下界の、意地悪なほどの陽射しから逃れてやって来たのは、ここ菅平高原。上田市の北部に位置し、上信越高原国立公園の一角を占めるこの高原に半年前に訪れた時は一面の銀世界で、ウインタースポーツを楽しむ人で賑わっていました。
今では深い緑に囲まれて、グランド内を駆け回るラガーマンやその周辺でトレーニングするランナーなど、若いアスリートが汗にまみれている姿が多く、見ている方まで清々しい気分にさせてくれます。
ところで、そんな菅平高原を爽やかなイメージとして定着させているのは、ラガーマンの汗と青春や、高原を通り過ぎる風の爽やかさだけではないようです。現地に立って初めて体感した、この高原の素晴らしい一面をお伝えしましょう。
ラグビー合宿と高原野菜、これが夏の菅平高原です
菅平高原には長野市と上田市を結ぶ大笹街道が貫いています。この街道の左右には、見渡す限りはるか先まで高原野菜の大海原が広がり、一層の清々しさを感じさせてくれるのです。この高原が全国に名を知られているのは、スポーツ合宿のメッカとしてだけでなく、標高1,000メートルを越える高地の冷涼な気候で育てられる高原野菜の一大産地としてでもあるのです。
特に盛んにつくられているのがレタス。地元・JA信州うえだ菅平支所管内では栽培されるレタスの面積は160ヘクタールほど(100メートル四方の面積が1ヘクタールですから、なんとその160倍。そこに全部レタスが植えられているとなると・・・収穫するのも気が遠くなりそうです)。そんな広大な畑で、現在70軒ほどの農家がレタスの栽培に携わっています。そんな農家の皆さんの姿が畑に現れるのは朝日が昇る前の4時過ぎ、朝露でレタスの葉がしっとりと濡れ、空気がまだひんやりと冷たい時刻です。
レタスは新鮮なまま、どうやって食卓に届くのか
早朝から収穫を行うのは、もちろん採れたてレタスのおいしさを届けるため。午前には収穫したレタスを詰めたものすごい数のダンボール箱が出荷場へと運び込まれ、冷却保管によって品質を保たれながら、その日のうちに東京や大阪、中京方面へと運ばれてしまいます。翌日には早くも店頭に並べられ、即購入して食卓で味わえるという、驚くほどの流通速度ですね。
高原レタスの採れたての美味しさを全国に届けるために、生産者を始めとする様々な方々による毎日の苦労があるんだなと思わずにはいられません。
ここは標高の高い栽培地ですから、日中は痛いほどの日差しでも、夜間にはグッと冷え込みます。この寒暖差がレタスに甘味をもたらして、絶品ともいえる味わいのレタスに育っていくという事ですから菅平高原のレタスのおいしさには気候も味方しているわけです。
レタス本来のおいしさを味わってください
採りたてレタスを味わってみると、軽やかでシャキシャキとした歯応えと、ほのかな甘い余韻がたまらなく、ついついその美味しさに虜になって写真を撮るのをすっかり忘れてしまうほどです。菅平高原のレタスは、ドレッシングなど付けなくてもペロリと食べられてしまうほどの味わいでした。
ふと見上げた先には、山の斜面の高いところまでレタス栽培に欠かせない白いマルチシートが広がっていました。菅平高原のレタス栽培は、気温の上昇に合わせるように標高の高い場所へと畑を移動していくそうですが、そのもっとも高い場所で標高1,350メートルほどです。冬場はリフトが通るほど高い地点まで夏場はレタス畑に変わります。
ここでのレタスの栽培は暑さが続く9月頃までが最盛期で、10月上旬頃まで行われるとのことです。
おいしいレタスを選ぶには、手に持ったときに軽く、葉がしっかりと巻いてあり、色が淡いグリーン色で艶々としているものを選びましょう。また保存は、湿らせた新聞紙などに包んでからポリ袋に入れ、野菜室に入れて早めに食べきってください。
【参考:レタスのレシピ】
信州の素材を生かす「おすすめレシピ」・・レタス(JA全農長野)
信州はおいしい!自慢のレシピ・・レタスのステーキ(JA長野中央会・考案者:オーベルジュ「エスポワール」 オーナーシェフ藤木徳彦氏)
〔菅平高原レタスの買える店〕
農畜産物直売所「マルシェ国分」
(A・コープファーマーズうえだ店に併設)
長野県上田市国分80
(0268-27-5580:A・コープファーマーズうえだ店兼用)
※ただし当日の出荷状況と、数に限りがありますので、事前の確認をお願いします。