神田さんちの農事録 第7回

※長野県下水内郡豊田村在住のりんご農家・神田茂貞さん(37歳)が、月々の農事を綴ります。

真夏を思わせる暑さが、連日続いています。梅雨明け直後のこの時期は、本格的な夏にむけての管理が必要なときです。この時期に人間が自然と対話しつつ注意深く手をかけてやらないと、おいしい果樹は作れません。

春先から伸びつづけ−−栄養成長−−していた枝も、この頃になると新梢(しんしょう)が止まり、同時に果実がおおきくなりはじめ、「生殖成長」といって芽は来年の花芽の形成をはじめています。

この時期に光をたっぷりあてることは、生殖成長をさらにうながして、のちの良品の生産につながるのです。枝葉が生い茂って、光が十分奥まで届かない状態では、最低限の薬剤の到達性もよろしくないわけですし、病害虫の発生原因ともなりかねません。そこで、わたしたちは次の作業を行います。

「りんご」では、(1)徒長枝切り(2)支柱立て(3)枝つりの作業があります。

(1)の「徒長枝切り」は、「とちょうしぎり」と読み、主枝や亜主枝など太い枝の上の徒長枝(とちょうし・長く伸びた枝)を整理していくことです。太枝や幹が日焼けして樹が弱るのを防ぐために、細いものはまばらに残します。また、光があたり、薬剤もかかる場所の徒長枝は、葉枚数確保のため、できるだけ残すようにします。残された徒長枝は、枝の先まで養分を送るポンプの役をするのです。

わが家では、樹勢の強い樹は、徒長枝切りに加えて、さらにはまばらに残した徒長枝の先端の葉4〜5葉残し、もとの葉を取りのぞいて、徒長枝が太るのをおさえるようにしています。そうすることで、秋に切除しやすくしておくわけで、いずれにせよ、樹をよく見て、樹勢に応じた管理が大切です。

(2)の「支柱立て」は、果実の肥大にともない、枝が下がり、他の枝と折り重なるため、必要な箇所に支柱を立て、光を入れることです。

(3)の「枝つり」とは、長めの支柱の先端から、成り枝などの枝つりを行います。また、降雨状況によって、梅雨明け前でも、かん水が必要な場合もあるので、枝葉の状態を観察しながら、樹と相談し、適切な水分状態を維持することが重要になります。

「もも」の場合も、りんご同様に下がった太枝は、支柱を立てたり枝つりを行います。また、ももの太枝は、日焼けしやすいので、新梢の管理は、次の点に注意します。(1)徒長枝切り・枝葉の少ない場所は2芽残し切除します。日焼けの心配な部位は、捻枝(ねんし)も加えます。この捻枝とは、徒長枝を切るのでなく、ねじるように折りまげ、枝をつくることをいいます。方法としては、主幹へ戻すつもりで、逆枝をつくり、日除けにするのです。

「巨峰」は、粒を間引いて一粒を大きくなるようにする摘粒(てきりゅう)がすみ次第、袋掛けをします。摘粒をしないと粒が大きくなれずにザクロ状態になってしまうのです。

袋掛けは、果面保護や病原菌の感染防止のため、できるだけ早期(7月上中旬)に、すませなくてはなりません。摘粒は一房30〜35粒を目安におこない、10a当たり4000房目安に袋を掛けます。粒数が多いものや、房数が基準より多いと、着色が悪くなり、いわゆる「赤熟れ(あかうれ)」になって、紫色になることも、甘くなることもなく熟してしまうので、こまかい注意が必要です。わが家では、あらかじめ3500枚の袋を平均に掛け、残りの500枚は、樹の状態のよいものに掛けています。

あっけなく梅雨もあけました。暑い夏の予感がします。暑いときには冷たいビールが一番ですが、農園仕事も適期が一番なのです。

長野県の気候・夏の特徴(長野地方気象台)

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