消費者のみなさんからお話を聞いていると、誤ったりんごの保存方法で食感が損なわれたり、水分が少なくなって果皮にシワが出たり、残念な思いをされている方がいらっしゃいます。
せっかく農家の方が1年かけて育て上げたりんごを、よりおいしい状態のまま最後までお召し上がりいただければと思い、旬の農畜産物を扱う通販サイト「JAタウン」を担当する立場から、この記事を書きました。
りんごをおいしく保存するには
直売所でたくさん購入!鮮度を保つために放置は厳禁です!
結論から申し上げますと、お買い求めいただいたらすぐに、大き目で厚手のポリ袋にりんごを入れ、密閉して冷蔵室に入れてください。野菜室でも良いのですが、凍らない程度で温度が0~5℃くらいの場所の方が鮮度を長く保てます。
袋に入れる際に、キッチンペーパーや新聞紙などで1玉ずつ包むと、より良い状態で保存ができます。たくさんある場合は、袋の開閉による温度変化を抑えるために、複数袋に分けるとよいでしょう。
最初から傷などがあるものは、日持ちがしないので先に食べるようにしてください。
キッチンペーパーでくるんで保管した場合、中身が見えないため傷みを見落としてしまう可能性があるので注意が必要
大切なのは密閉すること
ここで大切なことは、袋を密閉することです。ほとんどの家庭用冷蔵庫の中は乾燥しており、密閉しないとりんごの水分が徐々に失われてしまいます。
また、りんごはエチレンガスという植物ホルモンの一種を生成し、周囲にある果物や野菜の熟成を促します。熟成といえば聞こえがいいのですが、腐敗や老化と言い換えることもできます。この劣化を避けるため、完全に密閉し、冷蔵庫に入っている果物や野菜と隔離する必要があります。
購入した袋からポリ袋に入れ替え。しっかりと口をしばって!
ご注意いただきたいのが、産地の直売所やご近所のスーパーの店頭で袋に入れて売られているりんごです。一見、密閉されているようですが、結露などで袋の内側が曇らないようにするための穴が最初から開いている場合があります。穴が開いているものは、そのまま冷蔵庫に入れず、別袋に移すか、ひと回り大きな袋に入れてください。
おいしさは、どれくらい保てるのか
さて、上記の保存方法でどのくらい鮮度が保てるのでしょう。りんごの品種や個体差などはありますが、収穫直後から保存したとすると、一般家庭でも下記の期間は十分おいしくお召し上がりいただけると思います。
9月頃までに収穫されるりんご:1週間
10月頃までに収穫されるりんご:2週間
11月以降に収穫されるりんご:3週間
※画像の「シナノホッペ」「ぐんま名月」の収穫期は10月下旬~11月上旬。
上記は、新鮮なものを保存した場合の目安ですので、店頭で日数が経っているりんごはもっと短くなる場合があります。また、品種ごとに日持ちの良し悪しがありますが、日持ちの良いりんごの代表格は、シナノゴールドとサンふじです。
ちなみに、大玉よりも小玉の方が果肉の締まりが良く、日持ちします。
近年は、最新の長期貯蔵技術を使って適性のある品種を中心に、長期貯蔵・出荷を行っています。JAタウン「全農長野 僕らはおいしい応援団」の出店者の中には、10月頃に収穫されるシナノスイートでこの取り組みをし、年明け1月以降の出荷の予約販売を検討していますので、楽しみにしていてください。
りんごをたくさんもらったら
これからお歳暮の時期になると、りんごをたくさんいただくことが多くなると思います。冷蔵庫に入りきらない場合は、温度変化の少ない、なるべく涼しいところでの保管をお勧めします。
しかし、保存温度が10℃を超えると鮮度の低下は早まります。早ければ1週間ほどで果肉が柔らかくなり、シャキシャキ感が損なわれてしまうことでしょう。これがさらに進むと果肉が粉っぽくなり、産地の人間が「ボケ」と呼ぶ状態になります。
食べきれないときは、早めにご近所さんにおすそ分けして、幸せをシェアしてはいかがでしょうか。
りんごをお求めの際は、産地直送の通販サイト、JAタウン「全農長野 僕らはおいしい応援団」をぜひご利用ください。さまざまなりんごの品種・規格をご用意して、みなさまのご来店をお待ちしております。