プレゼント応募の際に「ルバーブを扱ってください」というコメントを長年送ってくださる読者の方がいます。長らくお待たせしましたが、今回はルバーブを紹介します。
ルバーブって何?
ルバーブは、和名を「食用大黄(だいおう)」といい、シベリア原産の多年草でタデ科の植物です。
茎の部分を食用にしますが、生だと強い酸味があり繊維質で、熱を加えると、すぐにやわらかくなってフルーティーな酸味となります。欧米ではジャムやお菓子、肉料理のソースなどに広く一般的に使われています。
また、食物繊維、カリウム、アントシアニンなどが豊富で、美容と健康にうれしい効能がある健康志向の野菜であるため「美人になれる野菜」として注目されています。
信濃町はルバーブの名産地
長野県の北部に位置する信濃町は、ルバーブの名産地といわれています。
戦前、昭和恐慌下の信濃町で産業振興に尽くしたカナダ人宣教師のアルフレッド・ラッセル・ストーン氏が、ルバーブや新品種のトウモロコシの栽培普及に努めました。野尻湖畔にはストーン氏を偲ぶ記念碑があります。
冷涼な気候がルバーブの栽培に適していたことから信濃町ではルバーブが栽培され、手作りのシロップ漬けをお茶うけにするなど、ルバーブが家庭でも親しまれてきました。
☆過去記事でも紹介しています。
ルバーブのことをもっと知りたい!|農畜産物|長野県のおいしい食べ方
ルバーブで目指す6次産業化
今回は、信濃町にある農事組合法人ファミリーファームしなのの組合長 佐藤千明(さとう・ちあき)さんのルバーブ畑を訪ねました。
ルバーブの収穫時期はおもに春(5~7月中旬)と秋(9~11月)の年2回。根本をつかみ、ひねって収穫します
収穫したルバーブ。葉はシュウ酸が多いため、すぐに切り落とします
佐藤さんは定年退職後に実家の農業を引き継ぎ、就農4年目になります。奥さまとふたりでナツハゼ、ブルーベリー、ルバーブなど、ニッチな健康志向の農作物を栽培しています。
奥さまの洋子さん。佐藤さんは写真に入ってくれませんでした(泣)
主力品目はナツハゼですが、2年前に農事組合法人「 ファミリーファーム しなの」の副組合長に就任したことを機に、ルバーブ栽培にも力を入れるようになりました。
「平成元年から農事組合ではルバーブ栽培・加工を本格化させ、6次産業化に取り組んでいます。40年近い取り組みになりますが、ルバーブで町おこししている富士見町と比べると、量産化やブランド化には至っていないように感じます。栽培をはじめた当時の農事組合の組合長だったのが私の父で、若い頃からルバーブ畑を見てきましたので、『元祖信濃町』のルバーブを盛り上げたいと思います」(佐藤さん、以下同)
レッドストーンルバーブⓇを盛り上げたい!
熱い想いを胸に秘め、目をつけたのが真っ赤なルバーブでした。ルバーブは品種によって緑色のものと赤色のものがあります。最近は赤色の方が人気で、栽培が増えています。
「これまでは茎の赤の比率が7割以上のものを赤系ルバーブとして栽培していましたが、これだとジャムなどに加工した際にきれいな赤色になりません。茎がすべて赤色で、信濃町の気候にあった品種を探しだしました」
これまでの赤系ルバーブ(左)とルバーブジャム(右)
レッドストーンルバーブⓇ
ストーン氏から名前を取り、新ブランド「レッドストーンルバーブⓇ」として2021年に商標登録しました。
さらに「レッドストーンルバーブⓇ推進部会」をつくり、生産者を増やしています。2022年5月現在では会員数は10名程度です。
「レッドストーンルバーブⓇは茎全体が赤く、太く、味が濃いのが自慢です。これから仲間を増やしてブランド化を進められたらと思います」
ルバーブジャム
ルバーブジュース
ジャムやお菓子だけじゃない!
「ルバーブ レシピ」とインターネットで検索するとたくさん出てきますが、定番の食べ方はジャムやジュース、スムージーにするほか、パイやタルトなどのお菓子の材料にすることです。
佐藤夏はぜ農園のルバーブとナツハゼのパイ。ナツハゼをブルーベリーで代用してもおいしい
農事組合では、ルバーブをお菓子だけでなく食事にも取り入れてもらいたいと考え、塩と一緒に煮込んで練り梅のようにした「ソルティールバーブ」や、これを使用したドレッシングの商品化を検討しています。
ソルティールバーブ。見た目も味も練り梅のよう。ご飯との相性抜群!
混ぜる前(左)と混ぜた後(右)のドレッシング。適度な酸味があり、さわやかな味わい
これからも目が離せませんね。