将棋の藤井聡太・最年少名人かつ最年少7冠誕生の地となった長野県の高山村。
対局場となったその名も「藤井荘」は、同村から須坂市と小布施町の境を流れ、千曲川に注ぐ松川沿い、山田温泉にあります。
激闘の翌々日、余韻を求めて現地に行ってみました。
その前に、名人戦の初日に新名人が選んだおやつを提供した須坂市のコモリ餅店に寄り道。開店の15分ほど前に着くと、もう十数人の行列ができていました。
あまりの人気に購入は「1グループ5個以内」とのこと。
午前9時の開店と同時にその5個(税込160円×5=800円也)を買い求め、いざ山田温泉へ。
村中心部、役場に向かう道の角には名人戦案内ののぼりが立っていました。
さらに進むと、渓谷の入り口辺りに、同じように案内ののぼりが残る村保健福祉総合センターの建物が見えます。大盤解説が行われた場所です。
対局場とは別なんですね。熱く余韻を感じます。
さらに5kmほどさかのぼると山田温泉です。前日の大雨に洗われ、渓谷の新緑は一段と鮮やかでした。
温泉入り口近くにある対局場となった旅館の前には「関係者以外 立ち入りを お断り致します」の立て札が。対局前後は大変だったんでしょうね。
森鴎外をはじめ文人墨客も愛したという老舗は敷居が高そうなので、すぐ先の共同浴場・大湯へ。
入浴料大人400円。
建物の前には無料の足湯もあります。
老舗といえば渓谷の最奥部に山田牧場があります。
開牧は1902(明治35)年(組合結成の1900年としている文献もあります)。100年以上の歴史ある牧場です。
途中、渓谷の名所・雷滝などを訪ねつつ足を延ばしてみました。
志賀高原との境にそびえる笠岳(国土地理院の表記だと笠ヶ岳、標高2076m)の南西麓、冬はスキー場となるゲレンデに、牛がのんびり草を食んでいました。
この日は、牛たちは思い思いの場所に散らばっており、迫力ある群れは見られませんでしたが…。
管理事務所で牧場長の坂下隆彬(たかあき)さんに聞きました。
6月3日現在、預かっているのは黒毛和牛60頭、ジャージー種10頭、ホルスタイン10頭の計80頭。これから夏にかけて120頭ほどになるそうです。
九州男児の坂下さんが、地元の酪農家の誘いで場長に就いて7年目。当初は40頭ぐらいで低迷していたそうです。
「放牧といっても、放任ではいけません。1頭1頭よく観察して、異変があればすぐに対処します」と坂下さん。丁寧な対応で信頼を得て「預けてくれる畜産家が増えてきた」と胸を張ります。
標高1500m。起伏のある斜面に展開する山田牧場は、牛たちが健康な体をつくるには、いい環境なんですね。
新名人誕生の地を訪ねる機会がありましたら、ぜひ足を延ばしてみてください。
*高山村役場のホームページに山田牧場のライブカメラがあります。
写っているのは広いゲレンデの一部なので、いつも牛たちがいるとは限りませんが、運が良ければ姿を見ることができます。