太田さんの農事録
[太田さんの農事録]

脱サラで花栽培!太田さんの農事録 第10回

 

なかなか読めない秋模様
今年の秋は寒いのか暑いのかわからない秋です。
先日も私が住んでいる飯山市が長野県内で一番暑く10月なのに31℃を超える猛暑日になりました。
そうかと思えば夜や朝方は気温が1桁台になる時もあるので体調管理が大変です。
そんな中、先月もそうでしたがまた台風がやってきました。
農家は台風が来るたびに農作物の被害やハウスの倒壊など心配事が人一倍多くなりますが、幸い今回は被害が少なくてすみました。
台風が通過するたびに気温が下がり秋っぽくなりますが、それでも例年より暖かいです。


太田家の紅葉は...

卉類も、本来寒くなって色が着いてくる「ヒペリカム紅葉」が紅葉しないので出荷できない状態です。

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ヒペリカム紅葉

写真の段階ではまだまだ紅葉しきれていないので出荷する事は難しいのです。
昨年から始めたヒペリカム紅葉栽培は、昨年はいい色に紅葉したのですが、原因が栽培方法なのか、気温が高いせいか、土や肥料のせいか紅葉の研究段階なのでわかりません。
その代わりヒペリカムオータムが綺麗な色を着けて出荷できそうです。
ヒペリカムオータムと言うのは夏場に出荷していたヒペリカムの二番花がこの時期に出荷できる状態になり、枝などが太くボリュームが出ます。

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ヒペリカムオータム

"ガ"の研究も始めました!

JA北信州みゆき花き青年部の仲間で数年前から「オオタバコガ」の発生予察研究に取り組んでいます。
「オオタバコガ」は、その他のガと異なり、卵を一箇所に産み付けるのではなく、多くの植物の先端に1個ずつ産み付ける(1回で300個くらいだそうです)ということで、成虫1匹でも被害が甚大となります。孵化した幼虫は、とにかく植物を何でも食い荒らし、また、花の蕾の中に潜り込んだりもして、花の流通過程で外に出てくることもあります。既存の殺虫剤への抵抗性も獲得してきていることもあって、大きな問題となっています。
通常、土のなかで蛹のかたちで越冬します。「長野県のような寒冷地では越冬できない」というのが通説でしたが、ここ飯山のような多雪地帯では、雪の下が比較的高い温度に保たれるために越冬できてしまうようです。
被害を少しでも減らすためにはタイミングよく消毒して防除する必要があります。どの時期に成虫が多くなって卵を産み付けるのかを知ることが大切です。そのために用意されているのが、「フェロモントラップ」という道具です。粘着シートの中央に、オスをおびき寄せるフェロモン(ルアー)を設置して、どれくらいの数のオオタバコガが捕殺されるか、その消長を見ます。管内、各地域の青年部員が、畑のなかにこのトラップを用意して、1週間ごとに計数して報告、部会員全体に即時告知できる仕組みをつくっています。期間は、6月の初めから10月の終わりまでおこないます。
我が農園でもヒペリカム畑にトラップを設置していますが、気温がかなり低下してきた現在でも、とにかく多いです。
当然、防除していますが、他の青年部員の畑より標高が低く気温の高い場所のせいか、周りに加工トマト畑などの野菜畑が多いせいか、まだまだ研究は続きます。

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フェロモントラップの設置
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粘着シートに捕殺されたオオタバコガ

今年の出荷もあと少し

く続いていたワレモコウも終わりに近づいてきました。

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終わりが近いワレモコウ畑

ワレモコウが終わると残りのヒペリカムを少し出荷して今年の花卉の出荷は終了です。
あとは雪が降るまでに新しい苗植えや畑作り、スズラン苗堀りとまだまだ忙しさは続きます。

この記事を書いた人

太田和明さん

北信州の飯山市で花き農家を営む太田和明さんは、2006年に39歳で脱サラし、故郷で就農しました。父・雄三さんと共に何種類もの花を栽培するかたわら、地域活動やJAの青年部活動にも積極的に関わり、農業と地域を盛り上げています。美しい花を咲かせるための奮闘と、日々の暮らしを綴った農事録をお楽しみください。

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