JA中野市のエノキタケ農家、竹内智昭(たけうち・ともあき)さんを訪ねました。竹内さんは中野市内に3つの工場を持ち、エノキタケ(以下、エノキ)を栽培しています。
祖父の代から続くきのこ農家で育ちながらも、以前は車の整備士をしていた竹内さん。整備士を辞めて個人事業でエノキの栽培を始め、一昨年お父さんの会社と経営を一緒にしました。
今年で就農13年目。エノキの栽培を中心に、ブドウや桃などの果実や、アスパラガスなども栽培しています。
年間を通して出荷
工場で栽培されるエノキは天然ものとは違い、年間を通して一定の品質と安定した生産を保つことができ、年間600トン出荷しています。
「出荷の最盛期は10月から年末年始にかけて、つまり鍋のシーズンですね。かなり忙しくなります。もちろん年間を通して食べていただきたいですけどね(笑)」(竹内さん、以下同じ)
朝に収穫したエノキは原則としてその日のうちに包装し、出荷します。生命力が強いエノキは収穫した後も、そのままにしておくと上へと伸びてしまうので、スピーディーに作業しなければなりません。
出荷準備中の採れたてエノキ
収穫後、すぐに包装します
ちなみに新鮮さの目安は「かさが開きすぎていない」「袋に水滴がついていない」こと。店頭で選ぶ際は、そこを見るとよいそうです。
普段の竹内さんの食べ方は「旨みが出るので味噌汁やスープに入れる」とのこと。冷凍したものを水から温めるのがポイントだそうです。
生育のカギは空調管理!
さて、エノキはどうやって栽培されているのでしょうか。工場を見渡すと、たくさんの小部屋が。エノキの成長に合わせて、部屋ごとに温度や湿度が調整・管理されています。この中でエノキは育ちます。
エノキのポットがたくさん並んだ小部屋がいくつもありました
エノキはポットに栄養の詰まった培地(ばいち)を入れ、空調などを管理し、生育をコントロールしています。日々観察し、繊細な環境整備が欠かせません。
「毎日、目でエノキの状態を見て、成長過程に応じて、温度、光の当て方、風の当て方を調整しています」
では、エノキの成長過程の一部をご覧ください。
発芽したばかりのエノキ。すごくちっちゃい!室温は約10℃に設定
約15日目、だんだん伸びてきた!温度を徐々に下げて約6℃に
収穫が近くなると、青い筒が取りつけられます。
「放っておくとエノキが横に広がって成長してしまうため、まっすぐに伸びてもらうために取りつけます」
筒が外れてしまうと、こんなもりもりに!
こうなると規格外になってしまうのです
発芽からおよそ25日で収穫です。
「軸の長さが均等で、ぎっしりつまった重みがあるものは歯ごたえがいいので、それを目指して栽培しています」
かさの大きさも最後に光や空調で調整します
ポットから伸びたエノキは、どのように収穫するのでしょうか。
「側面を持って横倒しにする感じで。やってみますか?」
ということで、筆者もエノキ収穫!もちろん初体験!ほんの少し力を入れて横倒しにすると、根元からきれいに外れました!
側面を持って横倒しにするよう、ぐっと少し力を入れて…
ばきっと収穫!
エノキで地域を元気にしたい
竹内さんは「今は空調管理で生育を調整しつつ、休みが取れるようになったけど、小さい頃は親に遊びに連れて行ってもらえませんでした」と振り返ります。
はじめは「農家にはなりたくなかった」という竹内さん。いったんは車の整備士として働きながらも、就農したきっかけはなんだったのでしょうか。
「親にだまされるような形で呼び戻されました(笑)。ただ実際に事業に関わっていくうち、従業員のがんばりに応えたい、親のやってきた事業を守りたい、と思うようになって」
最後に今後の展望と思いを話してくださいました。
「きのこはJA中野市のブランドですから、みんなで地域産業を盛り上げていきたいですね。そのうえで消費者のみなさんの健康と長寿に貢献できればと思います」
取材を終えて笑顔の竹内さん。
無知な筆者の質問にも始終丁寧に答えてくださいました
ヘルシーでどんな料理にも合うエノキ。近年では内臓脂肪を減らす効果が証明されるなど、ますます注目が高まっています。
冬の鍋だけではなく、毎日の味噌汁に、夏にはスパイシーなきのこカレーなどにたくさん使って、JA中野市のエノキで健康と長寿を叶えましょう!
JA中野市青年部とともに
中野市は全国でも有数のきのこ産地ですが、竹内さんはJA中野市青年部に加入しています。ここは農家さんたちの情報交換の場であり、お互いに切磋琢磨することで地元の農業を盛り上げています。
きのこ農家さんに応援メッセージを届けよう!
このたび「長野県の農家さんに応援メッセージを届けよう!」という企画が始まります。
みんなで農家さんにメッセージや写真を送って元気になってもらおうというもので、参加者には抽選で長野県の農畜産物がプレゼントされます。
今回、第1回目としてメッセージを届ける先は、この記事で紹介したきのこ農家の竹内さんです。記事には、応募に必要なヒントが潜んでいます。さっそくメッセージを添えて応募してみましょう!
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