期です。他産地のデラウェアと違い、黒い色をしています。「はよ穫ってくれ〜い」という声が聞こえてきます。

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着色をよくするために、7月に副梢整理をしました。ところが棚面が明るすぎるところの房はこうして日焼け症状をおこしてしまい、いくつかの粒がしなびてしまいます。今年は特に梅雨明け後数週間の日ざしが猛烈だったので、こうした日焼け症状を起こしてしまった房がずいぶんあります。しなびた粒を取り除いて出荷するのですが、その取り除く作業が今年は特に大変です。

朝起きてから夜寝るまで
さて、基本的な一日のスケジュールなんですが、朝5時起床、前日に収穫・選果・箱詰めしたぶどうを「山辺ぶどう集荷場」へ持っていきます。

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一旦帰宅、朝食後、軽トラに収穫コンテナをたっぷり積んでいざぶどう園に出陣します。6時半ごろから約3時間半、房数にして約1100房、たっぷりと時間をかけて収穫をします。この時、午後の仕事を楽にするために「贈答セット用」「市場出荷用」などに仮選別しておきます。

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荷台はデラウェアのコンテナでいっぱい。

11時ごろから、まず「贈答ぶどう」の荷造りをします。外見着色の最もよいものを一房一房ぶどう専用の紙セロ三角袋に入れて10房を2キロ箱に詰めます。

3時ごろから今度は「市場出荷用」の荷造りをします。いろいろな人から「収穫の時期はとても楽しみでしょう?」といわれるのですが現実は全く反対で、選果と箱詰め作業は年間通した一連の仕事の中で一番きつい作業です。

お客さんの声をエネルギーに
それでも「贈答ぶどう」ではお客さまの反応がダイレクトに伝わってくるので、「おいしい〜!」「ありがと〜!!」「追加注文〜!!」・・・こういうお客さまの声がこの時期を乗り越えるエネルギーの源になっています。それでも今年は、天候がなんだか不順で、雨の日が多く、収穫ができない日も何日かあって、なかなか予定通りにはいきません。

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こちら巨峰。8月22日です。紫黒色です。味はまだまだ。

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9月1日です。いい感じになってきました。

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9月1日のデラウェア。「登熟(トジュク)」といって、緑色の枝が硬く褐色化しはじめました。この時期でこの登熟具合なのでなかなか木の充実もいいようです。登熟が悪いと、つまり褐色化しないでいつまでも緑色のまま枝が伸び続けている状態だと、来年の芽ふきが悪いばかりでなく、ひどい場合だと枝ごと冬の寒さで枯れ死してしまいます。

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同じデラウェアでも木によって葉っぱの大きさや形がこんなにも違います。

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おつかれさまとお礼肥え
たくさん房をつけて木が疲れているので「お礼肥え」をやってきました。人間と一緒で、疲れたあとのドリンク剤みたいなもんです。

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9月10日の巨峰。ほとんど真っ黒に着色してきました。さ〜ていつから収穫をはじめようかと「贈答セット」予約数と「ぶどう集荷場カレンダー」をチェックしながら作戦を練る園主であります。

それではみなさま、たいへんにいそがしいので、これにてごきげんよう。

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長野県松本市の東部高原で各種のブドウを生産する果実農家の中川 敦さん(47歳)が、月々の農事を綴ります。

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