いよいよ秋本番! 長野県のりんごはこれから、千秋、シナノスイート、シナノゴールド、紅玉、秋映、陽光といった中生種の出荷がはじまります。そしてそのまま11月の王林、ふじへと、信州りんごのシーズンは一気に続くのです。りんごは、元来雨が少ない寒い地方に適しているくだものです。日本列島で最も南の栽培地は、長野県南部の南信地方とされています。みなさん、準備はよろしいですか? 県下のりんご園では、赤く色づきはじめたりんごたちが、いまかいまかと出番を待ってます。
全国2位のりんご生産量
長野県のりんご生産は、面積8640ヘクタール、生産量145800トン(平成16年度)で、青森県に次いで全国2番目となっています。本県のりんご栽培は、明治7年に政府勧業寮から苗木が配布されたことがきっかけで、明治30年ごろから大正末期にかけて広まりました。その後、昭和初めの世界経済恐慌によって信州の一大産業だった養蚕が不振に陥り、その転換作物として県がりんごの生産奨励を行ったことで、栽培面積は急速に増加。戦後は、りんごブームとなり、各地に爆発的に新植も行われて、昭和37年には史上最高の15,366ヘクタールに達しました。
昭和38年以降、バナナ等の輸入果実の増加や、消費者のりんごばなれなどによって生産過剰となり、それ以降面積の減少が続きました。しかし、昭和43年からはじまった「うまいくだもの推進運動」により、「ふじ」「つがる」への品種更新と、水田へのわい化栽培(注)の導入が急速に進み、昭和52年から再び増加に転じて、昭和62年には11,550ヘクタールに達しました。近年では、生産者の高齢化や低位生産園の増加で、平成元年以降は再び減少傾向になっています。
(注) りんごは、台木にりんご品種の穂木を接木して栽培します。台木に接木した穂木の成長をおさえる性質を持った「わい性台木」を利用し、木の大きさを小型化する栽培がわい化栽培です。
長野県生まれの期待のりんごたち
- シナノスイート(愛称:あじぴか)
「ふじ」と「つがる」の交配品種で、果汁が多く、香りもよくて、ほどよい甘味と少ない酸味が特徴。甘味が勝り極めて美味。 「ふじ」に比べると収穫時期が早い。
- 秋映(あきばえ)
「千秋」と「つがる」の交配品種で、甘味が強く酸味は中ぐらいで、果汁は多い。完熟すると果色が暗紅色になるのが特徴。標高が高いく寒い地域で収穫されたものは十分な冷気に当たっているので黒に近い赤に。無袋栽培が中心。
- シナノゴールド
「ゴールデンデリシャス」と「千秋」の交配品種で、甘味のバランスが良く、果汁が多い。歯切れのよい緻密な肉質で食味は優れる。口当たりのよい緑黄色のりんご。外観、食味、貯蔵力と三拍子そろっている。
これらの長野県オリジナルのりんごの品種は、将来の主力品種にと積極的な生産拡大を行っています。スーパーなどの店頭で試食宣伝会も随時行っていますので、見かけたときはぜひ、迷わず味見してみてください。きっとあなたも、長野県で育ったりんごのとりこになるでしょう。
根強い人気の「紅玉」
毎年、秋の気配が近づいてくると「紅玉」の根強いファンから「今年はいつ頃から販売されますか?」「楽しみに待っているんだけど・・・」「紅玉で作ったアップルパイが一番おいしいのよね〜」などの声が聞かれます。かつては国光とともに日本の2大品種でしたが、新品種に押されて、今ではりんごの生産量の1%にも満たない「忘れられた品種」になっているのが現状です。一方では、「紅玉」を食べて育った世代の方から酸味を懐かしむ声も多く、また、料理、加工用にむいているため、根強い人気があります。長野市共和地区では、ちょうどその「紅玉」の収穫期を迎えていて、情報では1ヶ月足らずの短い期間で収穫も終わるようです。すっぱくてなつかしい「紅玉」をご希望の方、ご注文はお早めに。
知って得するりんごのあれこれ
Q おいしいりんごの見分け方はありますか?
A 固いものがおいしいのですから、固いものを選びましょう。お尻の色を見て青いものはまだ未熟です。薄い色でも全体に赤い色がはいっているものがおいしいかな。
Q りんごの皮のベタベタは、ワックスを塗っているの?
A ワックスは塗っていません。りんご自身が作り出した「ロウ物質」で、人体には全く無害です。皮ごとめしあがれ。
Q りんごは家ではどこに保存すればいいの?
A りんごに限らず果物は呼吸をしています。低温&適度に湿度のあるところに置けば呼吸作用を抑えて糖分や水分の発散を防ぎます。ポリ袋に入れて(長期の場合は新聞紙に包んで)密封してから冷蔵庫の野菜室に入れるのが理想です。