10月8日に県北部の斑尾山麓で行われた、きのこ観察会に行ってきました。主催するきのこマイスターCLUBはきのこマイスターが加入する団体で、年間を通じてきのこ観察会やイベント出展などを企画運営しているきのこのプロ集団です。 今年は、日本きのこ学会のきのこセミナー・菌類観察会とも同時開催となり、マイスターCLUBから24名、きのこ学会から25名と、約50名のマイコフィリア(きのこ愛好家)が集まりました。
きのこ狩り上級者をリーダーに数人のグループに分かれ、それぞれいろいろな方角に散らばっていきます。なるべく広範囲に観察しよう、ということでクルマでポイントに移動するグループも。初心者の私が参加したグループは、集合場所から目の前の山に入るとのこと。道路脇、いきなり道なき道をぐんぐんと登っていく皆さんのあとを必死で追いかけました。
しかし、なんとなく気配を感じてきのこを見つけると、どれも一期一会と思えて撮影してしまいます。
同定してもらえなかったので名前はわかりませんが、おそらく毒キノコです
初心者は小さなきのこを見つけては嬉々としてしまうものですが、やはり師匠たちの見つけるきのこは違います。
カラマツなどの針葉樹林に発生するハナイグチ
きのこがリング状に発生する「フェアリーリング」。ハート型に見えます(ヒントは赤い色)
高いところのきのこも、秘密兵器でなんのその
家族で参加していた小・中学生も慣れた足どりで山を登っていくので「よくきのこ狩りするんですか」と聞いてみると、「きのこ狩りは3回目だけど、自宅の裏山で毎日遊んでいるくらい外遊びが好き」とのこと。お父さんはきのこマイスターとのことで、なるほど目利きなわけだ、と感心するほど、たくさんのきのこを見つけていました。
カメラでの記録もバッチリ。将来有望な姉弟チーム
きのこ談義に花が咲きます
目的の場所でクリタケの群生を発見。大きさや数、色艶など、なんとも美しいたたずまい。こういうきのこたちに出会ってしまうと、険しい山を歩く大変さも、お腹がすいたことも忘れて、しばし恍惚としてしまいます。
苔ときのこの見事なコラボレーション。食味も良いクリタケです
最初の合流地点に戻ると、他のグループの皆さんが観察会の準備を始めていました。自分が採ったきのこの中から、同定してもらいたいものを1種類ずつ紙に乗せ、並べていきます。全体で200以上のきのこが並びました(同じ品種のきのこや鑑定できないきのこも含まれます。また、同定不要のきのこは並べない方もいました)。
日本きのこマイスター協会理事・講師ら、きのこのプロが同定します
今年のきのこはどうでしょう? と、マイスターCLUB会長・義家さんにお話をお聞きしました。 「特においしいと言われているシメジ系やクリタケなどがたくさん採れたので当たり年だと思います。これで『舞うほどおいしい』と言われているマイタケも採れていれば大豊作でしたけどね(笑)」
他県からの参加者は「地元茨城では見られないキシメジが見られてよかった」「西日本では『幻のきのこ』と呼ばれているベニテングタケを見られてよかった」といった感想もありました。
きのこ好きの皆さんと交流したり、希少なきのこの実物を見られたり・・・、森の香りや息づかいなどを五感で感じながら、心の底から秋のきのこ狩りを満喫できました。
きのこ狩り初心者の方だけでのきのこ狩りや、土地勘がない場所でのきのこ狩りは、遭難や食中毒などが心配されます。その場合は、地元できのこに詳しい人と一緒に行くか、きのこ同好会などが企画するイベントに参加しましょう。きのこに詳しくなりたい方は、採ったきのこを衛生指導員に同定してもらいましょう。同定については、各地域の保健所に問い合わせしてみてください。
山のきのこが豊作だったためか、きのこ狩りに夢中になる方も多く、毒キノコを食べてしまう事故が相次いだ
・ゴミは持ち帰る ・立入禁止区域に入らない ・クマよけ対策をする ・遭難に気をつける ・知らないきのこは食べない
帽子、首にタオル、長袖・長ズボン、長靴、クマよけの鈴、かご、カメラ、軍手 注)ハチに襲われやすくなるので黒っぽい色はおすすめしません。
日本きのこマイスター協会発行の『季刊きのこ Vol.31』2018秋号では、きのこ狩り特集が掲載されています。初心者の方にもわかりやすく、楽しめる内容ですよ。 もちろん、きのこ狩りに行かずとも、安全でおいしいきのこが身近な量販店に並んでいます。11月11日は「長野県きのこの日」(1111をエノキタケの軸に見立てました)。エノキタケやブナシメジなど、長野県産きのこを手にとってみてくださいね。 関連リンク 日本きのこマイスター協会
こちらは 2018.11.06 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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