米穀

農薬を使うことなく種もみを消毒しています

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県内の米農家では、今ごろ、来月の田植えの時期に向けて、ちゃくちゃくと準備が進められています。みなさんが「田植え」と聞いてその光景を頭に描くとき、必ず緑色の苗を思い描かれると思います。実際に苗があの青々とした状態になるまでには、あらかじめ種もみから芽を出させ、苗になるまで育てる(育苗)作業があるのです。

さて、日本列島でお米を作るにあたっては、さまざまな病害との戦いがありますが、そのひとつに種もみが汚染されていることに起因する病気があります。最もこわいいもち病(稲熱病)や、ばか苗病といったものがそれに当たり、一般的には種子の段階で化学薬剤による消毒を行うのですが、ほかにも農薬を使わずにお湯で殺菌する「温湯(おんとう)消毒」という方法があり、近年普及が進んでいます。

長野県佐久市にあるJA佐久浅間には、イセキ農機とJAが共同で開発した大規模な水稲種籾温湯殺菌施設があると聞いたので、取材にいきました。


1度に160キロもの種もみを殺菌
温湯消毒では、60度のお湯に10分間種もみを浸すことで殺菌をします。

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JA佐久浅間の施設では1度に160キロもの種もみを扱うことができます。クレーンで持ち上げてお湯に浸したあと、中までしっかりとお湯が行きわたるようにお湯につけたまま上下運動を行います。

上下運動は10分間の間に最大で4回ほど行います。一度に160キロも入れると湯温が下がるかと思ったのですが、ボイラーを使い温度を一定に保っているため、最初に少し温度が下がるものの、その後はしっかりと一定の温度で保たれるのだそうです。

10分経ったあとは、ただちに隣の冷水の水槽に種もみを移し、そこで5分ほど冷やします。この際も、中までしっかりと冷やせるよう上下運動を行います。

冷やされた種もみは水槽の中に10日ほど置かれ、そのあと写真の大型機械に投入されます。

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この機械は作業工程のほとんどが自動化されていて、パレットを手作業で機械に入れると、その上に自動で床土が盛られ、種もみがまかれ、覆土され、30段ずつ積み上げられます。

積み上げられたパレットはそのまま発芽室というところに運ばれます。

評判がよくて取扱量も大幅に増加
取材当日はまだ稼動していなかったのですが、発芽室は温度30〜32度、湿度70%くらいのサウナ状態の部屋で、種もみは3日ほどこの部屋で過ごしたあと、JAと育苗の契約をしている生産者のところに運ばれ、苗に育てられます。

この発芽室は4月9日頃から稼動し、作業はゴールデンウィーク前まで続くそうです。温湯消毒された種もみは農薬を使用した場合に比べ、菌に無防備な状態となるため、職員はアルコール消毒をして作業に取り組んでいるほか、各農家に注意書きを配り、取扱いに神経を使っています。

こちらの施設は昨年から稼動をはじめたものですが、昨年の評判が良かったため今年は個人農家からの温湯消毒の委託も受け入れ、取扱い量も昨年の1万4000キロから1万6000キロに増えました。

農薬使用量の減少や、環境にやさしいなどのメリットがあり、生産者の期待も大きいことから、JAでは今後も取扱いを増やしていきたいと考えています。

関連参考サイト:

arrow2.gif 井関農機株式会社

arrow2.gif JA佐久浅間

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