飯島さんの農事録
[飯島さんの農事録]

仲間と楽しく、農業を。飯島さんの農事録 第3回

飯島さん農事録

 

こんにちは。
農業を通して生き物を相手に毎日過ごしていると、季節が変わっていくことが本当によくわかります。雪が融け、陽射しが暖かくなると田んぼや畑の準備を始め、作物も雑草もすごい勢いで伸び始めたかと思えばそのころにはアスパラガスの収穫や田植えがあり、あちこちにある畦や土手の草刈りが一回りするころには梅雨になります。そしてあれよあれよという間にお盆になり、それが過ぎると今度は台風がやってきてハウスが飛ばされてしまうのではないかとハラハラするわけです。そんな時もつかの間、いつのまにか稲刈りが始まっていて、1年お世話になったアスパラを片付けていると白いものがチラチラ...。といった具合に、淡い緑やきれいなピンクが過ぎると一面の濃い緑。そして辺りは金色になり、最後は真っ白となるわけで、1年なんてアッという間であることをここ最近は特に感じています。

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今は梅雨。7月に入ってからいったい何時間晴れていてくれたでしょうか。各地の大きな災害の状況が報道されています。昨年の台風19号の時の水害が頭をよぎり、人ごとではありません。「ここは大丈夫」と思うのではなく、注意や準備をしなければなりませんね。

 

「農産物直売所 マルシェ黒耀」にお立ち寄りください

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先ずは皆さんにお知らせ! 6月13日に隣の長和町の道の駅に「農産物直売所 マルシェ黒耀」がオープンしました。
長和町を中心に、地元の方に気軽に買い物に来ていただける場所であり、この地域に遊びに来た方に立ち寄っていただけるような場所として、品物に関しても市町村の境をなくし、様々な人や物の交流ができる、今までにないお店を目指しているようです。

お店の中は、地域の農家の方々の持ち寄った野菜、肉、卵などはもちろん、お味噌やパンなど、この地域で作られた加工品や手作りの工芸品まで、色々なものが並んでいます。
私が気に入っているのは、古書や昔ながらの雑貨までもが並んでいることです。こういうところで古本を置いているところなんてなかなかないですよね。

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支配人の方にお話を伺ったら「暮らしを楽しめる場所にしたい」ということでした。そのような中で「物を大切にしたい」と言うようなことも含まれているようであり、古本や古雑貨も販売しているようです。
オープンして1ヶ月ほどとなります。うれしいことや楽しいことはもちろん、課題となることも多いようですし、今だからやりたい企画や今後取り組んでいきたいことがたくさんあるようでした。そのような中で支配人さんは「地道に取り組んでいきたい」と言うことを口癖のようにお話ししていました。

私もアスパラガスやタマネギの他、ちょこっとだけ作っているハーブ類を並べさせてもらっていますが、私個人はもちろん、所属している地元農協青年部としてもなにかしら協力していき、地域の方々や訪れる皆さんが笑顔になる場所になればいいなぁ、と思っています。

 

その後の野菜たちは...

さてさて、「農事録」なのですから本題に入りましょう。
第1回目の農事録からすでに4ヶ月が経つわけですから、5月に植えた稲は大きくなっていますし、アスパラガスのように収穫をしているものもあります。
その他として、タマネギの収穫を6月下旬に終えました。カボチャが滅茶苦茶大きく育ってきていて、ジャガイモはもうすぐ収穫時期を迎えますし、長ネギやゴーヤなんかも順調に伸びています。野菜が成長すれば、畑の周りの雑草も例外ではありません。
色々な種類の野菜を作っているとそれぞれに手間もかかります。でもそんなときは助っ人をお願いしています。まずはパートさん。近所のお母さんが朝も早い時間からいつも元気にアスパラの収穫に来てくれます。作業中は雑談をしながらなので収穫もアッと言う間です。

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私が就農してからずっとお世話になっているのは、同じ地域の福祉施設で「就労継続支援B型」を利用している方々です。4~6名くらいで来ていただいていますが、今回はタマネギの収穫をお願いしました。こちらもみんな明るくワイワイ言いながらの作業でした。
今年はコロナの影響もあり学校がお休みになってしまった時がありましたよね。そんなときに来てくれたのが近所の子供たちでした。4月号の写真にあるアスパラのネットを張ってくれた小学生、そしてカボチャの種まきには中学生が来てくれたのです。
今回はこのような内容を全部とはいきませんが写真で見ていただこうと思います。

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カボチャの芽

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どんどん成長するカボチャ

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おいしそうに実りました

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全体を見るとこんな感じです

 

前回の問題の答え

前回は皆さんに問題を出しましたよね。どうでしたか、答えは出ましたか?
第1問目は「マルチの効果について」でした。答えはいくつかあります。

(1) 地面をピッタリ覆い遮光するので雑草が生え難い(透明な場合は芽が出てもマルチに触れた部分が熱で焼けてしまう)。
(2) 土の水分を保ってくれる。
(3) これは問2の答えにつながりますが、土の温度を上げてくれる。

と言うのが主な効果でしょう。そうですねぇ、身近なところで考えれば食べ物にラップをかけることはイメージに近いでしょうか...。
ただし1年ごとキッチリ片付ける必要があります。ポリマルチの場合腐ってしまうことがなく畑のゴミになってしまうからです。今は技術も進んでいて光や水、温度などで分解されるようなものもあるんです。

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第2問目は「(1)透明、(2)黒、(3)白のマルチのうち土の温度が一番上がるのはどれ?」でした。
答えは(1)の透明です。ここでは「土の温度が...」という問いの内容ですのでこうなります。透明のマルチの場合は、地面が直接熱を吸収できることができ、張ってあるポリマルチのおかげで熱が逃げづらくなるためです。そのため畑一面に透明マルチを張り「太陽熱消毒」を行ったり、早い時期のトウモロコを栽培したりします。
ちなみに、黒は土の温度は上がりますが、黒と言う色からポリマルチに熱が集まり地面への熱の伝わり方が若干弱くなります。一般的に使われている色なのでホームセンターなどでも手に入るはずです。白は涼しい環境を好む野菜に適しています。暑い時期にレタスやキャベツなどを作っている高原野菜でよくつかわれています。
それらの色の他にも、アブラムシのような害虫が作物に寄りにくくなる銀色や変わったものでは緑色やオレンジなんかもあるのです。

 

この時期のアスパラの管理

前回の農事録で「6月。枝を伸ばす管理をしましょう」までお伝えしました。枝を伸ばす管理が始まり、伸ばす本数も決まってくると、新しい芽が徐々に減ってくるはずです。きっと枝や葉を伸ばすことに専念するためだろう、と私は思っています。ただ、新しい芽は全く出てこないわけではないと思うので、込み合わないようにいつも見てあげてくださいね。もちろんそれらは食べることができます。
枝や葉が十分に伸びるまでには約1ヶ月ほどかかると思っています。この期間が過ぎると再び新しい芽が出始めます。私たちはこの再び伸びてきたアスパラを収穫し、夏のアスパラとして出荷をしています。

さて、この枝の伸びるまでにやっておきたいことが2つあります。1つ目は追肥です。「たくさんご飯を食べて大きくなれよ!」といった理由と、今まで収穫してきたアスパラは根っこに溜まった養分を使って伸びてきていました。そのため「今年も甘くておいしいアスパラをありがとう」のお礼をしてあげたいです。
この追肥をする場所ですが、私の場合は畝の両側にまいています。茎の近くにしないのは理由があり、1つは、茎の近くには古い根しかなく肥料分の吸収が少ないこと。もう1つは肥料が茎やこの先出てくる新しい芽に当たり、肥料で傷がつかないようにするためです。

やっておきたいことのもう1つは、伸びすぎてしまった枝を刈ることです。これらをそのまま放置しておくと今後の作業に邪魔になるからです。
180cm以上に伸びた枝の先は切っています。上に伸びすぎると風の影響を受けやすいためです。
横に出すぎた枝も切っています。夏の収穫の作業の時に垂れ下がった葉があると地際が見づらくなり、取り残しが多くなりますし、長い枝が重なると太陽の光が届きにくくなるため色が悪くなります。私の場合はこのころから病気予防のため薬を散布しますが、その際にも伸びすぎた枝は邪魔をします。いくら散布しても奥の方まで薬が届きづらくなってしまうのです。

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枝の管理前

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管理後

このような作業が終わった頃になると新しい芽が伸びてくるのではないかと思います。「おっ、また出てきてくれた!」とばかりに収穫するわけですが、それとともに「風通しはどうかな?」「病気になっているものはないかな?」なんていうことにも気を付けてみてください。

今回はこんなところでしょうか。もう少し経てば梅雨も明けることでしょう。そうなると蒸し暑くなる日も続くと思いますが、熱中症などには十分に気を付けてくださいね。

この記事を書いた人

飯島正行さん

農業を行っている会社や農業に携わる組織で仕事をしていた飯島正行さん。そこで培った経験から「自分で農業がしたい!」と、上田市武石で就農して5年目になります。武石は水も気候も農業に適しているし、何より若手が多くにぎやかなのがいい!青年部の仲間とともに楽しい農業を目指します。

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