米穀

田植えの季節だからこその田植えの話

水田に写るさかさの常念岳
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長野県はちょうどいまが田植えの真っ盛り。県下各地の水田では、水をはり「代かき」を行った田んぼで田植えを行っています。今年は気温が高いため、どこも稲の苗の伸び方が早いようです。

とりわけいちばん早く田植えがはじまるのは中信の北半分占める安曇野で、北アルプスの常念岳(じょうねんだけ)の残雪??修験者常念坊の雪形??を仰ぎ見ながら4月下旬からスタートし、ゴールデンウイーク明けまでに田植えを終えました。水田に写る「さかさの常念岳」の姿は、とても美しく、この稲の植えつけ前後だけしか見られない印象的な光景です。

遅くまで田植えをするのは、北信五岳(戸隠、飯綱、妙高、戸隠、斑尾)や志賀高原の山々を遠望する長野市を中心とした盆地の善光寺平(長野平)です。大河の千曲川が中央を日本海に向かって流れるこの地域では、6月上旬になってもなお田植えが精力的に続けられます。

田植えまでの大変な作業

今日も田植えが続く善光寺平
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実際に田植えをするまでに、農家はさまざまな準備作業を行います。種籾を選別して消毒し、苗代に種子を蒔き、苗を育てます。本田では水路など灌漑施設の整備をしたり、溝掘り、畔の修理、除草作業などを行います。田に肥料を撒いて耕うん作業をし、水を入れて代掻(しろか)きをします。田んぼの泥が均平化したら、そのまま数日落ち着かせて、田植えの直前に水を抜きます。土がところどころ見えるくらいにすると、田植え機のマーカー(印をつける装置)の線が良く確認できるので、真っすぐに植えることができるからです。そして田植えが終わると、稲作の作業が一段落するので、実りを司る田の神さまと共に農家はささやかなお祝いをします。

田植えの終わった田んぼではなにが

田植えの終わった田んぼでは、さまざまな生物が本核的な活動をはじめます。蛙たちが一斉に合唱を始め、季節が夏に向かっていることを感じさせます。ドジョウやフナといった魚たち、水温が上がってくるとタニシやカブトエビなども活動をはじめます。時々近くの田んぼの畔に行って、田んぼの小宇宙をのぞいてみるのははいかがでしょうか。

お米は1種類だけではない

わたしたちの暮らすこの肥よくな信州の大地では、実に味も性格も異なる10種類以上もの米が作られています。コシヒカリの作付面積がいちばん多いのですが、そのほかの水稲について、あなたはどれくらいご存じでしょうか?

 

田植えの現在と未来

稲作農家の5月から6月は目の回るような忙しい季節です。この忙しさを緩和すべく稲の省力栽培が注目されています。たとえば直播(ちょくは)栽培やロングマットによる田植え作業の省力化技術、またGPS[全地球測位システム Global Positioning System]といって人工衛星を利用して精密にコントロールする田植えロボットまで研究されています。

直播栽培は、田に直接種籾を蒔く栽培方法で、これだと育苗作業を省力化できます。田に水を入れた状態で種籾を蒔く湛水直播と、水を入れない乾田直播があります。種籾を蒔く方法としては、土に打ち込む方法や無人ヘリコプターで蒔く方法など、さまざまな技術があります。長野県の平成16年度の直播栽培は430ha、全栽培面積の1%ですが、毎年着実に増えています。県内の直播栽培の主な取り組み地域は、上伊那南部や飯山地域ですが、安曇・松本地域、上田・佐久地域などでも試験展示ほから実栽培へ移ってきています。また、ロングマットは田植え機に使う育苗マットについて、ロール状に長いものを利用する技術で、マットの補給作業を中心に田植え作業の40%程度(30アールの場合)を省力化するものです。

 

最新の技術で注目されるのは、中央農業総合研究センターが開発した田植えロボットでしょうか。GPS衛星からの電波を利用し位置を確認しながら、あらかじめ記憶させた田んぼの形状によって自動制御で苗を植えていくのです。ロボットが黙々と田植えをする風景というのも、未来的ですよね。

なに、六本木ヒルズでも田植え?

長野県とは直接には関係ないのですが、面白ネタとして、東京の新名所であるあの六本木ヒルズでも田植えをしているってご存知でしたか? 先端コンピュータ企業が入っている高層ビルの隣、シアターやレストランなどがあるけやき坂コンプレックスの屋上(地上40メートル)には、なんと田んぼや畑(水田が約120〜130平方メートル、畑が約60〜70平方メートル)があるのです。なんと港区唯一の水田だそうで、 オフィスワーカーや、レジデンスに居住者が参加して去年も田植えが行われましたし、今年も、すでに連休中に終わっているそうです。都会のど真ん中に出現した空中水田と畑の写真は、そこだけ時間がゆっくりと流れているような、とても不思議な雰囲気をかもしだしています。

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