「洋ナシ」「西洋ナシ」と聞いて、誰もがまず真っ先に頭に思い浮かべるのは「ラ・フランス」でしょう。日本においてラ・フランスは「果実の女王」と言われており、国内の洋ナシの7割を占めるほどで、断トツの生産量を誇ります。
しかし、もともと洋ナシには非常に多くの種類があり、長野県内でも数こそ少ないもののいくつか他の品種も栽培されています。今回はそうした洋ナシのひとつで、「幻の洋ナシ」とも形容されるル・レクチェを紹介させてください。
長野市北部にあるJAながの長野平フルーツセンター。広いセンター内には収穫された洋ナシやりんごが運び込まれて、果実のさわやかな甘い香りがあちこちに塊になって漂っています。同センターにル・レクチェを持ち込んだのはこの地域の生産者8人です。
追熟に40日近くかけます
10月20日から29日の間に収穫されたル・レクチェが、いまはセンターの冷蔵施設で保存されています。これからおよそ一カ月から40日ほどセンターで追熟期間を置き、今月末の11月25日に出荷される予定です。
昨年は生産者8人で約1200キロを生産しました。この数量は決して多いものではなく、出荷作業は1日で終わってしまいます。ル・レクチェの行き先は主に関東方面と、地元の市場です。
話をうかがった同センターの岡部敏雄センター長は「(ル・レクチェの)主産地はほかの県ですが、長野県産もとても甘くておいしいので、ぜひ一度手にとって、味わってみてください」と話しました。
最も栽培されているのは新潟県
ル・レクチェがフランスから日本にやってきたのは明治時代のこと。当時、新潟県で和梨を栽培していた農家の方が持ち込んだということで、現在でも新潟県ではル・レクチェの栽培が盛んです。
バートレットという品種とフォーチュニーという品種の交雑により1882年にフランスで誕生しました。名前は17世紀のフランスの果樹研究家の名前からとられています。
特徴は甘くて強い香り
果実は280グラムから300グラムほどで、ひょうたんのような形をしています。糖度は17と高く、ほどよい酸味と洋ナシ特有の食欲をそそる甘く強い香りが特徴です。
写真をご覧になって分かるとおり、追熟前の果実は緑色をしています。これが追熟が進むにつれて黄色に変化していくのです。全体に色が黄色くなり、手で押して弾力を感じられほどに固さがとれているようでしたら、食べ頃を迎えていると考えてよいでしょう。ル・レクチェ愛好家に言わせれば一番おいしくなるのは「傷む直前だ」とのこと。最終的には、常温の室内にこれを置き、その芳香を楽しみつつ食べ頃に神経を集中するのです。
まずそうなっていたら、おもむろに切り分けて芳醇な香りを満喫し、滑らかな舌触りをお楽しみください。
もしどこかで出会うことがあれば
先ほども申し上げましたが、このル・レクチェ、なにせ生産量が、半端でないほどに少ないのです。万がひとつにでもスーパーなどでもし見かけることがありましたら、是非手にとって購入を検討してみてください。
なお、11月の下旬頃にはJAながのの直売所「アグリながぬま」にも一部が出回るということなので、お近くにおこしの方は、下記連絡先に確認のうえ、訪問してみてはいかがでしょうか。
アクセスガイド:
JAながの長野平フルーツセンター
長野県長野市大町975
電話 026−251−3113
JAながのアグリながぬま
長野市大字穂保274−1
電話:0120‐193054
案内ウェブサイト
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