カリフラワーを最後に食べたのはいつでしたか? 過去を振り返れば、子供の頃は、そのモコモコとした形の面白さにつられてか、幾度となく茹でたてのカリフラワーにたっぷりのマヨネーズをかけて食べたものでした。あぁ、あの頃は美味しかったなぁ・・でも、なぜか今ではすっかりご無沙汰になってしまったカリフラワー。ちなみに、形の似ているブロッコリーは、よく食べるようになっているのだけれど。
そんな最近ご無沙汰続きのカリフラワーがどうにも気になって、訪れたのは県中部の松本市三才山。美鈴湖が近いこの場所は標高850メートルの位置にあり、山に囲まれて涼しい風が通り抜ける静かな場所でした。この地でカリフラワーを40年も前から栽培している柳沢義一(やなぎさわぎいち)さんは、大きな声で元気よく働く昭和4年生まれの80歳。一時他の野菜を作っていたこともあるそうですが、再びカリフラワーの栽培に戻ってもう35年も、柳沢さんはカリフラワーと共に人生を歩んできました。
カリフラワーとブロッコリーは家族
じつをいいますとカリフラワーもブロッコリーも同じアブラナ科の野菜、いうならばキャベツ・ファミリーの一員で、この2つはキャベツの原種であるケールの蕾(つぼみ)が大きく膨らんだもの。緑のブロッコリーが突然変異して白い蕾をつけてカリフラワーになったのだそうです。みなさんが口にする部分は、花蕾(からい)と呼ぶ花の蕾の集まりで、カリフラワーは花椰菜(はなやさい)、花甘藍(はなかんらん)とも呼ばれ、昔は観賞用の植物であったといわれています。
カリフラワーはどこに?
目の前にあるのはキャベツの葉を長細く大きくしたようなものが広がる畑でした。このどこに、あの白いモコモコ頭のカリフラワーがあるのかしらと見渡していると、様子を察した柳沢さんが「この葉っぱの中にある紙を取ってごらん」とニコニコしながら声を掛けてくれました。
ちょっとドキドキしながら、いわれるまま葉の間にある紙を静かにめくりあげてそのしたをのぞいてみると、そこには純白の美しいあのカリフラワーが「まさにこの時を待ってました!」とでもいうように、輝きを放っているではありませんか。それはまさに"箱入り娘"といった感じなのでした。
「白さが命」というカリフラワーですが、この白さも陽に当たると黄色くなってしまうということで、輝く白さを守るために、柳沢さんは以前は、外側の葉っぱを縛って中のつぼみに光を当てないよう(これを"縛葉(ばくよう)"という)な作業をしていたそうですが、それでは生長した大きさがわかりにくいことから、今ではつぼみの上に特殊な紙をかぶせる方法によって、光をさえぎり、黄色く変色するのを防いでいるそうです。
長野県では今がシーズン
一昔前は春と秋の涼しい頃しか作れなかったというカリフラワーも、品種改良により暑さに強い品種が誕生し、今では4〜11月の霜の降りる時期まで栽培が行なわれるのだとか。義一さんと奥さまと、息子さんのお嫁さんとの3人で、2000〜2500株を、年間7〜8回栽培をしているのです。柳沢さんは言います。
「堅く締まって重量感があり、白くて形の美しいきれいなカリフラワーが作れたときには『やったー!』という気になるけど、長年作り続けていても毎年毎年気象条件等が変わって、思ったとおりに作ることは難しい。だから毎年一年生だよ」
カリフラワーはシチューなどの料理に用いられるなど、冬が旬の野菜というイメージがありますが、しかし県内ではこの信州の冷涼な気候を利用して夏から秋にかけての生産が盛んです。したがいまして、この時期は、他県からの引き合いも少なくないのです。
今夜はカリフラワーを食べませんか
カリフラワーは茹でてもビタミンCの損失がほかの野菜に比べて少ないため、ビタミンCを豊富に摂取出来るのが特徴。プロテインも豊富です。だからアンチエイジングや風邪の予防に良いとされ、さらに食物繊維も豊富ですから、腸内に貯まった老廃物を排出し便通を良くしてくれる働きもあります。
であるのなら、これは食べなきゃ損だとは思いませんか。少し肌寒くなりはじめた9月から10月にかけては、そういえばカリフラワーを食べるにはピッタリの季節なのです。今夜はカリフラワーの料理にでも挑戦してみてください。
カリフラワー栽培暦35年のカリフラワーのことを知り抜いた柳沢さんも、「茹でてマヨネーズで食べるのが一番美味しいや」と言います。このせっかくの白さを生かすためにも、茹でるときには少量の塩、酢を忘れずに入れてください。さてあなたはどんなカリフラワーの料理を作りますか?
レシピの参考に
日本最大の料理レシピサイト「COOKPAD」にはカリフラワーのおいしい食べ方がなんと123も掲載されています。
・カリフラワー・レシピ(クックパッド)