長野県の梅雨明け宣言はまだですけれど、こうも暑いこの頃は、スーパーマーケットに行くと、ついスイカ売り場の前で立ち止まって、買おうか、それとも夏と呼べる日が訪れるその日まで、もう少しだけ待とうか、と考えてしまいます。
中信地区の松本市西部から波田町、そして山形村にかけては、長野県のみならず、日本全国でも有数のスイカの産地として知られ、のべ290軒ほどのスイカ農家が生産するスイカの量は、長野県全体の96%を占めるともいわれます。この地域では先週の10日から、今までのハウスものを切り替えて、いよいよ露地ものの出荷をはじめました!
梅雨の合間のこの日射しのなか、ところどころにある可憐なスイカの花に目を奪われながら、青々とした葉っぱをがさごそ掻き分けてみたところ、ででーんと現れたスイカは、叩くとポンポンと軽快で楽しそうな音がしました。まもなく食べごろになると告げているのでしょうか? このスイカを作っているのは、波田町でスイカを作っている百瀬芳明(ももせ よしあき)さん。さっそく今年の出来について聞いてみました。
昨年よりも大きくて甘い
スイカを大きく美味しく仕上げるには、栄養の通り道となる木を枯らさないことが大切なのだそうですが、今年は、適度に雨が降ったことにより、水分が全体に補給されて「木の勢いがいい」と百瀬さんはいいました。つまり、そんな勢いのいい木から栄養分が運ばれる先の玉は、昨年よりも大きめで、甘味もあるということです。また、スイカは「大きいものの方が甘い」ので、「どうせ買うなら大きい方を選んだ方がいいよ」とも教えてくれました。
ここのスイカの特徴を尋ねると「シャリ感と、甘味かな」という答えが即座に返ってきました。標高600〜800メートルの、水はけが良く、また水持ちの良い火山灰地に限定して生産されていること。昼と夜の温度差が大きいこと。また日照量が多いことなど、スイカを美味しくする環境がことごとく整っているのです。そしてなによりも生産者のスイカへの重いと情熱がいっぱい詰まっているので「ここのスイカは断然美味しい!」と笑顔になり、百瀬さんは「3度のお茶の代わりは、いつもこれ」と朗らかにスイカにかぶりつきました。
すいかの収穫作業は重労働なの
この畑で収穫されるスイカもそうですが、市場へ出荷されるスイカの等級は5L大からSSサイズまで。重さにして、ひとつで17キロ〜3.5キロもあるそうです。こんなに重いスイカを百瀬さんのお宅では、1日に300個から350個も収穫し、その作業が8月の旧盆の頃まで連日続くのです。
家族だけでおこなう収穫作業ではとても体がもたないため、この辺りでは近所の人が手伝いに来てくれることがよくあります。また大学生になる息子さんが軽々と大きなスイカを収穫する姿はとても頼もしいと、百瀬さんは目を細めます。
じつは百瀬さんですが、父親の跡を継いで農業をはじめたのは今から10年前で、それまでは会社勤めであり、時々父親の手伝いをする程度だったとか。「農業は会社勤めと比べて大変なこともある。50歳を前にして飛びこんだ農業は、体力的にキツイ。もう少し若ければ・・」とおっしゃっていました。
スイカは受粉がとにかくつらい
ちなみに、スイカづくりで最も大変なのは、受粉作業で、地面を這っているツルに咲く花を受粉させるために、自分もウサギ跳びの姿勢でしゃがみつつ、ひとつひとつ受粉作業を行います。この作業がとにかく足に負荷を与え続けるので辛いということでした。
しかし「それでも農業は、自分で計画をして、それがお金になって返ってくるので、やりがいを感じるがね」とも言われました。
松本ハイランドのスイカを食べてみて
この土地で収穫されるスイカは、『是非にここのスイカを』と言ってわざわざこの地を訪れて買い求める県内外の人や、今年も送ってほしいというリピーターの声がとても多いのです。しかし、わざわざこの地域まで買いに来れない人も、あきらめて悔しがる必要はありません。なぜなら、ここで生産されるスイカは、県内はもとより、関西や中京、関東方面、遠くは九州までにも、出荷されていくのです。
市場に出荷されるスイカは、1玉1玉すべて、糖度を計っており、規定に合格したものだけが晴れて出荷されるのです。だからどれを選んでも、味にハズレはありません。安心して美味しいものを購入していただけると自信をもって言えるのです。
ちなみに、百瀬さんに教えてもらったのですが、美味しいスイカの見分け方は、てっぺんのツルの周りがくぼんでいるものを購入するといいそうです。そして貼られている「JA松本ハイランド」のシールも目印に!
すいか村が今年もオープン!
今年も暑い夏がやってきました。海やバーベキューには、JA松本ハイランドのスイカを持って出掛けませんか。暑い夏の水分補給として、熱中症の予防にもなりますし、なによりもスイカはおいしいコミニュケーションの輪を広げます。
また、来月の8月20日まで、すいか生産者によるすいか直売所「すいか村」が松本市和田「あぐり資材センター和田」前の広場で開かれています(期間中無休)。今月の19日、20日の両日には同会場にて「2008すいか祭り」も開かれて、取れたてスイカの販売はもちろん、茹でたてとうもろこしや旬の農産物の販売もおこなわれます。詳しくはJA松本ハイランド営農生活部総合販売課(電話0263−25−7541)までお問い合わせを。
参考サイト
JA松本ハイランドすいか オリジナルサイト
2008すいか祭り 7月19日・20日情報
生産者による直売所すいか村の案内
JA松本ハイランド直営 すいか直売所案内
JA松本ハイランド