もしあなたがかぼちゃ好きなら、良いニュースです。長野県の北部に位置する上水内郡小川村では、今年から、通常のかぼちゃより糖度の高い(つまり、甘〜い)ベリー・スペシャルなかぼちゃの栽培がおこなわれているのです。今回、その格別に甘いかぼちゃの生産に取り組んでいる松本二千雄(まつもとふじお)さんと丸田勉(まるたつとむ)さんのお二人にお話をうかがってきました。
サラダでもいけるかぼちゃ
松本さんと丸田さんがかぼちゃを作っているのは村内の成就(じょうじゅう)地区。25アールの畑にかぼちゃ1400本を植えたのが今年の5月のことで、いままさに出荷のときを迎えています。
このかぼちゃが甘いのは、もともと糖度の高い品種であることに加え、ひとつの苗につける実の数を2〜3個に限定していることもその理由にあげられます。さらに、収穫後は倉庫など日の当たらないところで、一週間程度追熟させるなど、出荷までに甘みを増やすため多くの手間隙をかけて育てられ、糖度はスイカも真っ青の14にもなるのだそうです。サラダにも使えるということで、そのおいしさを「すごいホクホク感で、栗を食べているような感覚」と、丸田さんは表現しました。
明日を見つめるプロジェクト
このかぼちゃが育っている畑を管理するのが、松本さんが代表を務める「明日の成就プロジェクト」の人たちです。1997年に結成された組織で、地区内の管理できなくなった荒廃農地を地権者から借り受けて整地し、かぼちゃ以外にもソバ、麦、大豆など多品目を生産しています。
もともと同地区には「成伸会」という男性だけで作る組織がありましたが、プロジェクト結成時に、「男の発想だけでは今後の地域のことは考えられない」との想いから、地域全体を巻き込んでのプロジェクト発足となりました。プロジェクトの理念は「自分たちが受け継いできた成就地区を、少しでも住みよい地域に変えて次世代に引き継ごう」ということで、現在男女あわせて約20人がメンバーとなっており、前述の丸田さんも当然その一人です。
「畑を借りて農業をやりたい!という人や、地権者の子どもが畑を耕すときが来るまでの間、土地が荒れないようにするのが私たちの役目」と松本さん。
長野県だけで限定販売
地域を元気にしたいという想いが今回のかぼちゃ生産への取り組みにもつながっているのでしょう。「明日の成就プロジェクト」の畑では、今年3400個のカボチャを交配しましたが、1000個以上が生理落下してしまい、今年は2000個ほどの収穫を見込んでいるそうです。
来年に向けて「今年の栽培で改善すべき点もいくつか出ています。プロジェクトメンバーの意見も聞きながら、来年の方針を決めていきたい」と松本さんは話していました。
このカボチャは「フルーツカボチャ」の名前で、長野県内のスーパー限定で出荷される予定です。
ところで、これは余談ですが、今回ご登場いただいた丸田さんの畑では巨大なズッキーニも収穫できるそうです(左写真)。丸田さん曰く「ヘタの大きさから考えても、本来これくらいの大きさに育てるものなのではないかと思っています。実際にこれくらい大きいほうが味もいい」と、笑顔で語ってくれました。確かに驚くべき大きさですねえ..ちなみに隣にあるのは普通のキュウリであります、お間違えなく。
丸田勉さん経営の農村体験民宿「ふるさとハウス ビオトープ」ウェブサイト