果物

竜峡小梅じゃないとカリカリ梅はうまくない

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信州の5月は、梅雨の前のさわやかで、すごしやすい季節。そして、厳しい寒さも終わりに近づいた2月に春の兆しを告げるかのようにピンクのかわいい花を咲かせていた梅が実る時期でもあります。

ウメではなくムメ
梅は、「ムメ(mume)」と発音するのが正しいと、信濃国出身の江戸時代の儒学者で太宰春台(だざいしゅんだい)という先生が『倭読要領』に書いています。バラ科サクラ属でスモモやアンズなどが同じ仲間で、学名も「Prunus mume」と、ちゃんと「ムメ」と記されています。

梅という言葉に学ぶ
あなたは、梅と聞いて、なにを思い浮かべますか? 日の丸弁当(時代が古い?)、おにぎり、梅酒、焼酎の梅割り、梅ジュースなどが連想されますね。梅の殺菌力や疲労回復効果などの不思議な力については、すでにだれもが知っています。古来より日本では「梅は一日の難のがれ」などと言われていて、「梅干しを食べればその日一日を無事に過ごせる」とされたり、他にも「梅干しと友だちは古いほどよい」という人生の妙についてのことわざもあります。

原産地は、中国だとか。4世紀後半の古墳時代に朝鮮半島経由で持ち込まれ、後には貴族や僧侶などが医薬品として中国から持ち帰ったと考えられています。最初は薬用でしたが、後に梅干しとして食されるようになりました。

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南信州では竜峡小梅の収穫がはじまりました
梅には、果樹として栽培される"実梅(ミウメ)"と観賞用の"花梅"があります。果樹としての梅のサイズにも大中小があり、小梅は成熟が早く5月下旬から6月上旬にかけて収穫され、引き続き普通の梅が7月にかけて収穫の時期となります。長野県の小梅の主産地であるJAみなみ信州でも、まもなく出荷がピークを迎えようとしています。情報では、日本全体でのウメの予想収穫量はやや昨年を下回るとか。

果樹としての梅の実の大きさによる類別は、一粒が15〜35グラム程度のものが普通で、主に干し梅として人気の高い南高(ナンコウ)、大きい梅では、梅とアンズの雑種で、ひとつが40グラム以上になる豊後梅(ぶんごうめ)などがあります。

10グラム以下のものは「小梅」として区別されます。長野県では、下伊那地方に自生していた小梅の中から選抜され、「天竜峡」という天竜川の切り開いた絶壁がつづく渓谷の名前の2文字をいただく「竜峡小梅」(リュウキョウコウメ)と言われるものが有名です。「竜峡小梅」は、天竜川が貫いて流れる長野県の南部で多く栽培されています。果重は約2グラムのほとんど球体で、信州では塩漬けにした後に天日干しした梅干しよりも、小梅を塩に漬けたままの漬物で「カリカリ」と音をたて歯ざわりを楽しみつつ食べることが好まれるようです。

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梅の効能
梅は成分の90%が水分ですが、クエン酸も含まれています。クエン酸の効能は、体内エネルギーの代謝をスムーズにし、体内に蓄積される疲労物質である乳酸の燃焼と、老廃物の蓄積を防止するので、疲労回復や老化を予防する働きがあります。また、梅の酸味が食欲増進(唾液・胃液・消化酵素の分泌を高める)や、殺菌にも効果があるといわれています。整腸作用で、胃腸のぜん動運動も活発にし、便通改善にもなるかも知れません。梅に含まれるピクリン酸は肝機能を高めるという説もあります。

3時のおやつに梅ジュースをごくごく。かりかり梅をカリカリ。そして陽が暮れたらタコときゅうりの梅キムチ風味をつまみに梅割りで一杯。翌日の朝は、まず梅干しを一粒からはじめてみませんか。

写真提供:JAみなみ信州

竜峡小梅から作られた小梅干や梅ジュースのご注文は:
JAみなみ信州特産品ショッピングサイト

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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