でーんと、おわかりですよね。マ・ツ・タ・ケ。そ、食用きのこの最高種とされるマツタケです。マツタケは、信州では「ホンモノ」とも呼ばれたりします。これは親戚で食用でもある「マツタケモドキ」や「バカマツタケ」とは違う本物という意味からでしょう。
ほんもののマツタケは、キシメジ科のキノコで、アカマツなどのマツ属やモミ属、ツガ属の林に群生し、8月下旬から10月までがシーズンになります。出はじめは球形、まんじゅう形から、中高の扁平に傘が開きます。
淡黄色から栗褐色の繊維状の鱗片にに覆われ、成長とともに放射状に裂けて白地が見えてきます。身は硬く締まっていて、例の(覚えてます?)特有の強い香りがします。この成分はマツタケオールや桂皮酸メチルなどです。
マツタケは、ビタミンDや食物繊維を多量に含み、腫瘍増殖阻止率が高いという研究結果もあるようで、長野県は広島県に次いで全国2位の産地。下伊那郡の豊丘村や喬木村、上田市塩田地区、松本市四賀地区(旧四賀村)などが産地として有名です。
それ以外にも県内各地にマツタケ山が散在していますが、里山はどこも所有者が決まっています。ねらいめは、亜高山帯でコメツガの林を見つけるのだとか。でも、このような標高の高い地帯のマツタケは、8月下旬頃がシーズンとのことですから、今年はもう過ぎてしまいました。
場所は家族にも教えない
マツタケは、生きた木の根に共生する菌根菌のため人工栽培の可能性が低く、高価なキノコです。各地のマツタケ山はメンバー限定の会が所有・管理していますが、マツタケの生える場所は家族にも教えてはいけないという鉄の掟があるそうです。親から子にメンバーが世襲されても、親は子に教えることが出来ないというのですから、徹底しています。
近年は、燃料などを薪に頼らないので、里山の整備もままならず、マツタケの発生しやすい環境が失われつつあると言われています。自然環境と人が共生するために努力したご褒美が、マツタケと言えるのかもしれません。
ウェブサイト「松茸ときのこ山」は、信州某所某山をマツタケが出るきのこ山にしようとチャレンジした記録やマツタケに関する情報が収められていて、読み物としても面白いのでご一読を。残念なことに、今年春から更新していない様子で、その後が気になります。今年の成果も。
直売所にもマツタケが
県内の農産物直売所には、里山で採れたきのこも売られています。マツタケも出回ることがあります。JA上伊那の直売所「ファーマーズあじ〜な」にも、マツタケが登場しました。また、駒ヶ根市にある同JA東伊那支所では、13〜14日にきのこ祭りが開かれます。
マツタケが発生するシロの発達には、5〜6月の高い気温、5〜7月の適度な降水量が欠かせないされています。信州のマツタケ山は標高の高い高冷地に多いため、春以降気温が高めだったことや、夏の高温期が長かったこと、春から夏にかけて豊富な降水量があったので、今年のマツタケの出来はかなり良いのではとの予想も出ています。9月に雨が少なかったのですが、ここに来てやっと雨も降るようになりました。過去2年が不作だったったので、今年は期待しましょう!
長野県林業総合センターのWebサイトには、「平成19年長野県マツタケ発生に係わる現在までの気象環境及び今後の見込みについて」(8月28日)がトピックスに掲載されています。それによれば「11月上旬まで寒波到来による急激な地温低下のないこと」がポイントだとか。
参考資料: 食べられるキノコ200選 信州きのこの会編 信濃毎日新聞社刊 きのこ季節と発生場所ですぐわかる 小宮山勝司著 永岡書店刊