長ネギの青い部分を好んで食べる関西派、それとも白い部分を好む関東派、あなたの好みはどちらでしょう。
そんな関西派も関東派も両方満足させてくれるネギが、現在、長野県南部の飯田市周辺で収穫に忙しい時期を迎えている"土付きねぎ"です。
気温マイナス7度、キーンと冷え込んだ朝の寒さ、そして清々しい青空の下、目の前には目が覚める程に青々としたネギ畑が広がっていました。
白根も緑葉も丸ごと味わう
この土付きねぎの特徴は、白い部分が長いこと。出荷基準には、ネギの白い部分が30センチ以上の長さをもつことが条件にあるそうですが、その長さをつくるため、年に何度かネギの成長に従って盛り土をすることで、白い長さをつくり出しているそうです。さらに名前にもあるとおり、土が付いた薄皮を取らずにそれごと袋詰めするのは、収穫した後もネギが持つ水分の蒸発を防ぎ、より鮮度を保ってお客様の元へと届けたいという思いから。さらに青い緑葉部分も切り落とすことなく袋に入れるのは、甲乙つけがたい白根と緑葉の両方の美味しさを1本丸ごとを味わってもらいたいという考え。
通常5〜6月頃から苗を定植し、10〜2月頃まで収穫されるこの土付きねぎ。たっぷり7ヶ月近くをかけてゆっくり育てられるネギは、十分な食べ応えを感じる太さもまた魅力なのです。
そんな土付きねぎをつくるのは、標高530メートル、下伊那郡高森町の安藤清美さん。夏場は果菜類の産地として安藤さんもキュウリ作りに追われる日々だそうですが、冬場の仕事として行っているのがこの土付きねぎの栽培。今年で4年目になるそうです。
糖質たっぷり。甘みがおいしい
「ネギの青い部分も、白いところも好きだけど、これを刻んで生タマゴと混ぜ合わせ、しょうゆを垂らしたのをご飯にかけたら、それはおいしい」と、安藤さんお気に入りの土付きねぎの食べ方を教えてもらいましたが、生のネギがそれほどに美味しいのも、この土付きねぎが冬の寒さの中で育つ野菜特有の、寒さに負けないよう我が身を守ろうと、ネギ自らが糖質を生み出しているから。冬だからこそ夏場の辛いネギには味わえない、甘味をもったネギの奥深さが堪能できるのです。
鍋に入れても良し、刻んで薬味にしても良し。またこの飯田地方では、おでんにネギを刻んでしょうゆ漬けにしたものをのせて食べる「ねぎだれおでん」が有名ですが、そんな脇役ばかりじゃもったいない。今回は冬場に美味しいネギを味わえる料理『長ネギのココット焼き』をご紹介しましょう。加熱することによってより一層引き出されたネギの甘みを味わいながら、牛乳をスープ代わりに飲んで体を温めてくださいね。
身体を温め、鼻や喉の炎症を抑える
ちなみに、昔のことわざにある「根深雑炊生姜酒(ねぶかぞうすいしょうがざけ)」。これは体が温まるものを並べたもので、この「根深雑炊」とは、長ネギをたっぷりと入れた味噌仕立ての雑炊のこと。ネギには発汗作用や保湿効果があり、血行を良くしたり、鼻づまりや喉の炎症を抑える働きなどがあるそうです。寒くて空気が乾燥し、風邪の流行るこの時期、まさにネギは今食べるのにピッタリの食材ですよね。
ただしこの土付きねぎ、ほとんどが中京や大阪方面へと出荷されるため長野県内で手に入れるのは難しいかもしれません。商品のお求めは、JAみなみ信州 営農部(電話:0265−52−6644)へお問合せください。