野菜

信州のトマトがおいしくなる季節です

tomato-1.jpg衣替えも終え、信州の高原に朱や赤のレンゲツツジの花が咲きはじめると、じっとりの梅雨とムシムシの夏はもうすぐそこ。そんなときは、キンキンに冷やした「トマトジュース」をゴクリ。これががとにかく最高です。長野県は加工トマトの生産高が日本一。実はトマトも柿やリンゴと同じのように、赤く色づくと医者が青くなるいわれるほど、栄養万点な野菜のひとつです。体にもお肌にもいいトマトで、この夏を乗り切ってください。

トマトのふるさとは今のペルー

もしかしてあなたは、この「トマト」という呼び名は、世界共通だと思っているのではありませんか? 日本ではトマトで通じても、他の国では違うんです。トマトはジャガイモと同じように南米のアンデス山脈の谷間でインカの人たちが栽培していたものですが、コロンブス以前に中米あたりまで広まっており、「トマト」という呼び名の語源はアステカ語で「膨らむ果実」を意味する「トマトゥル」からきています。スペインによって滅ぼされるよりもはるか昔、メキシコ湾をのぞむベラクルス地方のアステカ人がこう呼んだのがはじまりといわれています。トマトゥルとは元来は「ホオズキ」を指し、メキシコではホオズキを煮込んで料理に使っていたところから、形がよく似たトマトも同じ名前で呼ばれたようです。

トマトが世界に受け入れられるまでの長い歴史

トマトはジャガイモと同じように16世紀にスペイン人によってヨーロッパに持ち込まれました。そこで「トマト」の呼び名ですが、イタリアでは「ポモドーロ(黄金の実)」、フランスでは「ポム・ダムール(愛の実)」、イギリスでは「ラブ・アップル(愛のリンゴ)」とさまざまです。なぜ「愛」なのかといいますと、ヨーロッパの人たちは当初これに催淫作用がある(あるいは精力を回復させる)と信じていたからなのですね。食べるには相当勇気が必要なあやしい植物と考えられたらしく、主に観賞植物としてあつかわれてきました。

アメリカ大陸原産の作物のほとんどがヨーロッパで普通に食べられるようになるまでには長い時間がかかっています。トマトも例外ではありません。催淫作用があると信じ込まれたのは、有毒植物のベラドンナの実ににていたからで、魔法使いや魔女が薬にするものと思われていたのです。トマトの学名は、ラテン語で「リコペルシコン・エスクレンタム」といい、これにもなかなか興味深い意味が隠されています。リコペルシコンは「狼(lycos)」と「桃(persicon)」を合体させた言葉で、エスクレンタムは「食べられる」という意味。すなわち「食べられる狼の桃」です。名付け親は、英国の植物学者フィリップ・ミラーで、1754年に発表しています。この名前からもわかるように、あぶない植物と信じていたのです。

トマトにたいするあやしげな先入観がとれてヨーロッパの人たちがトマトをむしゃむしゃ食べはじめるのは18世紀の末のことでした。19世紀には北米大陸に逆に伝えられアメリカでも食べられはじめています。日本には江戸時代の初めにオランダ経由で観賞用として持ち込まれたとものの記録にはありますが、本格的な食用としての栽培は明治になってからのことでした。

リコピンの力をご存知か

さわやかなおいしさが発見され、晴れて世界的に野菜として認められることになったトマトの鮮やかな「赤い色」にはパワーがギュッと詰まっています。赤い色の正体はカロテノイドのひとつである「リコピン」という色素で、がんや動脈硬化などの様々な生活習慣病の原因となる活性酸素を消去するはたらき(抗酸化作用)が強いことが分かっています。その作用は「β-カロテン」の2倍以上、ビタミンEの100倍以上にもなることが分かったので、近年、急激に注目度がアップしています。また、「リコピン」はシミやソバカスなどの原因となる、紫外線によって生じるメラニンの生成を促進する活性酸素を消去するとともに、メラニンの生成に必要な酵素「チロシナーゼ」の働きを抑えます。その結果、美白につながるのです。

最近ではトマトの輪切りを顔などに貼る"トマトパック"や、お風呂の入浴剤代わりにトマトジュースを使う"トマト風呂"で直接効能を得ようとする人もいるようです。しかし、皮膚にトマトをのせたりしても、リコピンはなかなか体内には取り込まれません。それよりは、ジュースなどのトマト加工品を摂取する方が、確実に体内にリコピンを取り込むことができ、皮膚にも蓄積されます。特にリコピンは油に溶ける性質を持つため、油と一緒にとると吸収率が高まります。熱に強いので、炒めたり、煮込むなどの調理をしても、成分が変化しにくいのが特徴です。

トマトを二つに分けてみる

トマトには実際いろいろな種類がありますが、色で分けると「ピンク系」と「赤系」のトマトがあります。栄養的にはピンク系よりも赤系トマトが勝っています。サラダなど、生で多く食べられてきたトマトは「ピンク系トマト」とよばれています。なじみのある「桃太郎」はピンク系トマトの代表格です。

一方、主にジュースや素材缶詰など加工品として利用されているのが「赤系トマト(こくみトマト、クッキングトマトなど)」です。赤系トマトはピンク系に比べて果肉が中心部まで真っ赤なのが特徴です。これはリコピンの含有量が多いためです。さらに、うまみ成分も多く含まれることなどで、今注目を集めています。最近では、生食用の赤系トマトも出回るようになりました。

長野県のトマトはまさにこれからが旬

トマトの生育にはたくさんの太陽の光が欠かせません。露地で栽培されるトマトの旬は7?8月です。まさに今! その他の時期には温室栽培ものなどが出回り、いまでは1年を通して食べることができます。主な日本列島の産地は、冬から春にかけては、熊本、愛知、千葉、栃木県などで、夏から秋にかけては、われらが長野県をはじめ北海道、福島、茨城などです。

Look for: おいしいトマトを見分けるポイントは、肩の部分やそのまわりが、よく張っている固くしまったものを選びましょう。手にとってずっしり重いのも、ひとつの目安です。皮はよく色づいて、ムラがなく、またヘタ部分は濃い緑色のものがいいでしょう。それに匂いも大切です。トマトの匂いをかいでください。

Avoid: キズのあるもの、熟れすぎているものは傷みやすいので避けるのが無難です。

Tips: 保存方法は、完熟している場合は、ポリ袋に入れて口を止め、冷蔵庫の野菜室に。熟し足りなければ、常温で保存して完熟してから冷蔵庫に入れます。朝食などにトマトジュースと牛乳を組みあわせると、牛乳の脂肪分によってリコピンの吸収が高まります。「朝は忙しくて」とか「暑くて食欲が出ない」という方には、牛乳をかけたシリアル&トマトジュースという組み合わせもお薦めです。

トマトに関する料理レシピの情報は、KAGOME(カゴメ株式会社)さんのホームページが充実しています。
arrow2.gif http://www.kagome.co.jp/

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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