神田さんちの農事録 第6回

※長野県下水内郡豊田村在住のりんご農家・神田茂貞さん(37歳)が、月々の農事を綴ります。

月は、果実の栽培で良品生産を目指す農家にとって、最も重要な月です。技術的にも、適期の作業が求められますので、梅雨の季節のこの時期は、わたしも合羽が手放せません。

特にブドウの「房きり作業」は、正しい時に実施することが、そのまま良品生産にもつながり、後の仕上げ作業の労力を、半減させることにもなります。「房きり」とは、結実を確保するために欠かせない大事な作業で、これで収穫時の房形の8割が決まってしまうのです。作業は、花の先端を軽く摘み、マッチ棒程度の長さ(13〜14段)を残して、花の上部を手で切除します。

わが家でも、開花から満開になる2〜3日の間に、作業は終了させます。短期間で房きりを行うコツとして、開花前に作業がしやすいように、新梢をかき(極端に強い芽・極端に弱い芽の両方を切り取る)、あらかじめ園内を明るくしておきます。地面に光が8割程度射し込む明るさがよろしい。

それと、棚つけです。整然と棚つけされている園は、仕事もはかどりますし、良品の生産にもつながるのですね。棚つけには、剪定の終了後、風などで枝が動かないよう棚に固定することと、新たに伸びた枝を固定する作業があります。いずれもこれから伸びる枝を想定して棚につけるため、空間の確保が今後の作業効率に大きく影響します。

りんごの摘果も、仕上げの段階になります。まず果形の悪いもの、病害虫に侵されているもの、傷などがある果実については、摘果してしまいます。わが家では、仕上げの段階で、2度園内を点検することで、良品生産に努めています。

桃についても、この月は、仕上げのための摘果を実施できる時期です。あまり早い時期にはじめると、双はい果−−種が2つあり、核割れになりやすく、商品価値のないもの−−の見分けがしにくいのですが、この頃になると、明らかに形を見ただけで「双はい果」と判り(丸形)、摘果の対象となります。

この段階で、楕円形のものが、果実の肥大もよく、品質も良いものになるのです。また、着果位置は新梢の長さにもよりますが、中央からもとに近い部位に着果させたものや、短い枝に着果させたもののほうが、収穫時に日持ちの良い果実となりやすいのです。新梢の先端は肥大は良いのですが、日持ちの悪いものになります。桃の場合にも、わが家では他の農家同様に収穫までに、2〜3度園内を点検して、そのつど必要な摘果をほどこしています。

果実の生産には、もちろん整枝・剪定は重要ですが、この時期の適期作業は、ポイントを心得て、人手の確保をすることで、さらなる品質の向上に役立ちます。農家にとって、この時期は休みというものがまったくありません。とにかく体が大事ですので、夜は早く眠るよう心がけております。後は自然による災害の無いことを祈るのみです。

長野県の気候・夏の特徴(長野地方気象台)

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