9月に入り、涼しい風を感じる日が増えてきましたが、「残暑は続くよどこまでも」と言いたくなるくらい、日中はまだまだ暑い!
夏バテのダメージを何か甘いもので回復させたいこの頃に、「夏秋いちご」のスイーツはいかがでしょうか。名前もこの時期にぴったりじゃありませんか!
さて、今回は長野県安曇野でとびきりおいしい夏秋いちごのスイーツが食べられるカフェ「Re:Make_S(リメイクス)」をご紹介します!
いちご好きさん、スイーツ好きさん、そして「夏秋いちごって何?」という方、必見です!
安曇野で育つ「夏秋いちご」
今年の夏に発表された安曇野発・新品種の夏秋いちご「あまあづみ」
まずは「夏秋いちご」の説明をほんの少し。
みなさまは、いちごの旬はいつだと思いますか?
じつは、いちご本来の旬は春から初夏(4~6月)です。ハウスでの促成栽培により、需要に合わせて12~5月の収穫が可能となり、冬から春の果物というイメージが定着しました(クリスマスケーキの需要が大きいですね)。
この一般的ないちごは「一季成り」と呼ばれ、1年に1シーズン実をつける品種ですが、対して夏秋いちごは「四季成り」と呼ばれる品種で、四季をとおして収穫できます。
夏秋いちごはその名のとおり、一季成りのいちごが収穫できない期間に栽培されており、安曇野は気候や栽培技術を生かした夏秋いちごの栽培が盛んな地なのです。
▼安曇野の夏秋いちご取材記事はこちら
「キュンと甘酸っぱ!安曇野育ちの夏秋いちご」
夏秋いちご「すずあかね」。名前のとおり、すずなりに実ります
夏秋いちごの特徴
・酸味があり、甘みとのバランスがよい
・暑い時期にさっぱりとした酸味を感じられる
・甘いクリームなどとの相性が良く、スイーツ向き
迷うこと必至。贅沢いちご尽くしのメニュー
前置きが長くなりましたが、そんな夏秋いちごをふんだんに使ったスイーツを提供してくれる、2022年オープンのカフェ「Re:Make_S(リメイクス)」。
オーナーの吉武和樹さんは夏秋いちごの生産者でもあります。ご自身が育てた夏秋いちごをたっぷり使った絶品パフェが人気です。
以前、JAあづみの夏秋いちご取材の様子を公式Xで投稿したところ、フォロワーの方にこちらのカフェを教えていただいたのです!
一番人気のパフェ「プリンセス」。見た目がまさにお姫さま!乙女心がくすぐられます
一緒に行った家族はこちらを注文。ティラミス風味の「ルーク」はマスカルポーネといちごの酸味がマッチ
吉武さんにおすすめをたずねると「どのメニューも食材や構成など、いちごの使い方にこだわって作っていますので、どれもおすすめです」とのこと。何を選ぶか、すっごく迷ってしまいました。
そんなワクワクするメニューの中でも「スムージーとソフトクリームが自信作です」とのことなので、迷いすぎた方はこちらを選んではいかがでしょうか!
ソフトクリームはテイクアウト専用メニューです
いちごのピンク色にキュンとします!
コーヒーを除いて、6~12月はすべてのメニューに夏秋いちごを使用しています。シーズンオフのフレッシュいちごについては、県内産を主に使用しつつ、栃木、埼玉、福岡などの農家さんから直接わけてもらっているそうです。
パフェのほか、地元安曇野の米粉を使用したパンケーキやドリンクもラテやソーダなど、たくさんのラインナップです。
フレッシュいちごや加工品も販売
店内では、夏秋いちごの加工品や雑貨も取り扱っています。ジャムやシロップ、ドレッシング、ハーブティーなど幅広いラインナップ。吉武さんの妻・奈津子さんが運営する会社NAT’s Berry field(ナッツベリーフィールド)で作っているそうです。
夏秋いちごを使用したジャム
カウンターにはハーブティーなどが並びます。注文が届くのを待ちながら眺めるのも楽しい
ボードに書かれたメニューの一例。メニューは季節によって変動あり
店内は夏秋いちご尽くし。でも「夏秋いちご」って言葉はあまり聞かないですよね。白状すると筆者もこの仕事に就くまでは聞いたことがなかったのです。
じつは、夏秋いちごはお菓子メーカーなどに出荷されるのがメインで、業務用として流通しているため、一般消費者に意識されることが少ないのです。
吉武さんは「まずは加工品をはじめ、いろんな形で存在を知ってもらうことが必要」だと感じ、企画販売を始めたそうです。
店頭には7月に新品種として発表された「あまあづみ」も販売していました!
※フレッシュいちごは時期によって店頭販売のない場合があります。ご承知おきください。
店頭ではフレッシュいちごも販売。新品種「あまあづみ」や珍しい白いちごも販売していました
安曇野で誕生!新品種「あまあづみ」
埼玉から移住してきた吉武さんは1年間の修業を経て、2018年に夏秋いちごの栽培をスタートさせました。いちご栽培の師匠である堀井勇司さんは、2024年7月11日に安曇野で生まれた新品種の開発者です。
今まで栽培していた夏秋いちごは主に加工向けでしたが、糖度が比較的高く、生食もおいしい安曇野発の新品種「あまあづみ」。品種の開発には約8年の歳月がかかりました。
・安曇野の気候に合わせた品種作りが行われ、地域にあった栽培ができる
・夏場の一番暑い時期でも、ある程度の糖度が維持できるため、生食用や観光用としても利用可能
新品種「あまあづみ」について詳しくはこちら。
吉武さんは「修業期間中も、これからの夏秋いちごをどうしていくのかという師匠との会話が絶えず、将来的には安曇野にたくさんの人が食べに来てくれるような品種があったらいいなと話し合っていた」といいます。
現在は業務用栽培が主の夏秋いちごですが、「あまあづみ」の登場によって生食や観光いちご狩りの可能性も見えてきました。自然豊かな安曇野を観光しつつ、さらにいちご狩りができたら、きっと楽しいですよね!
夏秋いちごの産地・安曇野。ぜひ味わいに来て!
吉武さんは師匠から受け継いだいちご作りとともに、地元の方をはじめ、より多くの人々に安曇野の夏秋いちご知ってもらうきっかけづくりに取り組んでおり、カフェ「Re:Make_S(リメイクス)」もそのひとつ。
大手製菓メーカーや市場などいわゆる「B to B」の場面では、安曇野産の夏秋いちごは評価されている一方、店頭で接する機会のない一般消費者にとって「安曇野」の「夏秋いちご」の認知度はまだまだです。
今度は一般消費者にも「安曇野産の夏秋いちご」を知ってほしい。そして地域を盛り上げるブランドになってほしい。カフェのメニューや加工品にはそんな願いが込められています。
「Re:Make_S(リメイクス)」外観
最後に、生産者でもありカフェオーナーでもある吉武さんの、夏秋いちごへの想いをうかがいました。
「ただ単にスイーツの「『部品』としてだけでなく、安曇野のいちごそのものを楽しんでもらえるように、栽培者としての技術を磨き、より多くの方に楽しいでもらえるよう努力していきますので、ぜひ安曇野に『あまあづみ』を食べにきてください!」
新品種の登場で、ますます盛り上がる予感がする安曇野の夏秋いちご。「知らなかった!」という方、ぜひ安曇野を訪れた際に夏秋いちごを味わってみてください。
かわいくておいしいパフェには、生産者の思いがいちごとともにたっぷりのせられています!