飯島さんの農事録
[飯島さんの農事録]

仲間と楽しく、農業を。飯島さんの農事録 第8回

飯島さん農事録

 

こんにちは!
冬至が近づくにつれて夜が長くなっていますね。そして、今年はやはり例年に比べ寒い気がしています。
この原稿を書くころになって急に大きな寒波が襲ってきたため、全国的にも大雪となったところが多かったみたいですね。私の住む上田市の武石地域も雪となりました。ほんの数センチ積もっただけなのですが、陽射しの弱い朝夕には路面がツルツルです。
こうなると家から車で30分の範囲内に温泉がいくつもあるのはうれしい限りです。先日も隣町の温泉でゆっくりしてきました。

 

冬支度1《秋起こし》

稲刈りの終わった田んぼは、細かく切られたワラや稲の切り株、もしくは茶色い土が見えるだけとなるので何とも寂しい感じがします。でもそんな感傷に浸っている場合ではなく、本格的な冬を迎える前にやることはたくさんあります。

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それらは前回お伝えしたようなカボチャの収穫であったり、タマネギの植え付だったりするわけですが、田んぼではトラクターに乗り、秋起こしをしました。堅く締まった土をほぐすとともに酸素を入れてあげるのです。細かく切ったワラも混ぜ込んでいきます。農家さんによっては堆肥を入れたり、微量要素(植物の生育に必要不可欠な元素のうち、含有率が0.01%以下のもの。鉄、マンガン等)を足してあげたりもしますが、いずれにせよ今から来年の春までの間、ゆっくり時間をかけて微生物に働いてもらうとともに休んでもらうために行います。

冬支度は田んぼだけではありません。ある程度霜が当たり柔らかく、そして甘味の増したハクサイやキャベツ、長ネギなど、冬の間食べる野菜を収穫しそれぞれの家で保存します。
そしてもちろん忘れてはいませんよ。長野県の人間ですからこれは外せません。皆さんもうお分かりですよね。「野沢菜」です。私の小さかったころに比べると漬物として漬ける時期はだいぶ遅くなりましたし、その量も格段に減りました。味に関しては、塩分をかなり控えるようになり、同じ野沢菜漬けでも今やそのレシピは様々ですね。
どんな漬け方にせよ食卓には必ず並びます。個人的には今時期の浅漬けくらいの方が好きで、葉っぱの方より茎の方がいいかなぁ。古漬けになってしまったものは煮てもらって「おやき」の具にしてもらうのが一番だと思っています。

 

冬支度2《アスパラガス》

次はアスパラの片付けの話です。
以前から「アスパラは養分を根っこにためる...」ということをお伝えしてきました。根っこが吸収する養分も多いわけですが、健全な葉や茎を維持することが大事で、そうすることで光合成が行われ養分をためることもお話ししたかと思います。
ご家族でアスパラを育てている皆さん、皆さんのアスパラはいつごろまで緑色でしたか? 枯れてしまったときはどんな色でしたか?
では、ここで2枚の写真を見てください。どちらも11月23日に撮った写真なのですが、色の違いがわかりますか?

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1つはもうすでに枯れてしまっていることがわかる色ですよね。しかも色がくすんでいてきれいでない。これは病気によって枯れ上がってしまったためと言えます。
もう1つは黄色が鮮やかでしょ。山のモミジがきれいに黄色くなった時と同じで温度の変化によって枯れたのです。
もうお分かりと思いますが、後者のようになるべくきれいな色のまま枯れていくようにできた場合は、枯れるギリギリまで養分が送られていると考えていいかと思います。特に養分が根っこに届く量が多いとされているのが17℃くらいの時のようですので、9月・10月までは全体がしっかり緑色のまま残しておきたいところですね。
そのような観察をしながら、枯れたと思ったら次の段階に進みます。

春から今まで頑張ってくれたアスパラです。来年もたくさん頑張ってもらわなければならないのできれいに片付けようと思っています。そのため地際を刈り払い機で切断し、ある程度の量に丸めて運び出し、近くで燃やしています。

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「別にほっとけばいいんじゃないの!?」と思う方もいると思いますが、ちゃんと切ってキッチリ燃やすことが大事なのです。茎が残っているという時点で来年の管理作業や収穫作業の邪魔になるということもありますが、なにより病気をなるべく残さないことに注力する必要があるのです。

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ちなみに、燃やす時には消火器を準備し消防署にお知らせしてから、にしています。

 

どうしようコレ...

「なんか今年はスズメバチが多いなぁ...」なんて思いながら作業場として使っているビニールハウスの周りの草刈りをしていたのですが、とんでもない所にその巣を発見したのが夏の始まりくらいだったでしょうか。
その巣は作業場のすぐ横、鍬やスコップをしまっていた小さな農機具用の小屋の天井にありました。発見当初の大きさはソフトボールより大きいくらい。さすがに刺されるのが怖いので駆除することもできずにいたのですが、あれよあれよと言う間に大きくなり、夏の終わりには小学生が一抱えするくらいまで成長させてしまいました。

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この寒い時期になり、空き家となったような気がしていますが、未だ何となく恐ろしく小屋の天井に吊るしたままです。う~ん、どうしよう...。

 

晴れやかな気持ちで新年を迎えましょう

さて、何度も同じことを言っていますが、雪が降るくらい寒くなり今年も例外なく冬がやってきました。寒いと「外に出たくない!+体の動きが鈍い!+お日様どこいった?=仕事したくない!!」になってしまっていて、毎日ゆっくりのんびりアスパラの片づけをしています。でもこの作業はなるべく早く終わらせてビニールハウスを建てなければならないのです。ヤバイっ!! もう12月も終わる...。と言うことは2020年もあとわずか...。
そんなこんなですが皆さんにとって今年はどんな1年でしたか? やはり「コロナの影響が...」と言うのが開口一番に出てくる言葉になってしまうかもしれませんが、2021年は我慢した分だけ良い年になるはずです。31日までは気を抜かず、そして新年は晴れやかな気持ちで迎えましょうね。
それでは良いお年を!

この記事を書いた人

飯島正行さん

農業を行っている会社や農業に携わる組織で仕事をしていた飯島正行さん。そこで培った経験から「自分で農業がしたい!」と、上田市武石で就農して5年目になります。武石は水も気候も農業に適しているし、何より若手が多くにぎやかなのがいい!青年部の仲間とともに楽しい農業を目指します。

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