健康への働きを表示できる保健機能食品の一つ「機能性表示食品」に、初めてリンゴの加工品が加わりました。 JA全農長野のネットショップ「JAタウン・僕らはおいしい応援団」で2020年3月から販売が始まったドライフルーツ「毎日アップル(シナノゴールド)」とジュース「毎日アップル(ストレート)」です。 それぞれ全農長野から原料供給を受けた森食品工業(株)(千曲市)「ドライフルーツ」と長野興農(株)(長野市)「ジュース」が製造し、届出事業者となった製品です。いずれも、リンゴに多く含まれるポリフェノールの一種、プロシアニジンの働きで、内臓脂肪を減らす機能をうたっています。技術支援をした全農長野の試験研究機関、一般社団法人・長野県農村工業研究所(農工研、須坂市)などでお話をうかがいました。
プロシアニジンは熱に弱く、酸素に触れたり光に当たったりしても壊れてしまう繊細な成分。加工工程で減る量を最小限に抑えること、また品種の特徴を生かした高品質かつおいしいものを作り上げるのが大きなポイントだったそうです。 ドライフルーツでは、一般に食味や食感および歩留まりをよくするため、砂糖など添加物を加えてつくりますが、今回はプロシアニジンの含有量を高める目的もあって、それらを一切加えることなく製品化しました。正確に呼ぶと「無調味乾燥品」となります。この製法により原料リンゴの味わいがしっかりと残る高品質な製品になりました。 原料のリンゴは、機能性成分量に加え、加工後の色合いなど加工適性等を総合的に検討し、長野県オリジナル品種の「シナノゴールド」としました。 酸素に触れてプロシアニジンが壊れてしまうのを避けるため、製品は酸素透過性が低い特殊な透明フィルム、脱酸素剤で包装してあります。 100g入りの製品1パックでプロシアニジンの1日当たりの摂取目安量110mgが摂れます。
一方、ジュースでは、殺菌や変色を防ぐために欠かせない加熱工程を最小限に抑えることで、プロシアニジンの量を確保しました。 一般に、リンゴジュース製造に当たっては、空気(酸素)に触れて変色(褐変)することを防ぐため、酸化防止剤(ビタミンC等)を加えていますが、今回は、窒素環境下で密封して破砕、搾汁する長野興農(株)の独自技術と併せて、無調整のストレート果汁としました。 こちらの原料リンゴは品種別の機能性分量、加工適性を検討し「ふじ」としました。 コップ1杯(190ml)を3回に分けて570ml飲めば、プロシアニジンの1日当たりの摂取目安量110㎎に達します。
ここまできて、「そんなに苦労して加工するなら、そのまま生で食べたほうが早いのではないか」との疑問が、正直なところ浮かんできました。 農工研の竹内正彦・農業開発研究部 部長は「青果では一年中食べることができないので、加工品で機能性をアピールすることで、リンゴ全般の消費拡大につなげたいのです」と、初のリンゴ加工品機能性表示食品の意味を説明してくださいました。 製品化に当たっては、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の生物系特定産業技術研究支援センター(生研支援センター)が進める「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」の支援で、同機構食品研究部門を中心に農工研などが加わった「国産リンゴ及び加工品の高付加価値化を促進する機能性表示食品の開発及び健康機能性成分の評価技術の開発」という研究の成果を利用しています。
ちょっとむずかしい説明が続いてしまいましたが、肝心の味は――。 ドライフルーツは「無調味乾燥品」を名乗るだけあって、砂糖漬けのような普通のドライフルーツとは一線を画した味わいです。 リンゴジュースは濃厚な甘さが印象的でした。実のところ生のリンゴは大好きですが、ジュースは独特な味が少し苦手でした。このジュースは搾りたての雰囲気をよく残していると思いました。味見をした同僚からも「おいしい!」と好評でした。
そうそう賞味期限のことを忘れていました。青果なら味はともかく腐らない限り食べられますが、加工品なら目安が必要です。時間とともに機能性成分プロシアニジンが減っていくことを確認したうえで、無調味乾燥品、ジュースともに機能性表示食品としての賞味期限を9カ月と設定しました。内臓脂肪を減らしたい方は早めに召し上がってください。 リンゴ無調味乾燥品「毎日アップル(シナノゴールド)」とリンゴジュース「毎日アップル(ストレート)」はJA全農長野のネットショップ「JAタウン・僕らはおいしい応援団」で販売中。「毎日アップル(シナノゴールド)」は100g袋入り3袋3300円(消費税込み)、「毎日アップル(ストレート)」は780ml瓶入り3本3900円(同)。送料が別に必要です。
【機能性表示食品】 健康の維持および増進に役立つ機能性を表示することができる「保健機能食品」のうち、事業者の責任で科学的な根拠に基づき、消費者庁長官へ届け出た上、表示した食品。従来、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に限られていましたが、より消費者の選択肢を増やそうと2015年に加わりました。「トクホ」は表示している効果や安全性について、国が個別に審査しているのに対し、「機能性表示食品」は、事業者の届け出により審査されます。一方、「栄養機能食品」は、国の規格基準の範囲で届け出なしに表示できます。
こちらは 2020.04.21 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
昭和人Ⅱ
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