
今週も長野県生まれで中生種の期待の星「リンゴ3兄弟」の紹介をさせてください。秋映(あきばえ)、シナノスイートときて、最後は、そう、そうです、「シナノゴールド」です。名前のとおり、鮮やかな黄色が『きんぴか』に輝くシナノゴールド。甘酸っぱくて、ジューシーで、シャキシャキッと歯切れが良くて、今までの黄色いりんごのイメージを変えるーー甘味と酸味のバランスが絶妙でーー濃厚な味。こんなに美味しいりんごがまだあったなんて・・・と、あなたも一口食べれば必ずやそう思うはず! おまけに、日持ちがよいので、じっくりと楽しむことができますぞ。
『シナノゴールド』は、昭和58年に長野県果樹試験場が「ゴールデンデリシャス」に「千秋」を交配して育成した品種。平成11年8月11日に『シナノゴールド』の名称で登録番号7328号として品種登録されました。果実は300g前後と大きく、果形は長円形。果肉の色は黄色で、硬さは中ぐらい、果汁が多く、糖度は14〜15%、リンゴ酸含量は0.4〜0.5%前後で食味は極めて良好、ミツはほとんど入りません。(農林公庫の資料より)

いったいどんなリンゴになるのだろうか?
冷たい風がひんやりと心地いい長野県上高井郡高山村へ行ってきました。標高560メートルのこの地で、シナノゴールドを栽培している牧善則(まきよしのり)さん(57)は、リンゴ栽培歴20年。マキフルーツ農園では、リンゴはつがる、サンふじとあわせて100a、巨峰15a、田んぼ60aを奥様と手がけています。
JA須高リンゴ部会高山支部販売部長も務める牧さんは、「高山地区でシナノゴールドの栽培は俺が最初だろうなあ・・・」と導入当時のころの思い出を話してくれました。
平成9年12月に最初の苗を、当時はまだシナノゴールドという名前はなく「長果15号」と呼ばれていたリンゴの苗を、植えたそうです。ふじリンゴの前の、王林より一週間早いものだということぐらいしかわからず、「いったいどんなリンゴがなるのか全くわからなかったなぁ」と、不安いっぱいのスタートでした。
平成12年10月に初めての実がなったときは、「なんだ、こんなリンゴか」と思ったといいます。しかし、なんといっても、他のリンゴに比べて圧倒的に作業が楽!(葉摘みをしなくていい、玉回しはしなくていい、反射シートも入らない)だったので、「よおし! やってみるか」となったそうです。
収穫時を見極めるのが大事
シナノゴールドはもともと標高の低い地域での栽培が望ましいといわれているものですが、標高が高いこの地でも、成熟期は遅れるものの10月下旬には、甘酸っぱくてとってもジューシーなリンゴができあがります。

収穫を目前にして、なんとなく余裕顔の牧さん(いえ、ホントはサンふじの葉摘みで大忙しなのですよ)。シナノゴールドというりんごは、収穫にかなり気を使うといいます。着色と味がのってきた時期のバランスを見極め、いわゆる適期に収穫をということなのですが、まだまだ新しい品種なために、カラーチャートを参考にしたり、見本の模型を参考にしたりと、いろいろと気を使います。
せっかくの期待の品種、一番おいしい状態でお客さまに味わってほしいという気持ちがことのほか強く感じられました。また、木が比較的若く、硬いので、風が吹くと木が小刻みにゆれて、せっかく熟した実が枝にあたって傷がつき、その傷が赤いリンゴより目立つので、ちょっとでも傷がつくと売り物にならないのだとか。味は変わらないのに、なんとももったい話ではありませんか。

シナノゴールドは、JA須高の高山共選所(上高井郡高山村/電話026-245-2348)で10月25日ごろからお目見えする予定です。シナノゴールドを食べたことのない皆さん、ぜひぜひ食べてみてください。きっと忘れられなくなりますから。