自分だけのおやきづくりに挑戦しましょう

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おやきですよーっ! かつては「お米の穫れない地方の主食がわり」なんて思われていた「お・や・き」。ありあわせの野菜にみそなどで味をつけた具を、小麦粉をこねた皮に包み込んで焼いたりふかしたりしたもの。おやきには、正統もなければ亜流もありません。これぞ「我が家の味」。ある年代以上では、懐かしい「母の味」でもあります。

素朴で、とてもヘルシー! 伝統食、郷土食といわれながらも一般の家庭であまり作られなくなったころから、地域おこしの核として、郷土食が見直される中で、信州を代表する食文化として、今や確固たる地位を占めているのであります。

囲炉裏があればもっといい
灰焼きもちには囲炉裏が不可欠。囲炉裏は長い間家庭の中心であり、ぶっこみ・ほうとう・すいとん・みそ汁などの料理の場であり、食事や家族団らんの場でした。またお客を迎えるのもここであり、夜なべ仕事、子守り、昔話も、全部がここでおこなわれたようです。

おやきはなぜ固い方がいいのか
信州では、北信・東信の広範囲で、お盆におやきを作って仏壇に供える習慣があります。特に8月1日のイシノト(石の戸)には固いおやき、14日にはナスや小豆のおやきを供える地域が多かったといいます。8月1日のイシノトには、仏様がそれぞれの家に帰られるのです。あの世とこの世の境にある頑丈な石の戸に、供えられたおやきをぶっつけてたたき割るという言い伝えが残されています。

このためにおやきは固ければ固いほどよいのだとか。中信地方では、お盆におやきを作る地域は、北信地方ほど広くはないのですが、お饅頭と呼ばれる、北信地方でいうおやきに近いものが、お盆や七夕には作られます。

特に、安曇野地方では「七夕まんじゅう」というふかし饅頭が作られます。饅頭と七夕の結びつきが強かったようですね。南へ行くと、お盆に食べたというところはほとんどみられなくなりますが、むしろ上伊那を中心に、一般に知られる小麦粉の皮のおやきとは違い、米の粉で恵比寿講の日に作って供えたというところが多くなります。

南北に長い長野県各地を歩いてみると、一口におやきといっても、まさに「所変われば品変わる」で、皮の材料も形も作り方もさまざまなのです。

ところで、みなさんは、おやきを作ったことがありますか?

作り方は知っておいた方がいい
粉をこねて、中に入れる具を作って、丸めて...わざわざそんな手間なこと、買って食べた方が楽だし、おいしいもの、ですって!? いいえ、そんなことはありませんよ。おやきをつくるのは初めてという方でもほとんど失敗しない、おいしくて簡単にできるおやきの作り方をご紹介しちゃいましょう。

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教えていただいたのは、料理でストレス解消! 新しい料理はすぐ作る! 納得いくまで何度でも! という、とってもパワフルな長野市にお住まいのYさん(匿名)です。今回は、焼いてちょっと焦げ目をつけて蒸すおやき「もっちりおやき」を作ってみましょう。中に入れる具は、寒い季節ならではの野沢菜のかぶを使います。もちろん普通のかぶでも大根でもOKですよ。

写真を見ながらもっちりおやきを作ろう

材料
 〇皮
  地粉(中力粉) 400g
  ベーキングパウダー 大さじ1
  砂糖 50g
  水 200ml〜240ml

oyaki3.jpg 〇具
  かぶ 500g
  野沢菜漬け
    小さめ2株
  凍み豆腐 3枚
  みそ 大さじ3
  砂糖 大さじ2
  塩 小さじ1


作り方


  1. ボウルに地粉・ベーキングパウダー・砂糖を入れ、水を加減しながら加え、箸でかき混ぜ、耳たぶぐらいの硬さにこねる。季節によって水の量は調節してください。温度でやわらかさが違ってきます。
  2. 乾かないようラップをかけ、1時間ほど寝かせる。寝かせるほどなめらかないい皮になり、よくのびて具が包みやすく、おいしくなる。
  3. その間に具を作る。かぶは細切りにし、サラダ油で炒め、油が全体にまわったらみそ・砂糖・塩を加える。このとき炒めすぎないようにするのがポイント。かぶのシャキシャキ感を残すこと。調味料の分量は目安なので回数を重ね自分の舌で覚えてください。ちょっと濃い目のほうがおいしいようです。
  4. 刻んだ野沢菜と5㎜角に切った凍み豆腐も加えよく混ぜ合わせる。具は冷ましておく。
  5. 皮をのばして広げ、具を入れて丸める。
  6. ホットプレート(フッ素樹脂加工のフライパンでもよい)を熱して薄くサラダ油を敷き、丸めたおやきの両面を焼き、蒸し器で10分ほど蒸す。

どうです? できそうですか? 右列の写真は上から順番に構成してあります。参考にしてください。

おやき道は奥が深い
焼くことで皮に香ばしさが、そしてもちっとした食感がベストマッチ! 中に入れる具の種類を問わず、その季節の野菜を味付けして、誰でも簡単に丸められます。

かくいうわたしも初めておやきに挑戦してみました。あれ? やってみると思ってたよりカンタ〜ン! なるほど、じっくり寝かせた皮はよくのびて丸めやすい! と調子にのって二つ目に挑戦。

あらら、皮が破けて具が飛び出してしまいました。皮をのばして広げるのもコツがいるみたいです。中心部分はちょっと厚めに...かな。やはり年季が入っているYさんにはかないません。

慣れた手つきで手際よくアッという間に、丸めてしまいました。おやきは誰でも簡単にはじめられますが、上達するには、年月がかかりそうです。うーん、奥が深い。それを実感しました。

なぜこんなにおいしいの?
さて、お味はというと、蒸しあがりをフーフーいってガブッと一口。おお! お・い・し・い。皮はほのかに甘く、香ばしさともっちり感があり、かぶのシャキッとした歯ざわりが、たまりません。

具はかぶだけでももちろんおいしいのですが、野沢菜が入ることで、さらに信州のおやきらしくなりますね。ふー、ふー、ムシャムシャ。凍み豆腐を入れるのは、野菜から出る水分を吸い取る役目をしているのだそうです。ムシャムシャ。栄養的にもバランスが取れているおやきですよね。ゴックン。うまー。

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自分だけのおやきができたらいいな
おやきはとてもシンプルで、1種類の野菜だけでも作ることができます。いろいろな食材や調味料を必要としないのですが、そのかわりに、食材や調味料を多種類使って味をごまかすわけにもいきません。

小麦粉に加える水の温度や量は自由に選ぶことができますが、もしそれが適当でなければ、皮が破けたりいびつになったりします。水の調整は慣れた人でも難しいのです。その日の天候、温度、湿度によって、小麦粉の状態も微妙に違ってくるのですから。

また、野菜を炒めて出る汁は、野菜の成分や旨味を含んでいるので、それを具に加えることも重要です。炒めるか、ゆでるかした野菜の汁をしぼってしまうと、おやきの皮を破る危険は減りますが、残念ながら味は確実に落ちてしまいます。

おやきを作り慣れた人ほど、いろいろな食材を使い、いろいろな作り方で作ってみる、これもおやきの奥の深さの現われなのでしょう。

まずは作ってみましょうよ、季節野菜たっぷりのヘルシーおやきを。思ったより簡単でなによりおいしいのですから。何回か作るうちにあなただけの「オンリーワン」がきっとできるはず。


参考図書:「おやき56の質問」(柏企画編・発行)ISBN:978-4-907788-13-1
1168959600000

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