JAというと農家の集まりで、農業に携わっていない人にとっては縁のない組織と思っている人は多いと思います。
確かに、JAは農家のための協同組合という組織ですが、JAが対象とする地域には農家以外の人々もたくさんいます。そんな人たち向けに准組合員という制度があります。
農業の応援団として共に地域づくりに参加してほしい、との願いが込められています。
JAみなみ信州の喬木支所が、このほど企画した准組合員イベントをのぞいてみました。
キュウリの収穫とブルーベリー摘みを体験
今回のイベント会場は、天竜川をはさんで飯田市の対岸(東側)にあたる喬木村中心部から、支流の加々須川を東南へさかのぼった大島地区です。
3家族9人の参加者はミニバンに分乗して同地区へむかいました。
最初に同地区のJA役員が栽培するハウスでキュウリの収穫を体験。長さ30センチを超える立派なキュウリを収穫して大事そうに抱える子どもたちの姿が印象的でした。
葉の下にもぐってキュウリの収穫
続いてブルーベリー園へ。
説明してくれたオーナーによれば、収穫は最終盤に入っているため、大きな粒は残っていない、とのことでしたが、子どもたちにとっては「いろんな種類の木が植えてあるから、味見しながら採ってみて」という体験は、刺激的だったようです。
「甘いね」「少し酸っぱいかな」と言いつつ楽しんでいました。
味見しながらブルーベリーを収穫
ドラム缶窯でピザ作り
そして最後はメインイベントのピザ作りです。
参加者がキュウリの収穫とブルーベリー狩りをしている間に「大島 山の家」で地区のJA役員らが準備を進めていました。
軒先ではドラム缶を利用したピザ窯を設置し、まきを入れて火をおこし、調理場では喬木支所の松浦加代子支所長をはじめJA女性部員らが具材の夏野菜(トマト、ピーマン、ズッキーニ)などを用意しました。
調理場ではピザ作りの準備。右がJAみなみ信州喬木支所の松浦加代子支所長
ピザ作りを指導するのは、フレッシュミズグループ「Spica(スピカ)」の奥村光希代表と清水純子副代表。フレッシュミズとは、食や農業に関心のある若い世代の女性の集まりです。
スピカは、村内の遊休地で小麦を栽培し、種まき、麦踏み、麦刈りなどの作業を含め、村の保育園や小学校に出向き、食育活動を展開しています。
自ら栽培、製粉した小麦粉を使ったピザ作りは、そのひとつ。
「白い小麦粉に混じった茶色い粒は、食物繊維に富んだ小麦の全粒粉です」などと、てきぱき説明しながら生地作りを指導していきました。
こね上げた生地はボウルに入れて、発酵させるため軽トラックの荷台へ。トッピングの野菜を刻んでいる間に、真夏の太陽が発酵を進めてくれました。
生地を薄く延ばして、刻んだ野菜などで飾り付けたら、あとは焼くだけです。
自分たちが手掛けた小麦でピザ作りを指導するスピカのメンバー
(中央奥、奥村光希代表左と清水純子副代表右)
イースト菌を溶いだ水で小麦粉をこねる
トッピングする夏野菜をカット
延ばした生地の上に刻んだ野菜などを載せていく
おきで十分温まったドラム缶ピザ窯に入れると、ほんの数分で焼きあがりました。
「やけどをしないように慎重に」トレーで受け取って、早速いただきます。食卓には収穫したキュウリの浅漬けも並んでいました。
飾り付けたピザは、午前中からの準備でしっかり加熱されたドラム缶のピザ窯に
焼き上がり。やけどしないように気を付けて
包丁で切り分けて「いただきます」
おなかいっぱいになった子どもたちは、午後1時前には世話をしてくれた役員らの見送りを受けて集合場所の喬木支所へ。山あいを下る20分ほどの道中、お母さんにもたれてひと休みする子も。夏休み最初の日曜日を十分堪能したようでした。
JAみなみ信州に限らず、多くのJAが農業者以外にも准組合員として出資者を募っています。興味のある方は最寄りのJAにお問い合わせください。