岩垂さんの農事録
[岩垂さんの農事録]

オレさまの安曇野 風雲 農事録 連載第14回

連載※長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて6年目に突入した岩垂和明さん(41歳)が、幾多の押し寄せる誘惑や困難を乗り越えて時として風雲急を告げる月々の農事を綴ります。



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ョムリアプ・スオ!
(こんちは!@カンボジア語)

え〜〜っと、

前回の農事録の書き出しで使った三寒四温という言葉、

ここに来てようやく、
その言葉が似合う時期となりました。(^-^)

先月使うにはちょっと早かったな。(^_^;)

それにしても、
暖かい日と寒い日の寒暖の差が
尋常じゃありません。

夏日になるほど気温が上がる日があったかと思えば、
次の週には雪が降る。

三寒四温というよりは、
一冷二寒三温一暑ぐらいな感じです。

ここのところ毎年感じるのは、

「最近、ちょっと天気がおかしくなってるよな」

ということ。

こんなんじゃぁ、
りんごもさぞかし驚いていることでしょう。

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それでもりんごの芽は
 膨らんできているのだ。


て、
最近の仕事の話をしましょう。

ウチの畑では、つい先日ようやくりんごのせん定作業が終わりました。本当はもっと早く終わるはずだったのだけれど、大分長引いてしまいました。

というのも、

「オレが自分ちのりんごのせん定をせずに、よその家のせん定に出ていたからです」


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りんご農家の中には、様々な理由によりせん定作業が自分で行えない農家があります。せん定が行えない理由の中で、もっとも多いものが「農家の高齢化」。せん定以外の仕事については、シルバー人材やバイトを雇っても進めることができますが、せん定だけは自分でやるか、プロに頼まなければなりません。

以前からそういう人たちのために、せん定を請け負う農家仲間がいたのですが、今年からオレもその仲間に誘われたというわけです。

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仲間みんなでせん定中の図

おかげで予定外の臨時収入を得ることができたのだけれど(^◇^)、代わりに自分ちの仕事が遅くなってしまいました。(^_^;)

それにしても、そういった農家の畑のせん定をして思うことは、自分で手入れのできなくなった畑というのは、どうしても手入れが行き届かなくなっているということ。りんごの木が弱り切っていたり、または逆に強くなりすぎていたり、病気になっている木も多く、、、農家の高齢化は確実にりんご畑の荒廃につながっています。

すぐには無理かもしれないけど、どうにかしなくちゃね。

農家もJAも自治体も国も、一緒になって考えなくちゃいけない時期にきていると思います。


ころで、

3月も後半に入り、請け負いのせん定作業もようやく終わり、自分ちの仕事に集中できるようになりました。

で、

今年改植予定だった畑に、りんごの苗を植えることができました。

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穴掘って、

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別の畑で養成した苗をもってきて、

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植える。

こいつらは、2、3年すればりんごを生らすことができますが、一人前に稼げるようになるには数年かかることでしょう。
息の長い話です。(^^)


ぐと言えば、

先日、在庫をとってある仲間のりんごを、六本木まで売りに行きました。

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そういうところで売っていると「安曇野ってどこにあるの?」とかおっしゃるお客さんも結構いますが(まだまだ知名度が・・・^^;)、味については大好評!「ここのりんごはウマいから」と、リピーターになってくれているお客さんもいて、持っていったりんごは完売。(^◇^)

まぁ、交通費などの経費を考えると「稼ぐ」というほど儲かりませんが、安曇野のりんごの味を知ってくれる人がひとりでも増えることは、とてもうれしいことであります。


う言えば、1月、2月に行ってきたラオスやカンボジアにもりんごが売っていました。

下はラオスの市場にて。

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おそらく、中国産の「ふじ」。

カンボジアの市場にも。

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「ガラ」という品種。日本では馴染みが無いが、ヨーロッパなどではよく見かける、、、らしい。

一応、ラオスの市場で売っていた中国産であろう「ふじ」を買って食ってみたのですが・・・

「まずい。(+_+)」

作った人には申し訳ないが、ひとつだけ食って残りはゲストハウスへ残してきました。


なみに、りんごは世界中で生産されている果物ですが、世界で一番の生産量を誇っている国はダントツで「中国」です。(って、確か去年も書いたね。。。^^;)

世界のりんご生産量トップ10は以下の通り。(平成20年)

順位 国名 生産量【t】 順位 国名 生産量【t】
1位 中国 29,851,163 6位 イタリア 2,208,227
2位 アメリカ 4,431,280 7位 インド 2,001,400
3位 ポーランド 2,830,870 8位 フランス 1,940,200
4位 イラン 2,660,000 9位 ロシア 1,467,000
5位 トルコ 2,504,490 10位 チリ 1,370,000
※資料は「りんご大学」ホームページより引用

日本は840,100tで14位。
世界の総りんご生産量は69,603,640t。
世界の総りんご生産量の4割以上は中国が占めているのです。

この表を見ると、イランやトルコなどの中東の国でりんごがたくさん生産されていることに、意外性を感じるたりもするのですが、、、

よく考えてみると、
昔から、アダムとイブがエデンの園で、
禁断の果実(りんごという説がある)を食べてから
フニフニフニフニと言われているように^^;
それほど昔からりんごというものはあったわけで、
しかも、エデンの園はチグリス・ユーフラテス川の上流、
アルメニアの辺りとも言われており、
以上の理由にから、アルメニアに隣接する
トルコやイラン北部でも、
太古の昔からりんごがあっても
おかしくはないわけで、
そういう国々で今でもたくさんりんごが
生産されていたとしても
不思議ではない・・・

・・・ということも言えなくは
ないかもしれません
???? ^^;

さてさて、

そんな旧約聖書的にみるりんごの話はともかくとして(オレ、一応仏教徒だし^^;)、

4月の声を聞くと、りんご農家はせわしくなってきます。

接木(つぎき)もしなくちゃいけないし、誘引もしなくちゃいけない。りんごの花が咲く前に、やっておきたいことが山ほどあります。来月はそんな話ができることでしょう。

いうことで、

寒暖の差が多い日がつづきます。
みなさんもお体にお気をつけて!

それでは、また次回に。

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チョムリアプ・リア(^_^)/~
(バイバイ(^_^)/~@カンボジア語)



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