まだ始まったばかりで量は少ないのですが、夏アスパラの収穫をしています。
収穫と言えば聞こえがいいのですが、実際は株の整理をしていると言ってもいいかもしれません。
前回の農事録では、一旦収穫を止め茎を伸ばしていることをお伝えしました。
茎を伸し始めて直ぐの頃は、収穫時と同じように新しい芽が出てくるのですが、ある程度の本数の茎が伸びきり、枝を伸ばし始める段階になってくると、新しい芽がピタリと出てこなくなります。きっと枝を伸ばし葉を茂らせることに集中するのでしょうね。
この夏どりのアスパラは、茎→枝→葉の順番で生育します。そして、列になって植わっているアスパラすべてが、まるで申し合わせたかのように、同じタイミングで葉が茂り、再び新しい芽が出始めるのです。きっと、葉が茂ることで光合成もできるようになり、芽吹く余力が出てくるのだと思います。
ここで、「株の整理」と言った理由なのですが、それは...。
(1) 1mの中に10本~12本ほどの本数にしたい
(2) 1本1本の茎の間隔をこぶし1個分ほど空けたい
(3) 単3乾電池ほどの太さのアスパラだけ切らずに残したい
というような状態にしたいからです。
結局のところ「過繁茂にしたくない!」ということなのです。
栽培中は「茎枯れ病」という病気がどうしても蔓延しがちです。植物がかかる多くの病気の病源は、高温でジメジメが大好きです。とくに梅雨などの雨の多い時期は、なおさら風通しを良くてあげることで、少しでも病気が広がることを防ぎたい、と「株の整理」を行っています。
タマネギの当たり年!
今年もタマネギの収穫を行いました。
6月に入ってからは毎朝天気予報と睨めっこでしたね。「今日の天気は?」「何時まで雨が降らないでいてくれるかなぁ?」「来週まで雨はどう?」といった具合です。そんなことをしながら晴れている時間を狙い、お陰様でタマネギの収穫を無事に終えることができました。
今年はどうやらタマネギにとってとても育ちやすい環境となったらしく、武石地域でタマネギを作っている多くの方が「今年はタマネギ当たりだったなぁ」と言う言葉を耳にします。
そうなんです! 1つ1つのタマネギが大きく、玉揃いの良いタマネギとなったのです。
自宅用として栽培されている方々は軒先に吊るして乾燥させるのですが、私のところでは葉と根を切り落とし、店頭で売られているような形にしてコンテナに集めます。集められたタマネギはコンテナのまま倉庫に積み上げて乾燥の時間を取り、その後は泥と外皮を取り除く「磨く作業」を行うのです。
今年も、どちらの作業とも福祉施設の利用者の方々と一緒に作業しました。
雨の合間を縫って行った作業がもう1つ。それはアスパラの定植です。
文字どおり雨の合間を縫って行っていたのですが、時には写真のようにきれいな青空が見られました。
定植に使った苗は、自分で種を播き育てたものを植え付けました。無事に植え付けは終わったものの、この後本格的に収穫できるようになるまでは、3年ほど我慢強く栽培管理だけを行うことになります。
害虫の団体様が...
続いて農業の厄介者のコーナー。
ちょっと焦点があっていない感じなので見づらいのですが、この写真の中央の茶色い物体が問題なのです。私たちからすると害虫です。名前は「ジュウシホシクビナガハムシ」と言います。これは幼虫。頭に来るくらいアスパラの葉を食い散らかして行くのです。しかも団体様で...。
同じ所で同じ作物を栽培し続けているとこういった弊害が出てきます。農地面積の少ない日本では、同じ作物を一度にたくさん栽培する「集約栽培(農業)」を行っているのでなおさらです。
そして、同じ作物を作り続けることで病気が出てしまうことを「連作障害」と言いますが、これはその害虫版です。
雨は天からのお恵みです
さて、気持ち悪い写真でしたが、こちらはどうですか!? こちらもちょっと見づらいですかねぇ...。雨続きの合間に出た虹なんですけれど。
まるで地面から空に向かって出ているのではないかと思ってしまうくらい、本当にきれいな虹でした。
すでに梅雨は明けたわけですが、今後も雨の心配が全くないわけではありません。最近は、短い時間とはいえ局地的に大雨となる「ゲリラ豪雨」も起きますし、もう少し経てば「台風」の時期もやってきます。大気の状態によっては「線状降水帯」のように、大雨が長い時間続くとことも多くなりました。ご存知のようにその影響によって大きな災害となってしまったところもあります。
時には私たちの生活までも脅かす雨なのですが、もちろんいいこともありますよね。私たち農業者にとってはこれ以上にない灌水であり、天からのお恵みです。
どんな高性能な機械も、均一さと水量で雨にはかないません。この中山間地域では、山に雨が降ることによって地中深くに水が蓄えられ、それが美味しい水となって私たちの所に届きますし、田んぼのための水にも困ることはありません。
「地球の環境が大きく変化してしまった」と言われる昨今です。もちろん元のように戻すことができればいいのでしょうけれど、それはなかなか難しいようです。地球上で生きている皆が協力し、これ以上悪くならないようにしていきたいものですね。