暑かった9月も最後の週ですが、9月下旬とくれば長野県ではブドウのハーベストタイムです。ブドウといえばワインのためのものでもありますが、熟れてみずみずしい生食用のブドウも忘れることはできません。生食用ブドウは、英語では「テーブル・グレープ」と呼ばれています。
長野県といえば、青森県に次いで生産量全国第2位のリンゴをまず思われるでしょうが、ブドウもまた、お隣の山梨県に次いで全国第2位の生産量で、特にいろいろな種類のあるブドウのなかでも、巨峰は全国1位の実績を誇っています。先週末に行われたJA中野市のぶどう祭りでは、驚くなかれ50品種ものブドウが一堂に展示・販売されました。
しかしこれで驚いていてはいけません。世界にはブドウの種類が5000種以上もあるといわれています。原産地によってヨーロッパ種とアメリカ種に大別されます。今回は、ブドウの季節を祝福する意味で長野県で収穫されるブドウの代表的な品種について、少しご案内させていただきましょう。
長野県で収穫される代表的なブドウ
●巨峰
いわずと知れたブドウの王様。たっぷりの果汁と強い甘みが特徴です。「石原早生」と「センテニアル」という品種、ヨーロッパ種とアメリカ種を交配させたもので、1粒当たりの重みは平均で11〜12グラム。中には15グラムを越すも大粒のもあります。長野県ではハウス栽培などの導入により、4月〜12月までの長期にわたって収穫されています(露地物は9月から)。「12月って真冬じゃないですか!?」という方もいるかもしれませんが、加温機を使ってハウス内の温度を高めるなどして冬場の出荷を可能にしているのです。生産量も当然全国一(年間、約22000トン)。詳しくは以下の本誌過去記事などでどうぞ。
冬の巨峰は北信州からの特別な贈り物(本誌過去記事アーカイブ)
JA全農長野「僕らはおいしい応援団」(JAタウン内)巨峰のページ
●ナガノパープル
先週のプレゼントにも登場した話題の新品種ナガノパープル。「巨峰」と「リザマート」を交配させた品種で、種もなく、皮ごと食べられるという驚きのブドウです。生産量は拡大中ですが、まだまだ新しい品種で、栽培技術も確立していない貴重なブドウ。手を汚さずにブドウを食べたいという人にはもってこいのナガノパープル。現在JA全農長野「僕らはおいしい応援団」で限定販売中です。在庫数は残りわずかですので「どうしても食べたい」という方は、早めに下記のリンクからアクセスしてみてください。また、さらにナガノパープルについて知りたいという方は、つぎの本誌過去記事などで。
その名を「ナガノパープル」と申します(本誌過去記事アーカイブ)
JA全農長野「僕らはおいしい応援団」(JAタウン内)ナガノパープルのページ
●ピオーネ
「巨峰」と「カノンホール・マスカット」という品種を交配させたのがピオーネです。10月中旬が出荷のピーク。現在、長野県では種なしのピオーネの生産量拡大をすすめているところです。ピオーネについて詳しく知りたい方は下記の本誌過去記事をどうぞ。
この秋はまずピオーネの味を楽しむことから(本誌過去記事アーカイブ)
JA全農長野「僕らはおいしい応援団」(JAタウン内)ピオーネのページ
●ナイアガラ
ナイアガラはその名の通りのアメリカのナイアガラの滝の近くの生まれ。甘〜くて強い香りが特徴です。生食用のほかに白ワインの原料ともなり、長野県では塩尻市郊外の桔梗ヶ原で広く栽培されています。今年も9月19日からJA塩尻市のワイン工場では2007年産ブドウを使ったワイン作りがはじまりました。下記のページでワイン作りの詳細をご紹介しています。
甘い空気に包まれる塩尻ワイン工場探訪記(本誌過去記事アーカイブ)
ワイン造り開始(日本農業新聞に掲載されたJA塩尻市の記事)
JA全農長野「僕らはおいしい応援団」(JAタウン内)ナイアガラのページ
●ロザリオビアンコ
イタリアなどヨーロッパで「白いブドウ」と呼ばれる「ロザキ」と「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を交配させた品種。糖度が18〜20度平均で、物によっては21度を超えることもあるという甘味強く酸味が少ないのが特徴のブドウです。収穫時期は10月中旬〜下旬ころなので、もうしばらくすると皆さんのお近くのお店でお目にすることができそうです。ロザリオビアンコについては下記の記事をご参考にどうぞ。
ロザリオビアンコ あとひと月の辛抱です(本誌過去記事アーカイブ)
この秋は欧州系ブドウにもご注目を(本誌過去記事アーカイブ)
●ルビーオクヤマ
あまり聞きなれない品種かも知れませんね。ルビーオクヤマは、ブラジル生まれの品種で「イタリア」の枝変わり品種。果粒は楕円形で赤紫色した果皮が特徴。ブラジルで暮らす日系人・奥山孝太郎さんの畑で突然変異してできた品種で、ルビーのような赤紫のきれいな色から「ルビーオクヤマ」と名付けられたのだとか。マスカットのような甘い爽やかな香りがするのです。収穫時期は10月上旬〜中旬頃です。
テーブル・グレープに関するQとA
ブドウの果面についた白いものはなに?
英語で「ブルーム」と呼ばれるもので、ブドウが雨や朝霧などの水分をはじき病気を予防し、果実の水分の蒸発を防いで鮮度を保つために自ら作り出したロウ物質です。これは農薬ではありませんので、安心して食べられます。一般にブドウは、軸が緑色で太く、果皮に白い粉がふいているものは良品です。
種なしブドウはどのように作られるの?
花が咲く前後にジベレリンという薬剤に浸すと、種なしブドウができます。ジベレリンとは、植物自身が作り出す植物ホルモンのひとつです。デラウェアなど小粒なブドウは食べやすさを考慮して種なしであることが一般的です。
ブドウの房で一番甘いところは?
ブドウの房を肩、真ん中、先っぽと分けると、肩の部分が一番甘いのです。テーブルにブドウがでんと置かれていたら、肩の部分をねらいましょう。これは枝に近い部分が太陽によく当たるからです。でもこれを知った今日からは家族兄弟姉妹仲良く肩の部分を分けあって食べてください。房の先に行けば行くほど、酸味が強くなります。
ブドウに栄養があるのですか?
ブドウは、ポリフェノール(アントシアニン、カテキン、レスベラトロールなど)を豊富に含んでいます。とくに、果皮にはアントシアニンが多く含まれています。ポリフェノールは、抗酸化作用があるため、動脈硬化の原因となる活性酸素を除去する作用があります。研究では、ブドウの摂取は、動脈硬化の予防を通して心臓病や脳卒中などの循環器系疾患の予防に効果的であるとも言われています。
まだまたあるよブドウ情報
ということで、今週のブドウの小特集はこれにて終了です。といっても、まだまだブドウの出荷は続きますし、来週にはナガノパープルと並ぶ期待の新品種、皮ごと食べられて種のないブドウ「黄華」の情報もひかえています。引き続きブドウ情報にご期待下さい!