野菜

今年はあなたも野菜を育ててみませんか

JA-kateisaien.jpgさしもの雪深い信州も、陽の気が地中に動き、ちぢまる虫が穴をあけて外に出てくるとされる啓蟄(けいちつ)の日(今年は3月5日)を過ぎて、雪どけの時期を迎えところどころでフキノトウも顔を出し、日差しも日々春めいてきました。毎年、家庭菜園に挑戦している皆さんも、虫たちと同じように暖かさに誘われて体がムズムズしてきたんのではないでしょうか? 春まだ浅い信州とは違って、暖かい地域の直売所などには、そろそろ春植え野菜の苗たちが出回りはじめるころです。今年は、種まきから栽培する比較的簡単な葉ものに加えて、苗を使ったキュウリやナスなどの「大物(?)」果もの野菜に挑戦してみるのはいかがですか? 苗から栽培することがはじめての方でも、家族や友人と一緒に楽しみながら、家庭菜園や、ものにもよりますがプランタなどを利用して、ぜひ野菜作りにチャレンジしてみてください。自分で育てた野菜を食べてみるまでは、誰もその野菜のことをほんとうには知らないのですから。

この時期店頭に並ぶ苗

葉もの類は、カリフラワー、レッドキャベツ、レタス、ブロッコリー、チンゲンサイ、サンチュ、タアーサイ、イタリアンパセリなど多彩です。果もの類は、トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、シシトウ、キュウリ、イチゴ、メロンなど。

信州はまだ肌寒いので、4月にならないといろいろな種類の野菜苗は出てこないかもしれませんが、暖かい地域の皆さんは3月下旬頃から、定植してもいいかもしれません。

比較的栽培が簡単な野菜

葉もの類では、チンゲンサイ、レタスは比較的栽培が簡単ですが、全体的にどれもさほど難しくありません。果もの類は、キュウリ、ナス、ピーマン、シシトウ、イチゴ、ミニトマトあたりは比較的栽培が簡単なようです。しかし、メロンやスイカと言った大物となると、やはりちょっと難しいようです。

苗の選び方と定植の時期

nae.jpg苗の選び方の基本は、若苗で病気になっていないものを選ぶことです。日照不足で育った苗はヒョロヒョロしていて、茎の節と節の間が長く育ちます。また、根元がくびれていたり、葉が枯れている苗は、病気にかかっている場合がありますから注意してください。特に実もの野菜は、苗選びで収穫量が変わってきますから、苗選びは重要です。最近は適期よりも早目に苗が店頭に並んでいる傾向があります。この場合苗の中には小さくて軟弱なものもあるようです。もしそのような苗を購入してしまった場合は、ひとまわり大き目の鉢に移して、しばらく育ててから定植してください。10日程度で苗は見違えるほど元気になりますよ。春の種まき・定植の目安はなにはさておき「桜」です。近くの桜の花が咲いたら準備をはじめ、桜が散った頃に種まき・定植するとよいでしょう。春はお花見と一緒で、桜前線の動きに要注意です。

苗の植つけ方は?

よく聞かされるでしょうが、なにはさておいても土づくりが基本です。これまでの経験をいかしてよい土づくりに心掛けてください。これが上手にできれば、野菜づくりの半分以上が成功したようなものなのです。苗の定植には移植ゴテを使って苗の鉢より少し大き目の穴を掘り、穴に苗を真っ直ぐ植えます。株の周りに土を入れて軽く抑えればOK。キュウリ、ナス、ピーマンなど、苗がぐらつくものは、本格的に支柱を立てる前に、割り箸などで簡単な支柱を立ててやり、風で揺れて倒れないようにします。苗が生長してきたら本支柱に替えます。このあたりはどれくらいあなたが植物の気持ちになれるかにかかっています。苗として成長しようとがんばっているキュウリやなすたちを声をかけるなどして勇気づけてくださいね。ポイントとしては、土が乾いている時は、穴に水をやり、土の中に十分水分がいきわたってから植えること。土がドロドロ状態の時は、絶対に植つけないでください。

春の植つけは暖かい日の午前中にしましょう。家庭菜園の場合なら、まだ気温が低い時は4?5日前から畝にポリエチレンフィルムでマルチングを施して、地温を上げてから植つければ完ぺきでしょう。植つけ直後は、ジョウロのハス口を上に向けて静かに水をやります。あまり多く与えると地温が下がり、土の表面が固まって根付きが悪くなるので、ワラや腐葉土を敷いて乾燥を防いでください。

生育中の水やりは、日中のカンカン照りで土が熱い時は根腐れを起こしやすくなりますので避けることが肝要。少しずつ何回もかけるのではなく、一度にたっぷりと与えるのがコツです。粗い水を勢いよくかけると、土が細かく堅くなってしまうのでジョウロのハス口のように、細かい水になるような工夫をしてください。

追肥などの栽培に関する詳細は、育てるものによってことなりますので、苗の販売店や農家の方、JAの営農技術員に聞いてみてください。家庭菜園の本などにも詳しく書かれています。この記事を書く時に参考にさせていただいている『家庭菜園の楽しみ方』(山宮君夫著 成美堂出版刊 2004年)はお薦めの一冊です。

ちょっとした工夫はいかが?

wheelbarrow.gif野菜を元気においしく育て、虫の被害や春先の凍霜害を防ぐために、すこし工夫をしてみるのはいかがでしょうか。それは「間作(かんさく)」であり、もうひとつがコンパニオン・プランツ(相性によいやさい)を一緒に育てることです。

「間作」というのは、畝と畝の間や株と株の間に他の野菜等を栽培することです。コンパニオン・プランツとは「仲のよい友だちの植物」という意味。悪い虫を近づけないとか、地面の水分を奪わないようにしてくれるとか、互いによい影響を与え合う植物を組み合わせることで、両方ともが元気になったり、野菜の場合はおいしくなったりもします(理由はまだよく分かっていません・・・植物の世界にはまだまだ謎がいっぱいあるのです)。

コンパニオン・プランツの例には以下のようなものがあります。

「トマト」に対してはナス、アスパラガス、セルリ、玉ねぎ、パセリ、ニンジン、ラディッシュ。
「レタス」に対してはキャベツ、玉ねぎ、ニンジン、ワケギ、ラディッシュ、ネギ、ニンニク、ほうれん草。

虫の被害を防ぐ植物を一緒に植えることで農薬の散布を減らすことができるものとして、例えばネギ類(玉ねぎ、ネギ、ワケギ、ニンニクなど)は、スイカなどののウリ科に起こるツル割れ病を防いでくれますし、アブラムシの害から野菜を守ってくれます。セルリ、トマトはアオムシ(モンシロチョウ)を寄せつけない効果があります。
それにラベンダーやバジル、セージ、ミントといったハーブもコナジラミなどの有害な飛翔昆虫を遠ざける効果があるようです。マリーゴールドには土の中のセンチュウの被害やコナジラミの害を防いでくれます。人間にとっては芳香な植物が、結構野菜の虫除けになっているのです。また、木酢液や竹酢液、牛乳や酢のうすめ液、ニコチン液、トガラシ・ピーマン液・ニンニク液など身近なものを活用して病害虫を追い払うこともできます。

凍霜害が心配なときは、苗に紙袋をかぶせるのも効果があるんですよ。ビニールのスーパーバックでもよいのですが、スーパーのバックだと霜は防げても、凍害に弱いようなので紙袋がおすすめなのです。家庭菜園の本でこうした工夫も紹介されていますので、いろいろ調べて見てください。

いすれにしろ大切なことは育てる人間が育とうとしているものにどのくらいの思いやりをかけられるかどうかなのです。愛情をいっぱい浴びて育ったものがおいしくないわけはありません。今年はぜひ機会を見つけてその真実を体験してみてください。

 

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

1110812400000

関連記事

雪が野菜をおいしくするってホント?
野菜

雪が野菜をおいしくするってホント?

夏になくてはならない野菜がナスなのだ
野菜

夏になくてはならない野菜がナスなのだ

みんな、おおきく、元気に、おいしく育て
野菜

みんな、おおきく、元気に、おいしく育て

信州伝統野菜のニューフェイス「小森茄子」
野菜

信州伝統野菜のニューフェイス「小森茄子」

新着記事