雪が降り、寒い日が続いていますね。
冬といえば、こたつでみかん!ですが、筆者は冬になると毎年、欠かさずあるものを食べています。
それは…
南信州特産の干し柿「市田柿」です。
2016年にGI(地理的表示)に登録された南信州を代表する特産品です。市田柿は長野県の南信の限られた地域でしか作られていないのです。
きめ細かい白い粉に覆われた鮮やかなあめ色の果肉、もっちりした食感、自然由来の上品な甘さが特徴です。食物繊維が多く含まれ、腸内環境を整える働きをするとされています。
今回は、市田柿の生産過程を探るため、JAみなみ信州「市田柿本舗ぷらう」を取材しました。
研修生のみなさんと市田柿スペシャリストであるJAみなみ信州営農部果実柿課の米山さん(右端)
どうやって作られているの?
柿の収穫は、10月下旬からはじまります。ヘタにある枝の部分を南信では「ほぞ」と呼びますが、収穫の際にはほぞを残します。
続いて皮むきなどの加工作業を行います。皮をむいたら、ほぞをクリップに引っ掛け、のれんのように吊るして乾燥させます。
水分が抜けて基準の重さになると、表面にうっすら縦ジワが現れます。果肉が羊かんのように固まってきたら、柿のれんから柿を外す「ハザおろし」を行い、ほぞをハサミで切り取ります。
さらに天日干しをして甘みを引き出し、「柿もみ」を行います。柿もみ機で1回あたり3~5分間、柿の表面に刺激を与えると、きめ細かい白い粉が出てきます。
柿がある程度、乾いた状態でないと破れてしまうため、見極めが重要なのだそうです。
表面のやわらかさを保ちながら柿の水分を抜いていくことが、おいしい市田柿を作る重要なポイントです。
白い粉が出だしたら「寝せ込み」を行います。天日干しや柿もみによって柿の中から出てきた水分と糖分を休ませて結晶化させ、きめ細かい白い粉をまとった美しい市田柿が完成します。
市田柿をおいしく味わうために…
市田柿の表面の白い粉は果実のぶどう糖が結晶化されたもの。開封・未開封に限らず保存場所が15℃以上を超えると粉が溶ける場合があるので、冷蔵庫あるいは15℃以下の場所で保管してください。
また、ラップで包んだりポリ袋に入れて空気を抜くと、かたくならず、おいしく保つことができます。
もっとおいしいアレンジレシピ
市田柿のもっとおいしいい食べ方をご紹介します。
市田柿バター
柿のヘタをとって縦半分に切り、バターをはさみます。食べやすい大きさに切って完成。
市田柿のミルフィーユ
タッパーなどにラップを敷き、柿のヘタをとって縦半分に切り開き、少し重ねながら並べます。その上にクリームチーズを並べ、さらに上から切り開いた柿を並べます。ラップで包んで形を整えたら、冷蔵庫で冷やします。お好みの大きさに切って食べてみてください。
最後に…
地域の歴史とともに受け継がれてきた市田柿は、今や国内だけでなく海外でも人気が高まっています。そのブランドを守るため、農家さん一人ひとりが衛生管理を徹底し、次世代へつなげるべく技術を磨いて、より高品質な市田柿の生産に取り組んでいます。
農家さんの思いが詰まった市田柿を、ぜひ味わってみてください。
JAみなみ信州の米山さんから一言