米粉を使ったモチモチでふっくらの「食パン」を紹介します。米粉は、地元で栽培された「コシヒカリ」のものを使用し、地元のお母さんんがひとつひとつ丁寧に焼き上げたパンです。
優しいパンの香りと明るい笑い声に誘われて到着したのは信州中部にある松本市中山地区JA松本ハイランド中山農畜産物処理加工施設。ここで、活動の輪を広げつつあるのがJA女性部の「ぱん工房」のみなさんです。
施設を包んでいるパンの香ばしい匂いのなかへ、さっそくお邪魔しましょう。
なぜパン作りを?
お話しをしてくださったのは、女性部芳川支部の会長さんで「ぱん工房」代表の島田昭子(しまだ・あきこ)さん。施設は、約15年ほど前に女性部の「地元の農畜産物を、自分達の手で加工したい」との発案から建設されました。しかし、施設を維持していくためには、当然お金がかかるため、女性部で作る加工品を売ることが必要になったのです。
昔から同地区は、豆腐やみそ作りが盛んな地域でした。豆腐もみそも地区内に老舗があるため、別の加工品でなくてはと考えだされたのが、地元産「コシヒカリ」の米粉を加えたパン作りと手作りこんにゃく「夢こん」(写真)です。同施設でつくるこんにゃくは、市販のものより香りが高いのが特徴です。現在、パングループ7人、こんにゃくグループ15人で、活動を展開しています。
米粉でのパン作りはたいへんでした
「当時、米粉の粒子が粗く、ふっくらしたパンが焼けませんでした。しかも、すぐパサパサしてしまう。試行錯誤の連続でした」と島田さん。でも現在では、「諏訪市で米粉の粒子を細かく製粉し、北海道の小麦粉を独自の分量でミックスしています。この美味しいふっくら、モチモチの食感の分量にたどり着くまでには時間がかかりました」となつかしそうに振り返ります。
今ぱん工房では「米(まい)ちゃん」ブランドとして、食パン(プレーン・レーズン・ごま)、パウンドケーキなどがつくられています。食パンは、
(1)生地を練り上げ、
(2)1次発酵35分、
(3)生地を休ませる〔ベンチタイム20分〕、
(4)2次発酵40〜50分、
(5)焼き25分
といった工程で作ります。
普通の食パンとの違い
ぱん工房の食パンの特徴は、なんといっても、モチモチ、ふっくらした食感とパンのほんのり優しい甘さでしょう。それに、お米の粉を使っているので腹持ちもいいです。でも添加物等をなにも使用していないので、日持ちは正味4日間ぐらいだとか。島田さんは「今後は、地元産の農産物を使った日持ちするオリジナル商品を開発したいですね」と抱負を語りました。
パン作りで大変なのはと聞くと「パンが敏感なことです。いつも、天候、気温・湿度を気にしています。作る日によって微妙に分量も工程の時間も違います。中でも、寒いと発酵しないし、暑すぎると膨らみすぎて破裂してしまい商品にならない」と教えてくれました。
パンが無事に焼き上がれば幸せ
「一番うれしいのは、パンがふっくら焼きあがったときですね。お客さまにお金をもらうことは、大変なことです。オーブンから出して、パンの状態をみてうまくいったときは、ホッとしますね。おいしいパンをお届けしたいです」と島田さんは笑顔で話します。出かけてパン屋を見つけると「どんなパンを・どのくらいの値段で売っているのか」が気になって、ついつい店に入ってしまうのだそうです。そうやって新しいヒントを常に探しているのです。
現在、ぱん工房の作る優しいパンもすっかり地元にも定着し、多くのリピーターが定期的に足を運ぶようになっています。写真のような素晴らしい環境で育った米粉ならではのモチモチ、ふっくらした食感と、ぱん工房のみなさんが心をこめて作る優しい甘さのパンの味が、忘れられなくなりそうです。
「ぱん工房」の商品の販売先:
・中山地区農産物直売所 中山ふれあい市
(松本市中山4146−1 電話 0263−58−3962)
・島内地場農産物直売所
(松本市島内4598−5 電話 0263−47−1130)
・ファーマーズガーデンやまべ
(松本市大字入山辺 電話 0263−32−3644)
JA松本ハイランドHP直売所情報
パンについてお問い合わせは:
JA松本ハイランド企画人事部福祉文化課(電話0263−26−2301)まで