11月の長野県の気温は平年より高く、雨も多く、生活するには過ごしやすいのですが、干し柿をつくっているみなさんにとっては、最悪の状況になっています。 この気候によって柿の乾燥作業が思うように進まないなど、長野県の飯田下伊那地区特産の干し柿「市田柿」の生産にも影響が出ています。 今回は、毎年自家製干し柿をつくっている編集部員D家の干し柿づくりをレポートします。プロでも難しい気象条件の中、今年の出来はいかに・・・。
編集部員D家の干し柿に使う柿は「平核無柿(ひらたねなしかき)」。形が平たくて四角い箱形で種のない柿です。名前の核とは種のこと。種子がないので食べやすく、肉質も軟らかく「渋柿の王様」と呼ばれ、数多くある品種の中でも生産量が多く人気がある柿のひとつです。
今年もたわわに実った柿を手籠6籠、300個収穫しました。収穫時に注意するのが、柿の軸についている枝を残したまま収穫すること。柿を干す際に、柿の軸に紐を巻きつけて吊るすので、軸の枝を付けて収穫します。柿はできるだけ硬い物を収穫し、収穫後はすぐに軟らかくなってしまうので、柿が硬いうちに皮むきするのがポイントです。
さっそく、300個の柿の皮むきです。へたの周りの皮をぐるりと一周むき、その時へたも一緒に取り除きます。 皮むきが終わったら軸の根元に紐を縛りつけ、柿が重ならないように一定の間隔で結びつけ「柿すだれ」をつくります。我が家では、紐で結んでいますが、「柿すだれ」専用の道具「柿クリップ」が販売されていますので、それを使うと手間が省けて便利ですよ。
「柿すだれ」が準備できたら、風通しのよい物干し場で、柿を乾燥させます。
(1) 吊るしてすぐ(2015年11月8日)の柿すだれ
(2) 吊るしてから1週間後
(3) 吊るしてから2週間後
(4) 吊るしてから3週間後
例年であれば、3週間ぐらいで、「柿すだれ」を下ろすことができるのですが、今年は、11月中旬まで平年よりも高温で曇り空の日が続き、乾燥が進まず、まだ「柿すだれ」を下ろすことができません。青カビまで発生してしまうほど、干し柿づくりには厳しい年となりました。
今年はプロの農家でも、カビの発生を抑えるために例年1回行う「硫黄くん蒸」を複数回行っているそうで、我が家でも初めてカビが発生したので、湯通しをして再度天日干ししました。
表面に白い粉がふいてきたら出来上がり
しかし、柿はすでに収穫時の半分以下の大きさになり、割ってみると中味はポタポタの状態。食べると甘くおいしく十分にいただけます。柿の表面に白い粉がでたら、日に当てないように保存します。我が家の干し柿の仕上がりはもうしばらく先になりそうです。 手づくりの干し柿は、自分好みの食べ頃を探せるのも楽しみのひとつです。
こちらは 2015.12.01 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
さくら
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