周囲の里山がうっすらと雪化粧を施す頃になり、寒さもいよいよ本格的になってきました。
そんな時期はおいしいものを食べて、心も体も温まりたいものですね。
今の季節、「何か美味しいものはないかしら?」と思いを巡らせば、足は自然と山形村へと向かわずにはいられません。
県中部・松本市に隣接する東筑摩郡山形村。ここでこの時期旬を迎えているのが、特産の長芋です。
今年は「これまで長芋をつくってきた中で一番いい出来栄え」と、栽培歴50年の生産者も満足そうな笑みをたたえるほどの上質な仕上がりですから、それはもう、山形村の長芋を食べておくべきだと思いませんか!?
大っきい!
「鬼に金棒」な長芋
パノラマとなって眺められる北アルプスの峰々は、もうすっかり真冬の装い。その麓に広がる平坦な大地は、まるで何事もなかったかのような静寂に包まれ、畑一面に枯れ落ちた葉が広がります。そんな一角で、静けさを打ち壊すほどの大きさで引っ張り上げられていたものが......。
「これ、長芋!?」
なんて大物なんでしょう、5キロ近くはあるでしょうか。これこそ「鬼の金棒」というのではないかしら!?
そんな長芋の収穫を行っていたのが、長芋栽培歴が半世紀にもなるという村上修一さんと奥様の文子さんです。
「黄葉」が連なる風景は圧巻。
収穫シーズンの始まりです。
まずは、長芋の掘り方を見学させていただきました。
粘り・甘み・コクが自慢です!
いかにも重そうな長芋が、(見ている分には)すんなりと次々に収穫されていくのは、土壌が水はけの良い火山灰土だからでしょうか。焼岳や御嶽山の火山灰土で育まれた長芋は、強い粘りが特徴で、「とろろ芋にしてご飯にかけた時、ご飯の中に沈まないほど」とも表されます。この粘りに加え、甘みとコクと3拍子そろっているのが山形村の長芋の「売り」なんです。
1日1,000本を収穫
山形村を始めとする地元、JA松本ハイランド管内では今年225戸の生産者が長芋を栽培しています。村上さんは、「この時期の作業は寒さが身に堪える」と言いながらも、奥様と合わせて1日にざっと1,000本を収穫するそうです。10月末から始まった収穫は12月末まで行われ、残りは土の中で越冬させながら、雪解け後に春堀りとして収穫が行われます。
生産者おすすめの長芋レシピ
さて、そんな長芋の食べ方といえば、「長芋は捨てるところがない」と言うのが地元生産者の談。じつは山形村には、101品もの長芋料理があるそうです。
そのなかから、山形村農村生活マイスターの方々に、長芋を使った料理、「長芋とツナマヨネーズのサラダ」「長芋・カニかまぼこの春巻」「芋の煮っころがし」「桜かるかん」の4品を作っていただきました。
長芋ツナマヨネーズサラダ
【材料 4人分】
長芋・・・500g
ミックスベジタブル・・・100g
〔ツナマヨネーズ〕
ツナの缶詰(油をきる)・・・1缶
玉ねぎのみじん切り・・・大さじ2
米酢・・・大さじ1
しょうゆ・・・小さじ1と1/2
練りからし・・・小さじ1
マヨネーズ・・・大さじ5
【作り方】
1.長芋はたわしで皮をこすり洗いしてひげ根をとり、1センチ幅の輪切りにする(お好みで皮をむいてもよい)。
2.耐熱皿に長芋を並べてラップをかけ、電子レンジで4〜5分加熱し、さいの目に切る。
3.ミックスベジタブルはさっと茹でてザルにあげ、水気を切っておく。
4.ツナ缶は油をきってから、ツナマヨネーズの全ての調味料を混ぜ合わせる。
5.長芋とミックスベジタブルをツナマヨネーズで和える。
長芋・カニかまぼこの春巻
【材料 4人分】
長芋・・・400g
カニかまぼこ・・・10本
春巻の皮・・・20枚
青ジソ・・・10枚
小麦粉・・・適量
サラダ油・・・適量
練り辛子・・・適量
しょう油・・・適量
酢・・・適量
【作り方】
1.カニかまぼこと青ジソは縦半分に切る。長芋はカニかまぼこの長さに合わせて大きめ短冊切りにする。
2.春巻きの皮に、青ジソ、カニかまぼこ、長芋をのせて巻き、巻き終わりを水で溶いた小麦粉でくっつける。
3.フライパンに油を敷き、2の春巻きを並べ、蓋をして弱火で表面に焼き色が付くよう5〜6分焼く。
4.辛子酢じょう油などお好みものを付けて食べる。
芋の煮っころがし
【材料】
長芋(細いもの)・・・600g
赤砂糖(三温糖など)・・・100g
しょうゆ・・・50ml
水・・・50ml
【作り方】
1.長芋をよく洗い、2センチ位の輪切りにする。
2.底広鍋に長芋を並べ、芋が隠れるほどの水で10分ほど茹でる。
3.鍋に残った湯を捨て、赤砂糖、しょう油、水を加えて10分ほど中火でコトコトと煮て味を含ませる。
桜かるかん
【材料 21センチケーキ型1個分】
長芋・・・200g
米粉・・・200g
卵白(L〜LL)・・・2個
牛乳・・・120ml
砂糖・・・150g
桜の葉(塩漬け)・・・7枚
桜の花(塩漬け)・・・適量
【作り方】
1.塩漬けの桜の花をさっと水につけて塩抜きをする。
2.長芋は皮をむいてすりおろす。
3.卵白を固く泡立て、砂糖を加えてよく混ぜる。これに2の長芋と、細かく刻んだ桜の葉を加えて混ぜる。
4.さらに米粉を加えて混ぜ、ダマにならないよう牛乳を少しずつ加えて混ぜ合わせる。
5.ケーキ型に流し入れ、上に桜の花を散らし、蒸気の上がった蒸し器で15分ほど蒸しあげる。
生食以外にも、焼いたり炒めたり、蒸したりと、自由自在に使える長芋ですが、栄養的にも消化酵素を多く含み、消化促進作用が抜群の優れもの。昔から漢方では滋養強壮に効果があるとされてきた長芋ですから、胃腸に負担のかかる年末年始に長芋料理を取り入れてみてはいかがでしょう。
そんな長芋を頬張りながら、「来年はこの山形村の長芋のように、物事に粘り強く取り組みたい・・・」と思うこのごろです。
そうそう、長芋は0℃になると凍みて粘りがなくなるため、保存はもみ殻やおがくずの中をおすすめします。
山形村の女性農業者でつくる「山形村農村生活マイスター」がまとめた「長芋料理101品」のレシピ集『信州やまがた長芋料理101品』(800円)は、下記で販売しています。
◇JA松本ハイランド 山形地区営農センター
電話:0263‐98‐3237
◇山形村役場
電話:0263-98-3111
※郵送の場合は、別途送料80円がかかります。
山形村の長芋は、こちらでお求めいただけます。
◇JA松本ハイランド ファーマーズガーデンやまがた
住所:東筑摩郡山形村1579-1
電話:0263-98-5231
定休日:月曜(祝日は営業)、年末年始